8割の女性が「なんとなく不調」を感じてた!原因と対策は【医師に聞く】

テレワーク中、疲労や肩こり、目の疲れ、頭痛など、なんとなく不調を感じていませんか?

もしかしたら貧血が隠れている可能性があるほか、更年期障害だと思っていても、実は違ったというケースもあるようです。

そこで今回は、テレワーク中に感じがちな「なんとなく不調」についてのアンケート調査結果と共に、医師による対処法のヒントをご紹介します。

 

8割の女性が「なんとなく不調」を感じている!?

株式会社ツムラが、2021年12月、20代~40代の男女1,800人を対象に不調に関する実態を調査したところ、新型コロナウイルス感染症の拡大から2年目の2021年は、心身の不調を感じた人が60.1%と前年の同調査より増加していました。今年2022年の体調の予想でも60.6%が「不調を感じそう」と回答し、今年もまた不調に悩む人が増えるようです。

 

  • なんとなく不調を感じる女性は83.3%

日常生活の中で「心身の調子がなんとなく悪い」と感じる「なんとなく不調」を感じるかと聞いたところ、全体の77.1%が感じると回答し、前回調査よりも7.6%増えていました。女性では83.3%と8割にも上っています。

 

  • 女性のなんとなく不調の症状TOP3は「疲れ・だるさ」「目の疲れ」「肩こり」

では、なんとなく不調を感じる人たちは、具体的にどんな症状があるのでしょうか? 女性は、多い順から女性は「疲れ・だるさ」62.5%、「肩こり」54.9%、「頭痛」53.5%となりました。

 

働く女性とテレワークとの微妙な関係

また、テレワーク経験者に「出社・出勤の場合、体調不良の日の働き方が楽になるか、苦労しそうか」と聞くと、テレワーク中の女性は出社・出勤を「苦労しそう」と回答した人が56.8%にも上り、心配する割合が最も高くなっていました。体調不良を感じやすい人は、テレワークを望んでいる傾向であるようです。

 

  • テレワークは体調に合わせた働き方ができるメリットも

テレワークは、職場の仲間に気遣ってもらうことはむずかしいものの、自分自身で健康管理しつつうまく調整することで、体調に合わせた働き方ができるというメリットも多くの人が感じていることが分かりました。

テレワークをしたことがない902人を含む、有職者1,671人を対象に「テレワークは、自分の身体的・精神的な不調を一緒に働いている人に気付いてもらえるかどうか」を聞くと、「気付いてもらえない」のほうが多く41.5%に。また、「自分の身体的・精神的な不調を一緒に働いている人に相談しやすいか」と聞くと、「相談しにくい」のほうが多く39.8%となりました。

一方で、テレワークは「不調の日でも働きやすい」(51.2%)、「不調の日にも休みやすい」(41.0%)、「育児・介護・看護と両立した働き方がしやすい」(40.5%)などと半数近くの人が回答しており、テレワークと不調とは相性がいいようです。

 

婦人科医がアドバイスする「なんとなく不調」への対処法

婦人科医の丸山綾先生は、この調査で多くの人たちが感じていることが判明した「なんとなく不調」への対処法について、次のようにアドバイスしています。

 

1.20代~30代女性はコロナ禍の影響を受けやすい

「今回の調査では、20代女性の多くが不調を感じていることが分かりました。女性はもともと月経により自律神経の不調が多くなり、環境変化の影響を受けやすいのですが、20代~30代は学生から社会人になったり、結婚や出産をしたり、プライベートでも変化が大きいことから、他の年代に比べるとコロナ禍の影響をより受けやすいと考えられます」

 

2.更年期障害を疑っていた人が「睡眠障害」だった例も

「また調査結果では、2021年は冷えや寝付きの悪さを訴える人が増えていますが、コロナ禍による慢性的な運動不足や生活リズムの乱れにより、全身の症状として表れてきたと考えられます。実際、診察する中でも、睡眠障害を訴える患者さんは増えているように感じます。

例えば40歳前後の方で、本人は更年期障害を疑って受診されるのですが、診察するとそうではなく、生活リズムの乱れや精神的なストレスによる睡眠障害が疑われます。このような場合、生活習慣の改善をお勧めし、必要に応じて漢方薬を処方しています」

 

3.「なんとなく不調」は生活リズムと運動習慣で自律神経を整えよう

「女性の8割以上が『なんとなく不調』を感じていますが、なんとなく不調は、体温調節やカラダの基本的な調節を担う『自律神経の不調』であることが多いようです。ですから、まずは睡眠・食生活・運動習慣など生活習慣や生活リズムを整えることが前提です。生活リズムは寝る時間と起きる時間を一定にすること、そして運動習慣が大事です。

漢方医学では、気血水という三つの要素が滞っていることが、不調を引き起こすと考えます。この気血水を巡らせるのが運動です。散歩をしたり室内でスクワットしたり、自分の体力や好みに合わせて体を動かす習慣をつけることが、不調の予防にとても役に立ちます」

 

4.医療機関へ気軽に相談を。隠れた病気が見つかることも

「仕事や育児などで、自分だけではコントロールできないこともあります。そんなときは、医療機関に相談してください。今回の調査でも不調で病院を受診する女性はごくわずかでしたが、不調ぐらいでは病院に行かず、どうにも我慢できなくなってやっと病院に行くという回答が見られました。その背景には、月経痛などの不調を病気と思っていないことや、我慢を美徳とする傾向などが考えられます。しかし、不調を我慢する必要はなく、適切な対処をすることで、不調のない日常を取り戻すことができます。

 

医療機関を受診することで、隠れた病気がないかを確認できるメリットもあります。20代~40代女性では、疲れやすさや頭痛の原因として、『隠れ貧血』が多く見られます。自己判断でのセルフケアで時間とお金を費やしてしまう方もいらっしゃいますが、適切な血液検査で確認できる場合が多く、実は全く別の原因が…というケースも残念ながらあります。

なんとなく不調のように病名が付かない場合でも、症状があれば対症療法や漢方薬などで治療することができます。病気ではなさそうだし…と自己判断せず、心身の不調を感じたら、医療機関に気軽に相談することをお勧めします」

 

  • 受診のポイント

丸山先生によると、医療機関を受診するときは、こんな準備をしておくといいそうです。

 

「気になる症状に対して、(1)どのような病気かを知りたいのか、(2)その症状を緩和させたいのか、どちらを優先したいのかなど、ご自身の希望を伝えていただくと、それに合わせた治療方針が立てられ、詳しい検査をするか、検査より治療を優先するかなど、よりスムーズな対応ができます」

 

「なんとなく不調」の調査結果を見て、まさに同じような不調に悩んでいるという人は多いのではないでしょうか。まずはセルフケアを心がけ、それでも心身の不調を感じるのであれば、医療機関で相談することを選択肢の一つとして上手に不調と付き合っていきたいですね。

 

 

お話しを伺ったのは…

丸山 綾(まるやま・あや)先生

「霞が関ビル診療所」 婦人科医。1999年、日本大学医学部卒業。駿河台日本大学病院(現日本大学病院)、丸の内クリニックなどを経て、現職。専門は産婦人科一般、漢方診療。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医。

霞が関ビル診療所 東京都千代田区霞が関3-2-5

https://kasumigaseki.kenkoigaku.or.jp/

 

 

画像出典:Shutterstock/Roman Samborskyi

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