じわじわキテる!子なしアラフィフ女性の「おこなしさま婚」
「本気で、でき婚を狙っている」
婚活に励む30代半ばの彼女の目は真剣だった。いまや結婚は勢いだけでは、なかなか出来ない時代になってきた。結婚を後押しするキッカケとなるのが、いわゆる「できちゃった婚」。厚生労働省の「出生に関する統計」(平成22年度)によると、全国平均は25.3%。つまり約4人に1人が、子どもができたから結婚する「でき婚」なのだ。
とはいえ、でき婚は年齢が低いほど割合が高いのが特徴。15~19歳で8割、20~24歳で6割、25~29歳で2割、30歳以降で1割と、30歳を過ぎると、でき婚を狙うのも簡単ではなさそうだ。その彼女も「でき婚作戦」は上手くいかなかったようで、頑張っていた婚活にも疲れ、このまま生涯“おひとりさま”かもと考え始めている。
50歳で一度も結婚していないと生涯未婚!?
近年、“おひとりさま”の割合がぐんぐん伸びている。国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集2017」によると、男性の生涯未婚率が23.37%、女性の生涯未婚率が14.06%と過去最高を更新した。
この「生涯未婚率」は、50歳時の未婚率を算出したもので、生涯を通して未婚である人の割合を示すものではない。50歳まで未婚なのだから、それ以降は結婚確率が低いとの見解だと思うが、これからは50代以降に結婚する人が増えるのではないかと私は推測している。
そこで、50歳以上での初婚件数はどれくらいあるのか調べてみた。厚生労働省の平成27年 人口動態調査「年齢別にみた年次別婚姻件数(初婚の夫・妻)」によると、50~54歳の男性初婚件数は、1980年 270件、1990年 623件、2000年 2453件、2015年 2950件と、2000年代に入ると件数がぐんと伸び、ここ数年は2千件台が続いている。
50~54歳の女性初婚件数は、1980年 828件、1990年 579件、2000年 831件で、2012年までは600~800件の間で推移している。その後、2013年 941件、2014年 973件、2015年は1169件と初めて千件を超え、じわじわと50代の初婚が増えている。
アラフィフ女性の初婚件数が増加
初婚で50代女性ならば、未産で子どもがいない“おこなしさま”の可能性が高い。女性は出産可能な年齢に限りがあるので、だいたい45歳以上のアラフィフになれば、生涯子どもがいない“おこなしさま”人生がほぼ確定する。
妊娠できる可能性がなければ、自分の子どもが欲しかろうが、そうでなかろうが産めないのだから仕方ない。妊娠・出産できるか分からないグレーゾーンにいるより、白黒ハッキリしていれば気が楽になることもある。
アラフィフの前半にあたる45~49歳女性の初婚件数も見てみよう。1980年~2000年頃までは千件代が続いているが、2008年に入ると2千件を超え、2013年 3366件、2014年 3399件、2015年は3813件と、この世代も初婚件数がじわじわ増加してきている。
現在のアラフィフ世代といえば、均等法第一世代やバブル世代にあたる。1986年に男女雇用機会均等法が施行された頃は、まだ女性は結婚か仕事かの二者選択を強いられる時代だった。若い頃に仕事を優先したアラフィフ女性が、少しずつ結婚を選択し始めているのだろう。
40代以降は別居婚、通い婚が理想?
知り合いにも50代で結婚した人がいる。女性は初婚で子どもがいない“おこなしさま”、相手は再婚で子どもはすでに成人しているカップル。それぞれの生活ベースは変えずに、お互いの家を行ったり来たりする結婚スタイル。
いまから結婚するなら、別居婚や通い婚が理想。40代以降の“おひとりさま”女性が集まると、そんな話が繰り広げられている。独身生活が長くなると、自分一人での生活リズムが出来あがっているので、いまさら相手に合わせるのは大変なのだ。
アラフィフで初婚だと、夫婦間で子どもはどうするかを考えなくていい。相手に連れ子がいなければ、子どもがいない“おこなしさま婚”になる。出産育児は想定しなくていいけど、その代わり親の介護問題が現実味をおび、自分の老後のことも視野に入ってくる。
50代に入ってから本格的に婚活を始めた女性もいる。きっかけは病に倒れ、入院したこと。加えて、フリーランスで働いていることも将来一人でいることへの不安を押し上げているようだ。いままでなんとなく結婚せずにきてしまったけど、人生の後半は一緒に支え合えるパートナーがほしい。
50歳を境に算出される「生涯未婚率」だけど、逆に生涯未婚率が上がっているからこそ、あと10年もしたらアラフィフの“おこなしさま婚”が新たな結婚スタイルとして、注目されているかもしれない。
じわじわキテる!子なしアラフィフ女性の「おこなしさま婚」 【おこなしさまという生き方 Vol.45】
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