適応障害ってどういう状態?うつ病とは違うの?もしあなたがストレスを感じたら
人は人生のあらゆる場面で、大きな環境の変化を体験します。進学のために転居したり、社会人として会社に就職して働くようになることもそうですし、異動や転勤、結婚、出産などもそうです。
こうした環境の変化からくるストレスで、心身に障害が出て、社会生活がうまくいかなくなることがあります。それを適応障害と言います。五月病はその代表と言えますが、適応障害は軽度の精神疾患なので、そこからうつ病になってしまうことがあり、軽く考えるのは危険です。
■適応障害とは
適応障害とは、きっかけがあり、ストレスの源から離れるとよくなるものを指します。「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されており、ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると症状は次第に改善します。また、うつ状態の中でも楽しめることが起きれば楽しめます。
厚労省サイトいっぽう、うつ病では、一旦うつ状態が始まるとストレスから離れてもよくならず、楽しめることがありません。
■うつ病とは
うつ病とは、憂うつ、不安、倦怠感、無気力、イライラ、などの気分障害(気分の変動を長期間コントロールできなくなり、強い苦痛を感じるようになって、社会的活動が困難になる状態)が続き、強い苦痛を感じる病気です。
主な症状として、精神的には、気分の落ち込み、悲観的になる、興味が湧かない、集中力の低下、自信喪失、不安感、絶望感、自殺願望などが挙げられます。身体的な症状としては、不眠などの睡眠障害、食欲減退、急な体重減少、ひどい倦怠感、肩こり、原因不明の痛みなどがあります。本人はこのような複数の症状に苛まれ、動くことすらできなくなってしまう場合もあります。
■うつ病は身近な病気
うつ病の罹患率は、10〜15人に1人と多く、医師を受診していない人も含めれば、その数はさらに大きくなります。また、女性の罹患者が多いのも特徴です。つまり、うつ病とは誰がなってもおかしくないメジャーな病気と言えるのです。
うつ病の原因ははっきりとはわかっていませんが、ストレスなどの外的要因が大きいと考えられています。たとえば、配偶者や家族との死別、病気、離婚、退職などの大きな出来事や、人間関係、仕事、昇進、転居、出産、子育てなどの日常的な出来事がストレスになります。
また、最近は、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン)の調節障害が関係していることもわかってきました。
■うつ病になりやすい人
うつ病になりやすい人の特徴としては、性格的に、几帳面、勤勉、良心的、周囲に気配りをする人、人前で明るく振る舞う人、悲観的思考をしやすい人、細かいことが気になる人などが挙げられます。
うつ病は、数カ月から数年で改善していく病気です。しかし、発見が遅れてしまうと治るのに時間がかかってしまいます。
また、医師によっては更年期障害などと診断されてしまうこともあるので、必ず専門医に診てもらいましょう。自分の心身の苦痛を医師にきちんと話すことが病気改善の近道と言えます。
■非定型うつ病
最近、新しいタイプのうつ病と言われる、非定型うつ病(新型うつ病)が増えています。症状は従来のうつ病と似ています。
特徴的なのは、「自分に対して好ましいことや都合の良いことがあると気分が良くなる」という点です。たとえば、仕事に行くことは困難なのに、休日は元気に遊びに行くことができます。また、過食、過眠も、非定型うつ病の特徴です。
人間関係では、他人から拒絶されることに対して敏感になり、社会不安、対人恐怖の傾向があります。
こうした独特の症状から、非定型うつ病の人は、周囲から自分勝手だと思われたり、怠けているだけ、と偏見を持たれることが多いのですが、本人は本当につらく、どうしていいのかわからないという病気なのです。
■もし、うつかな?と思ったら…
このような、一般的なうつ病も、非定型うつ病も、本人はとても苦しいものです。
もし自分に当てはまることがあれば、なるべく早く専門医に診てもらうことが、重症化しないカギです。
また、ひとりで思い悩まずに家族や信頼できる人に話してみることも大事です。症状の改善には周りの人の協力も不可欠です。勇気を出して、「私は今こういう症状です」と伝えるのが治ることへの第一歩です。
うつ病は必ず治る病気です。うまく症状と付き合い、環境調整も行ないながら、焦らず治癒を目指しましょう。