ハリウッド女優から学ぶ、子なし夫婦&独女人生の歩み方

2017.03.11 LIFE

きっかけは、女優の山口智子さんだった。女性誌のインタビュー(FRaU 2016年3月号)で、子どもを産まない人生を選んだことを語り、風向きが変わった。

 

それまで少子化問題を抱えている日本では、未産で生涯子どもを持たない“おこなしさま”は、どこか肩身が狭かった。社会全体で出産を賛美する風潮に包まれているなか、言いにくいことを代弁してくれたと同じ境遇の女性から称賛を浴びた。

 

私自身、それ以前から子どもがいない女性のマーケットに着目して活動してきたが、影響力の違いは歴然。山口智子さんの発言以降、各メディアでも一斉に「子どものいない人生」について取り上げ始めた。

 

少子化の裏側には、子どもがいない生涯を送る人が増加傾向にあり、出産・育児をしない女性が少数派ではなくなってきている。とはいえ、子どもの数が減れば、国の経済成長に影響する。それゆえ、少子化の現代では子どもを産むこと事体が、社会貢献とされるムードまで漂っている。

 

時代が変わっても、女性である限り、出産に関する是非は問われ続ける。なにも日本だけに限ったことではなく、先進国では同じような状況にある。たとえ、世界的に有名なハリウッド女優であっても、それは変わらないようだ。彼女たちは、子どもがいない人生について、どのように考えているのだろう。

 

1. ブリジット・ジョーンズの主演女優、レニー・ゼルウィガー

「ブリジット・ジョーンズの日記」で人気を博した、レニー・ゼルウィガー(1969年生まれ)。2001年に恋とキャリアに奮闘する32歳独身女性の等身大ヒロインを演じ、世界中の女性たちから共感を集めた。

 

2016年に公開された「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」では、43歳でいまだ独身。冒頭シーンでは、友人たちを食事に誘うも「子どもがいて出られない」と断られてしまうあたり、“おこなしさま”あるあるが満載。そんなブリジットが予想外の妊娠。無事、出産してママになった。

 

高齢出産したブリジットを受け、さまざまなメディアのインタビューで、自身にはママ願望はあるかを聞かれている。それに対してレニーは、子どもが欲しいと熱望したことはないと答えている。さらに、幸せは子どもの有無で決まるものではない。「こう生きるべき」という世間一般の考え方に動じることはないと説いている。

 

2. ブラッド・ピットの元妻、ジェニファー・アニストン

ブラッド・ピットの元妻で、2015年に俳優・ジャスティン・セローと再婚したジェニファー・アニストン(1969年生まれ)。ブラピとの離婚の一因は、子どもを望んだブラピに対し、ジェニファーがキャリアを選んだからとのウワサがあった。

 

そのため周囲から、子どもを産まないことを問われ続け、雑誌やテレビ番組などでも自身の思いを語っている。ジェニファーは、子どもを持たない選択をしたことを認めつつ、女性はパートナーや子どもがいなくても完全になれると訴えかけている。

 

フェミニズムの視点からも、「女性の幸せは子どもを産むこと」であるかのような考えはフェアではない。女性は子どもを産むこと以外にも、社会に貢献できることは山ほどあると主張している。

 

3. SATCのサマンサ役、キム・キャトラル

全世界の女性を熱狂させた「セックス・アンド・ザ・シティ」のサマンサ役として知られるキム・キャトラル(1956年生まれ)。セクシーキャラを演じるキムは、驚異の60歳オーバー。実生活では3度の離婚を経験しているが、子どもはいない。

 

海外の女性誌やラジオ番組でのインタビューでは、母親にならなかったことに関して、まったく後悔していないと語っている。子どもを産んでいなくても母性本能は十分あり、多くの若者のメンター役を果たしているという。

 

また、「チャイルドレス(子どもがいない)」の「レス(欠けている)」という部分が、子どもがいないと劣っているように聞こえると指摘している。

 

ハリウッドでも感じる社会的プレッシャー

ハリウッド女優たちの声を聞くと、私たちと同じように子どもを産まなかったことに対して、社会的なプレッシャーを感じていることがわかる。スポットライトを浴びる職業だからこそ、好奇な視線やバッシングを受けることも多かっただろう。

 

それでも彼女たちは、子どもを産まなかったことを後悔していない。共通のメッセージは、世間や社会の声は気にするな。自分の決断ですべきことを優先して実行する。自分の幸せは自分で決めるものだということ。

 

現代の女性は、仕事・家庭・育児のすべてを達成することを求められている。どれが欠けていると、女性として不完全で幸せではないという考えが根底にある。子どもを持たない生き方を選んだハリウッド女優は、未だに根強くはびこる社会の偏見に、立ち向かっている先導者でもある。彼女たちは自ら新しい女性の生き方を創造し、年齢を言い訳にせずに前進している。

 

子どもがいない“おこなしさま”が目指すのは、自分らしく生きることで幸せを引き寄せ、女性として輝き続けることではないだろうか。

 

 

ハリウッド女優から学ぶ、子どもがいない人生の歩み方 【おこなしさまという生き方 Vol.39