チ~クタクチクタク 時計のリズムは乱れがち
じっとしているのが苦手、集中が続かない、衝動的に行動してしまう…ADHDと診断されていなくても、このような特性をかかえることで「生きにくさ」を感じている人は多くいます。今回は、臨床心理士による著作「
頭の中の時計の針が早すぎたり、遅すぎたりするのです
時間は目に見えません。 にもかかわらず私たち人間は
「そろそろ1時間たったかな」「いまは午後3時ごろかな」 と
肌感覚で時間をとらえています。 そして
「この仕事はあと3日かかるな」 とか
「あと1時間で終わりそう」 という見通しを立てて行動することができるのです。
これが時間処理能力です。
困ったことに私たちADHDは、 ここにも障害があるようです。
それを 「時間処理 (temporal processing) の障害」 といいます。
たとえばこんな実験があります。
子どもたちに、1~2秒おきに出る音に合わせてボタンを押してもらいます。
それを15回繰り返したあとで、 16回目からは自分の感覚だけを頼りに、
最初の15回と同じタイミングでボタンを押してもらいます。
正確に押せた場合の時間と、 実際にかかる時間のズレを調べる実験です。 さてその結果は?
はい、 みなさまの予想どおり、 ADHDの子どもはほかの子よりも時間のズレが大きかったのです。
時間感覚がズレている。それは時間処理の障害です。
だから自分では10分で終わると思っていることが、 40分かかるのです。
5分しかたっていないつもりが、15分経過しているのです。
「締め切りに間に合わない問題」の原因はここにあるのです。
時間を気にしていないように見えていつも時間に追われている私たち
私たちの脳内時計は、 めちゃくちゃゆっくり進んだかと思えば、
急に早くなったり、 チクタクチ……で止まってしまったりします。
時間をつかさどる小脳の働きに不正確さがあるようです。
そのせいでいろいろな問題が起きてきます。
たとえば、 思った以上に時間がかかっていることに気づけない。
朝、 歯みがきにかかる時間、 メイクにかかる時間、 着がえにかかる時間…
一つ一つの時間が正確に認識できていません。
だいたいの場合、 実際にかかる時間よりも短く見積もっているので、 時間に遅れてしまうのです。
たとえば、 上司に 「その仕事、 あとどのくらいで終わる?」 と聞かれても、
かかる時間を正しく見積もることができないので、
つい願望で 「あと1時間くらいでしょうか」 なんて答えてしまうわけです。
実際には1日かかったりするのにね……。
さらに、 目的地への到着時間を読むのもニガテ。
いまどきはネットで交通機関にかかる所要時間を確認することができるのですが、
「家から駅までの時間」「1本乗り遅れたらどうなる」
などの見積もりがうまくできていないこともあります。
そして気づけば時間がワープしてしまう。
ちょっとだけ休憩……とスマホをいじったとたん、 30分後にワープするのはよくある話。
時間に遅れる、 間に合わないというミスが多いせいで 「時間を気にしない人」 と思われがちですが、
実際には不正確な脳内時計に振り回されながら生活しているのが私たちの実態です。
>>次へ(5/2 22:30更新)
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