更年期が始まるサインって?52歳、「最初の違和感」は42歳のときでした

閉経の前後5年を一般に、更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45~55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。

私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?

オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)

【100人の更年期#44】

プロフィール

Sさん 52才、独身。千葉県在住の特別支援学級教師。両親、姉ともに教師。高齢の両親のケアをするために実家から車で15分の場所に40才でマンションを購入。

 

42才で感じ始めた不調。でも、なかなか周囲に言い出せなかった

「私は本当に狭いコミュニティで生まれ育ちました」と振り返るSさん。

父親は長年地元で校長を勤め、姉も優秀な教師でした。

 

「私はどちらかというと家族の中ではのんびりした性格。優秀な両親や姉には到底追いつけないのがわかっています。

両親ともおおらかに育ててくれたので劣等感は感じませんでしたが、小さい噂でもすぐ飛び交う地域柄、目立つ行動はなるべく避けるようには心がけてきました」

 

そんなSさんも大学を卒業すると、家族と同様に教員になりました。そして、特別支援学級を受け持つことに。とにかく体力勝負の仕事なので、なりふり構わず仕事をしてきました。

 

年齢が上がるとともに後進の指導や事務仕事で多忙度はアップ。42歳の誕生日を過ぎた頃、目まいを感じることに気づきました。

 

「息苦しさや倦怠感も感じましたが、同僚と言える人たちも年が10歳ほど上なので、根性で乗り切れ!的な発言が多くて。

身体の不調を根性で乗り切れるわけないじゃん……?と、誰もいない廊下でため息ばかりの毎日になりました」

 

男性上司の「まだ結婚しないの?」発言が普通に飛び交う職場です。いや、むしろ女性上司の方がその手の発言が多く、生理が酷い日に休みたくても「生理くらいで」と冷たく言い放つのは必ず女性上司でした。

 

「え?自分は大丈夫だったの?生理ひどいって自慢げに話してたじゃん?って、腹が立ちますよね。いま思い返してみると、その女性上司たちもその時更年期だったはず。心に余裕がなかったのでしょうね」

 

狭い狭い学校教師の世界では、対立するわけにはいきません。ヘラヘラと笑ってやり過ごすしかなく、なんで私こんなことで笑ってるんだろう?と感じる日々でした。

 

45才、ストレスから過食。あっという間に65kgまで太る

ある日、事件が起こります。いわゆるモンスターペアレンツのクレームです。

 

「特別支援学級ですから、こちらもとても気を使って生徒に接しています。時間外でも少しでも親御さんとのコミュニケーションをとるように心がけてはいたのですが……」

 

その親御さんから毎日のようにクレームを受けるようになりました。理由は毎日違い、やがてその対応だけで半日時間を取られるように。

それがどんどん酷くなり、Sさんの人となりにまでクレームが及ぶようになりました。

 

「独身で子供もいないような人に子供を任せられない! と言われた時には後ろから大きなハンマーで殴られたような気分で、頭が真っ白になりました」

 

その場はヘラヘラ笑顔でなんとか乗り切ったのですが、さらに追い討ちがかかります。

同席していた女性上司がそのご両親が帰った後でこう言いました。

「ちゃんと普通の生活してこなかったからこうなった、と。ねえ、普通の生活って何? 悲しくて、悔しくて、みんなが帰ったあとの職員室で声を押し殺して泣きました」

 

古い慣習の残る職場で、独身だというだけで普通扱いされない悔しさ。その頃からストレスを発散させるように食べることで解消するようになりました。

 

「残業中におやつをもりもり食べて、帰宅するともうお腹が減っています。

夜の10時過ぎから夕食を作り、夕食を作っている間は集中してその日の嫌なことを忘れられるというか。気持ちが無になるんですよね。

そこから食事をした後も12時過ぎまで何かしら口に入れていました」

悲しい、悔しい気持ちを食べることで満たしていたと振り返ります。

 

「気がつくと私は、150センチで65キロになっていました。

体重計に乗り、自分の体重を自覚すると、慌ててダイエットを初めます。でも、体力が落ちてしまい、さらにどか食いをして太るの繰り返しです。

若い頃と太り方が違うんですよね。2キロ落としてもそのあとのリバウンドで5キロ太るって感じ。

ここで私やっと、更年期だ!と気がついたんです」

 

