子なし世帯の4割が近隣住民のアノ音が気になっている
せっかく気に入った物件に巡りあっても、近隣トラブルに悩まされたら住み心地のいい家とはいえない。なかでも最も発生しやすいのが騒音問題。
騒がしい声や楽器の音など、さまざまな生活音が耳障りな騒音となってしまう。騒音と感じるものの中で、大きく占めているのは「子どもの出す音」。子どものいない“おこなしさま”は、とくに子どもの騒音に敏感になっているようだ。
全体の3割が近隣住民に不満をもっている
「住んでまだ3ヶ月しか経っていないけど、引っ越すことにした」
原因は何かと聞けば、隣人の騒音だという。彼女は週に何度か夜勤があり、明け方に帰ってきて昼間寝るのだが、日中お隣の子どもたちが騒ぎながら走り回る音で眠れないと困っていた。
昼間に就寝しているので少し静かにしてほしいと低姿勢でお願いしたところ、「子どもがやることなので」と言われ、引っ越すことを決意したという。
逆に子どもの泣き声がうるさいとクレームを言われ、引っ越さなきゃいけないと嘆いていた友人もいた。赤ちゃんの夜泣きは仕方ないことだし、子どもは故意で騒いでいるわけではないけど、不満を感じたことがある人は案外多い。
「SUUMO 近隣トラブルに関する調査」(2015年)によると、「近隣住民に不満がある」と感じている人は、一戸建て・集合住宅に関わらず約3割。不満の中で圧倒的な1位は騒音で45.9%。
騒音のなかで、かなり気になるものを順位付けすると、1位 子どもを叱りつける親の声 21.0%、2位 子どもの騒がしい声 20.8%、3位 子どもの泣き声 17.8%、4位 ペットの鳴き声 16.3%、5位 子どもの足音 16.0%と、5位以内に子ども絡みの騒音が4つもランクインしている。
独身者の4割以上が不満ありと回答
子どもたちの声を聞いて微笑ましいと感じる人もいれば、うるさいと受取る人もいる。
音は聞きなれれば徐々に気にならなくなっていくが、子どもがいない人は「子どもの甲高い声」が聞きなれてないので、余計に耳障りに感じてしまうのかもしれない。
先の近隣トラブルに関する調査でも「不満がある」と回答したのが、既婚者 26.2%、未婚者 41.2%と、未婚者の割合が高い。子どもがいる家庭なら、子どもの出す音に対して寛容になるが、そうでなければ騒音と受け取られてしまうこともある。
子どもの有無できっちり住み分けすることは難しいが、子どもがいるファミリーと、子どもがいない“おこなしさま”とで、望む物件の条件に若干違いがある。
住宅系ニュースサイト「マンションサプリ」が行った「物件選びに関する実態調査」(2016年)を参照すると、子どもがいない世帯は、いる世帯よりも通勤や出かける際の利便性を優先する比率が高い。一方、子どもがいる世帯は利便性に加えて、子育ての視点から住環境を重視する傾向がある。
子どもの有無で選ぶ住環境とは
学校や公園の近くにある物件は、子どものいるファミリーが中心。利便性のいい都心の駅近物件では、単身世帯や共働き夫婦の率も高いので、子どもが出す音に対して敏感な人達が住んでいる可能性が高い。
住む家は選べても、隣人までは選べないのが実情。日本の人口密度は高いので、ある程度近隣の音が聞こえてしまうことは仕方ない。子どものいない“おこなしさま”世帯で静かな住環境を望むのであれば、子育て世帯が多いマンションや学校が近い場所は避けるなど、契約する前に何度か訪れて自分にとって快適に住める場所か確認しておくことも重要だ。
また、シングル・DINKS向けとうたった物件を選択することもトラブルを最小限に防ぐ方法のひとつ。物件を選ぶ際には、間取りや家賃だけではなく、周りの環境やどんな人たちが中心層なのか事前にチェックしておこう。
騒音トラブルを最小限に防ぐ方法とは
「静かにして」といったところで、静かにできないのが子ども。知らない子どもの声だとイライラしても、顔見知りなら〇〇ちゃんがはしゃいでいる程度で許せることもある。我が家の隣人は、小さい子どもが二人いるが「いつも子どもがうるさくてすみません」と何度か言われたことがある。クレームが入る前に、周辺への気遣いを見せておくことも得策だろう。
働いている立場でいえば、仕事で夜12時近くに帰宅するのが日常だったころ、近隣の方から「夜中にお風呂に入る音がうるさい」と御叱りを受けた経験がある。まさに、生活リズムの違いから起こる問題。クレームを言う方も言われる方も気分のいいものではないので、できれば騒音トラブルは避けたい。
「お互いさま」と思える寛容な気持ちはもちろん大切だが、昔のように誰もが「結婚して子どもを持つ」のがあたり前ではなくなっていくなか、生活音に関する近隣トラブルには一層の注意が必要だ。多様化が進んでいる現代だからこそ、生活スタイルに合う家や環境を見つけることが、快適な暮らしを手に入れる一番の近道かもしれない。
子なし世帯の4割が近隣住民のアノ音が気になっている 【おこなしさまという生き方 Vol.46】
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