どうやら原因は脳の「実行機能」にあるみたい

じっとしているのが苦手、集中が続かない、衝動的に行動してしまう…ADHDと診断されていなくても、このような特性をかかえることで「生きにくさ」を感じている人は多くいます。今回は、臨床心理士による著作「ADHD脳で困っている私がしあわせになる方法」から、「ツライ」を「楽」に変えるヒントをお送りします。【ADHD女子#10】

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私たちADHDの脳にはちょっと変わったクセが あります

注意欠如 ・ 多動症。 略してADHD。 このやっかいな 「障害」の原因は、 まだはっきりとはわかっていません。

注意欠如という不注意も、 多動性もADHDの 「結果」 として起こることであって 「原因」 ではないのです。

とはいえ、 さまざまな研究からわかってきたことがあります。遺伝性は高いようです。 ある研究によると遺伝率は80%近く。

確かに両親や親戚を見回せば、 似たような人がいるものです。

ではいったい彼らの何が遺伝してしまったのでしょう。

1990年以降、 MRIなどの脳画像診断技術を用いた研究が進み

「危険を察知するときに必要な脳の右半球が小さい」

「脳の形態が定型発達の人と違っている」

「自己コントロール力をつかさどる前頭葉の活動性が低い」

ということがわかってきました。 そう、 脳が少し違うんです。

根性がないわけでも、 意志が弱いわけでもない。

人とは少し形や働きが違う、 クセのある脳を持っているのです。

そんな脳を持っていると、どんな問題が起こるのでしょう

 

計画して実行して完成させるのがむずかしい

アメリカの発達障害の専門家で心理学者であるトーマス ・ E ・ブラウンは 「実行機能障害」 という仮説を立てました。

実行機能とは

計画を立てる⇒集中して実践する⇒別の刺激に飛びつきたい気持ちを抑える⇒最後までやり遂げる

というハイレベルの脳機能です。 幼い子どもはこの機能が未熟ですが、 20代くらいまでには発達すると考えられています。

そんな実行機能の 「発達」 が 「障害」 されているのがADHD。

この説が、 現在は最も有力なのです。

そして実行機能の障害があるとなぜADHDの症状が出るのか

はイギリスの心理学者エドマンド ・ソヌガ ・ バークらの研究でわかってきました。

「抑制制御」「報酬遅延」「時間処理」という3つの経路が障害されるからだ、 という仮説があります。

言葉がむずかしくなってきましたね。 でももう少しだけついてきてください。 この本の重要なポイントですから。

次回から、 もう少しやさしい言葉で説明したいと思います。

 

>>次へ(4/29 22:30更新)

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