「オミクロンを軽症だとナメてはいけない」内科医が警鐘を鳴らす2つの事実

軽症傾向が高いと言われるオミクロン株。実際、臨床の現場の実態はどうなのでしょうか?

岐阜県岐阜市で地域のファミリードクターとして総合診療を担う医療法人社団藤和会 あんどう内科クリニックの院長・安藤大樹先生に「いまプライマリケア医が肌で実感しているオミクロン株」について伺いました。

 

軽症だと報道されたのが悪かった。「あまりに緊張感が低すぎる」

「まず、問題だなと思うのは、風邪みたいだ、インフルエンザより軽いという情報が初期にたくさん出すぎて、緊張感が低すぎる点です」

 

そう警鐘を鳴らす安藤先生。

 

「私たちのクリニックでも、第5波までなら患者さんたちは受付の時点で、風邪の症状があります、熱は何度です、症状はこんな感じですと自主的に申告してくれていました。でも、第6波は申告そのものがないんです」

 

受付で検温は行うものの、オミクロン株は発熱しない方も多いため、熱の有無だけで病院側もチェックしきれません。診察の段階になってやっと、今日はのどが痛くて受診しましたと言われることも多々あるそう。

 

「もしも陽性判定の場合、待合室に座っていた時間によっては周囲で待っていた人たちまで濃厚接触者になってしまいます。そもそも本人にも座っていた時間すらわからないケースが多いため、その後の対応が非常に困るんです」

 

このケースが見られるのは、主に30代以下で比較的リスクの低い若い層。私たちも忘れがちなことですが、咳、鼻水、発熱など風邪症状で受診する際は必ず事前にクリニックに電話で相談し、最悪でも受付で申告する必要があります。

 

「何より、本人もこの症状が申告すべきものと気づけない点がやっかいです。というのも、オミクロン株では熱が出ない人が3割、咳が出ない人も5割。この症状だからコロナという典型症状がないため、余計難しいんです。かといって、体調が悪い人すべてに申告をお願いすることも無理があります。そもそも病院は、皆さん多かれ少なかれ体調不良を抱えて受診されますので」

 

では、そんな中でも多く見られる症状があるのでしょうか?

 

「これまでの新型コロナに比べれば、のどの痛みを訴える傾向があります。が、一般的な風邪と同程度。今年はインフルエンザ以外の風邪がそこそこ流行っており、中でものど風邪が多いため余計判別が難しい状態です。逆に、オミクロン株では下痢や吐き気症状はそれほど出現しないため、こちらが主訴の場合は胃腸風邪だろうと判断しやすいです」

 

軽症だからとあなどるなかれ、後遺症を発症する確率は同程度

安藤先生がもう一つ警戒するのは意外にも、後遺症です。

 

「後遺症はかなりの確率で出現します。軽いものまで含めれば、軽症で3割、重症なら7割くらいでしょうか。現在のオミクロン株の症状そのものだけを見れば慌てることはないものの、重い後遺症が出た場合は長く苦しむ可能性があります。予断を許しません」

 

安藤先生が警戒する背景には、地域の医療リソース問題もあります。都市部にはコロナ後遺症専門の外来がありますが、地方で探すのは非常に困難です。そのため、ネットで検索し、総合診療での対応を求めて安藤先生のクリニックを受診する人も多数いるそう。そのため、先々のことが一定予見できるのですが、どのような後遺症があり得るのでしょうか?

 

「最悪の場合、強い倦怠感でベッドから起き上がれないケースもあり得ます。今までの株でみられた味覚・嗅覚異常や脱毛も辛い後遺症ですが、基本的には時間薬で改善する症状なのである程度経過を追うことが出来ます。ですが、だるさ、動悸、めまい、頭痛など、自律神経系の後遺症症状はコロナの場合他のウイルス感染症に比べて非常に発症確率が高く、長引きやすいのです。警戒したいところです」

 

まだ日本ではオミクロン株の後遺症段階まで事態が進んでおらず正確なデータは不明ですが、海外の症例報告では比率は第5波までと変わらず、少ない場合で1割、多い場合で3割の報告があります。

 

「感染時に無症状でもあとで後遺症が出る可能性があります。海外ではそうした報告がすでにあるため、我々地域のプライマリケア医は警戒を弱めていません。早ければ2月、3月ごろから問題になると思います」

 

後編に続く>>> オミクロン株、肝に銘じるべき意外な「2つの問題点」とは?

 

お話・安藤大樹(あんどうだいき)先生

内科医

医療法人社団藤和会 あんどう内科クリニック院長。藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)卒業後、同大学病院研修を経て、同大学病院総合診療内科所属。2011-2015年にかけて同院最優秀指導医賞受賞。岐阜市民病院総合内科を経て現職。岐阜大学総合病態内科学非常勤講師、藤田医科大学救急総合内科客員講師。

 

『医療よろず相談所』をクリニックのコンセプトに掲げ、医療に関わるあらゆる問題に向き合う生粋のプライマリ・ケア医。「プライマリ・ケアは日本の医療を救う」と信じ、若手医師の教育も積極的に行っている。

 

岐阜県岐阜市東駒爪町5 tel: 058-262-2974

andoc-clinic.com

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