「富士フイルム」が化粧品開発にのりだしたワケ【開発秘話#6前】

2021.10.09 BEAUTY

こんにちは、よくいるタイプのアキバ系オタクことオトナサローネ編集部井一です。

 

開発や企画、設計やデザインなど「ものを作った側」の人々に、「なんでコレ作ったの?」とオタクが感涙しながらしつこくお聞きするシリーズ、今回は富士フイルム・アスタリフトの「ジェリー アクアリスタ」です。

 

今から15年前の2006年、富士フイルムが大規模な異業種参入を発表しました。化粧品分野の先鋒は「アスタリフト」。ローンチ3年後の2010年にはスターアイテムである初代ジェリー アクアリスタが登場します。実はこれらのプロジェクト、社の未来を賭けた壮大な「第二の創業」だったのですね……。

【開発秘話聞いちゃお!#6】

富士フイルム ライフサイエンス戦略本部 バイオサイエンス& エンジニアリング研究所 研究マネージャー 本間俊之さん

(以下敬称略)

フィルム事業が縮小しはじめた!老舗の起死回生策とは

 

 

--本間さんは07年、「第二の創業」時期の入社ですね。当時、研究開発部門はどういうムードだったのでしょう?

本間(研究開発)・化粧品という新たな挑戦ができる、やろうやろうと活気あるムードでした。写真フィルム市場が急激に縮小している中、手をこまねいているのではなく、ここまで社が培ってきた技術を応用しようという模索をしていました。

 

--新規事業ですから、社内に指導者のいない、未知の分野ですよね。

本間・それがいいんです。新人が写真部門に配属されてもすでにエキスパートが大勢います。でも化粧品領域では全員が一年生。ここで一番研究した人がその分野の第一人者になれます。夢がある(笑)。社内で一番になれるのは当たり前、早く最新の研究に追いつこうというポジティブなムードでした。

 

--そもそも、なんでフィルムの会社が化粧品を作ろうと思ったのでしょうか?

本間・富士フイルムは写真フィルムの開発や製造で培ってきた幅広い分野の独自技術を持っています。その1つが、紫外線による写真フィルムの劣化を防ぐ抗酸化研究。アスタリフトのキー成分である「アスタキサンチン」は、天然成分で非常に抗酸化作用の高い成分です。これをキーにした化粧品が開発できれば、高機能なエイジングケアが実現できるという確信がありました。

 

--なるほど、その確信はズバリ当たって今日に至る、という感じですね。

本間・ところが、このアスタキサンチンがものすごく厄介な成分なのです。まず、水に溶けません。つまり、化粧品に非常に配合しづらい成分なのです。

 

--溶けないというと、ドレッシングみたいなイメージでいいですか?

本間・そうですね。振って混ざるドレッシングのように短時間であれば小さな粒子にすることは簡単ですが、すぐにまた粒子が大きくなってしまいます。化粧品に配合するためには小さい粒子のまま維持しなければいけないのですが、小さくすればするほど粒子同士がくっつきやすくなったり、分解しやすくなったり、成分自体の安定性が悪くなってしまいます。この課題をクリアした「ナノアスタキサンチン」の開発が最初のハードルでした。

 

難易度ウルトラCの素材・セラミドに「惚れ込んでしまって」挑む

 

--ただでさえ難しいのに、ブランドロンチから3年、ジェリー状先行美容液というさらに難しそうな化粧品が登場しました。

本間・ジェリー アクアリスタの初代は2010年登場です。当初はセラミドを高配合する化粧水として企画していましたが、研究が進むにつれ、セラミドを高濃度に配合するためには、化粧水ではなくジェリー形状が最適だということが分かったため、ジェリーで行こうと決まりました。ちなみにこのジェリーの透明度は、セラミドがナノサイズに微粒子化されている証なんです。

 

 

--化粧水でもよかったのでは…というようなことをつい思ってしまいますが?

本間・当社はとにかくセラミドの効果に惚れ込んでいました。セラミドを効果的に肌に届けるにはどうしたらいいのか?化粧水だと少量しか配合できないものを、肌に高濃度に届けられるのがゆるっとしたジェリー状でした。セラミドの効果を実感できなければこの製品を出す意味がない、ということでセラミドを高濃度に配合できるジェリーで出すと決まりました。

 

--社会に対して果たすべき役割がある、そのために製品を作っていく、という考えですね。

本間・これが富士フイルムらしさなのですが……写真フィルムには絶対に不良品があってはならない、だから納得いただける品質まで絶対に諦めないという文化があります。デジタルカメラのようにその場で画像を見ることができなかった時代、人生の大切な思い出を残す写真フィルムに不良品があったら、大切な思い出を二度と見ることができなくなってしまう。化粧品事業でも、機能効果を届けるために、最後まであきらめないという文化を継承しているんです。

 

つづき>>>どんどん上がっていく開発ハードル、ついに「ゼロから作り直し」まで?

     

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この記事を書いたのは
OTONA SALONE編集部 井一美穂

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