30代まではたっぷり食べても、力仕事に近い仕事をしているおかげで太りませんでした。いまの自分はもっと代謝が落ちていて、痩せにくくなるんだと気づいたそうです。

 

48才、主任に昇進。だが、今度は後輩からの誹謗中傷を受ける

48才になったSさんは、学年主任に昇進しました。管理職に興味はなかったのですが、年齢的に上の人がいなくなってしまったのです。

 

「慣れない仕事ばかりでワタワタした対応しかできず、うまく対応しようとすればするほどイージーミスばかり。

やることが多くなるほど、頭が真っ白になる感覚。

これも更年期でしょうか? 焦りだけが募り、どんどん自分が壊れていく感じで本当に怖かったです」

 

そして今度は後輩からの嫌がらせを受けることになります。

20代の後輩たちが陰で「あの人更年期だから」「太っているから自己管理できていない」「あんな風に一人で年を取りたくない」という中傷していたのです。

 

とにかく外から隔離された職場なので、どれだけ陰で言っていようと、結局は耳に入ってきてしまいます。上の立場の人からの叱咤がなくなった途端に、今度は下の立場から「ダメ人間」のレッテルを貼られる理不尽。

 

「実はその頃にはどか食いは収まっていたんです。

なのに体重は70キロを超えていました。思い起こせばその頃、閉経に近い状況で3ヶ月に一度生理がくるような状態。

ホルモンバランスが乱れていたんでしょうね」

 

背中に肉がついてお腹には浮き輪のような贅肉が膨らんで、下を向いてもお腹で自分の足先が見えないくらい。

さすがに自分でも「何この姿…」と醜さを実感して鏡を見るのが嫌でたまらなかったと言います。

 

「若い時の太り方と全く違うんです。ついたお肉が全部下に向かっている感じ。

他人から責められることに慣れてしまって、自分でも自分をダメ人間、醜いと追い込んでいたのを覚えています。あの頃のことはあまり思い出したくないです」

 

50才。職場が変わったら別世界「環境で人はこんなに変わる」と実感

そんなSさんに、再び転機が訪れます。50才を過ぎた頃、職場を異動することになったのです。

 

「自宅マンションから車で1時間かかる場所なので、最初は乗り気じゃなかったんです。

でも、今いる場所から逃げ出したい気持ちも大きかった。

私のことを知らない人たちの中で生活がしたいという気持ちで恐る恐る新生活に乗り出しました」

 

気乗りしなかった異動ですが、いざ新天地での仕事が始まると、同じ特別支援学級でも和気藹々としていて職員同士がとても寛容な職場でした。

 

「『更年期で太ってしまって…』と恐る恐る言うと、『あら、私もよ』なんて気軽に話せるんです。これまでならすぐ誹謗中傷されていたのに。こんなに暖かく穏やかな人間関係があるだなんて、考えたこともなかった。驚いたし、はじめて私はここでなら仕事ができると安心しました」

 

新生活をはじめて2年近く経ちますが、今は、とにかく生徒たちのことだけを考えて仕事ができると笑顔を見せるSさん。

相変わらず太ったままですが、健康で仕事ができればそれでいいと自分を許せるようになりました。

 

「まだ更年期の渦中で先は見えませんが、人間関係ひとつでここまで人生の辛さが変わるなら、更年期の始まりの頃にもう少し自分をラクにしてあげる努力をすればよかった。異動願いを出してもよかったし、いっそ仕事を辞めてもよかったんですね。

 

40代に入ったら意識して『しないこと』『これ以上はできないこと』を決め、他人が無遠慮にその領域に割り込んでこないようにガードしないとなりませんでした。

 

更年期は、何歳から始まりますと決まっているわけではありません。周囲から聞く限り、みんなこれまでとは違う不調が『治らない』ことを意識して、『これが更年期か!』と気づくみたい。気づいたら、もう無理の効かない年に差し掛かったのですから、自分の身体と心を積極的に守ってください!」

 

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