オミクロン株で警戒すべき点は?「子どもの感染」にも注意?【医師に聞く】

軽症傾向が高いと言われるオミクロン株。実際、臨床の現場の実態はどうなのでしょうか?

岐阜県岐阜市で地域のファミリードクターとして総合診療を担う医療法人社団藤和会 あんどう内科クリニックの院長・安藤大樹先生に「いまプライマリケア医が肌で実感しているオミクロン株」について伺いました。

 

オミクロンの症状は全体的に軽症、特徴は「咳・鼻・のど」

――軽症だと言われるオミクロン株ですが、ここまでの診察で見られた症状を教えてください。

「オミクロン株感染だと診断を受けた人の典型症状は『上気道症状』です。簡単に言って、『咳・鼻・のど』の3点セットです。熱が出ることもありますが、出てもそれほど上がらないか、すぐに下がる傾向。そのため、新型コロナウイルスに感染したと気づかないケースが多いようです」

 

――のどの痛みだけで熱がない場合も、オミクロン株を疑ったほうがいいでしょうか?

「発熱を伴わない感染者も約3割見られるうえ、従来のような味覚・嗅覚の異常もほとんどないため、原則的に『風邪症状ならどんな時でも疑わなければいけない』です。今年は季節かぜでものどの痛みを訴える方が多く、症状だけでは判定が難しい状態です。また、胃腸風邪も流行っていますが、下痢・吐き気はオミクロン株の典型症状ではないため、こちらは陽性の可能性はやや低くなります」

 

――私が住む自治体では発熱を伴わない場合はPCR検査が自費で高額、のどの痛みだけでは受けられません。薬局で売られている簡易抗原キットで陰性ならば陰性だと考えて日常活動に戻っていいでしょうか?

「 薬局の抗原検査キット自体の感度は、病院で行われるものと大差はありませんので、陽性の場合はすぐに保健所や医療機関に相談してください。問題は陰性の時です。そもそも抗原検査はPCR検査に比べてある程度ウイルス量がないと検査ができません。一般的には症状がある患者さんに使用するものですので、症状がない状態での拾い上げには向いていないのです。正確な検査手順が踏めるかも分かりませんので、陰性でも経過から疑わしい場合は少し様子をみるようにして下さい」

 

――のどの痛み、下痢など、オミクロン株の完全な典型症状ではない風邪症状が出ている場合、抗原キットでも陰性ならば、電車に乗ってもいいでしょうか?

「発症していないだけの感染者が非常に多く、全人口にPCR検査を実施したら相当な数の陽性が出ると思います。ハイリスク群が罹患した場合にどのような経過になるかがまだ定かではありません。すでに症状があるのならば、なるべく他者にうつさないよう、すでに自分は感染しているという前提で行動してください」

 

――症状が軽いため、どの程度の警戒をすべきか難しいと感じます。先生の実感はいかがでしょう。

「新型コロナウイルスとしての毒性が落ちているのは間違いありません。オミクロン株はわかっていないことが多いので、どのような対処が正解なのかについては何とも言えないのですが、重症化リスクのない若い人ならば今まで通り3密回避、手洗いうがいといった今まで通りの対処で足りるのではと思います」

 

ワクチン未接種の子どもの間での感染は社会生活が止まる

――今回は12歳未満の子どもの間での感染も広がっていますが、注意点はありますか?

「小学校以下の学校での感染は濃厚接触者数が大量に出るのが特徴で、先生が感染するパターンも多く、まさに子どもの感染は社会生活をとめるなと危機感を抱いています。塾、習い事などの教室にも注意が必要でしょう。ですが、重症化リスクのない、日常的に通園通学して生活している子どもたちは感染しても症状が軽い例がほとんどなので、学校を休む、電車に乗らないといった極端な対応は必要ありません」

 

――子どもへのワクチン接種は迷います。副反応リスクがあっても接種すべきでしょうか?

「本人の感染を予防するだけでなく、前述の通り社会を止めてしまいかねない大規模感染を予防する、社会的免疫の要素があります。ぜひ接種してください」

 

つづき>>>オミクロン禍の3回目ワクチンどうする?「接種すべきなのか迷う」人に

 

 

お話・安藤大樹(あんどうだいき)先生

内科医

医療法人社団藤和会 あんどう内科クリニック院長。藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)卒業後、同大学病院研修を経て、同大学病院総合診療内科所属。2011-2015年にかけて同院最優秀指導医賞受賞。岐阜市民病院総合内科を経て現職。岐阜大学総合病態内科学非常勤講師、藤田医科大学救急総合内科客員講師。

 

『医療よろず相談所』をクリニックのコンセプトに掲げ、医療に関わるあらゆる問題に向き合う生粋のプライマリ・ケア医。「プライマリ・ケアは日本の医療を救う」と信じ、若手医師の教育も積極的に行っている。

 

岐阜県岐阜市東駒爪町5 tel: 058-262-2974

andoc-clinic.com

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