更年期、不安感で友達との会話が怖い。こんなことで病院に行っていいの?【Dr.新見の更年期あかるい相談室】#6

このシリーズの一覧

青年期、壮年期などと同じような時期の呼び方として、女性の閉経の前後5年を更年期と呼びます。

日本人の閉経の平均は50歳のため、45~55歳は更年期にあたる人が多数。この時期に女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、更年期障害と呼ばれる状態に至る人もいます。

乳がんのセカンドオピニオンを中心に診察する医師の新見正則先生は、丁寧に私たちの訴えに耳を傾けながら、「だいじょうぶ!更年期は絶対終わるから!」と太鼓判を押してくれる力強い味方。そんな新見先生に「医師に聞いていいのか迷うこと」をまとめて聞くシリーズです。

【Dr.新見の更年期あかるい相談室】#6

Q・いろいろな症状が出ていますが、病院に行くタイミングがつかめません

昨年の5月下旬から寝汗をかくようになりました。朝起きてから同じ部屋で寝ている主人と小5の子どもに「夜中暑かった?」と聞いても暑くないと言われました。このころから夜中に目が覚めるようになり、いまも睡眠不足が進んでいます。

 

思い返せばその前後で生理が不順になり、同時にわけもなく不安になって後ろ向きな考えが増えました。私は元来、くよくよせずおおらかな性格だったのですが、被害妄想をしてしまい、親しい友人とでも会話するのが怖くなってしまいました。それまでがんばっていた自己啓発にも取り組めなくなり、この1年なんだか頭がぼさっとしてシャキっとしません。3~4年前からは性交痛も感じています。

 

こんな具合に細かい不調がたくさんありますが、一つ一つが耐えがたいわけでもなく、病院に行くタイミングがわかりません。頭痛などもないのでなんとなく毎日を過ごしていますが、どうすればいいのでしょう。

(マキさん・47歳 更年期症状の度合い/不調が出ることもあるが、なんとか乗り切れそう)

 

A・言いにくいこと、普段口にしないことこそ、最大の悩みかもしれません

マキさん、いろいろ大変ですね。もとがおおらかなマキさんだからこそ、このようにある程度達観した相談で済んでいるのかもしれません。

 

さて、今回のご相談のキーワードは、じつは性交痛ではないかとぼくは思っています。というのも、性交痛は長く臨床の現場にいたぼくでもほぼ相談された経験がないからです。

 

このように、普段人が口にしないことをぽろっと口にする場合、じつはそれが結構重たく重要な悩みであることは多いものです。お友達から相談を受けるときも同じだと思います。「言いにくいこと、伏せておいてもいいことほど深刻な相談」というのはカウンセリングの現場で大変よくあることです。

 

性交痛は「本当にしたいのか」本心を聞かせていただくことが重要です

さて、性交痛は、本人が本当にしたいのかという点が問題です。

 

痛いけれどしたいのならばゼリーを使ってください。通販でも買えます。これでかなり緩和されます。また、なるべく頻回に性交渉してください。たまにするから痛いんです。年をとってきたら更年期と関係なく粘液の量も減りますから、痛くなるのが普通です。でも、毎日している人ならば何歳になっても痛くならず、性交痛はラクになります。じょうずに二人で工夫していただく必要があります。

 

それよりも、もしかしてご主人の要求に応えたくないために性交痛があると言っていたりはしませんでしょうか。その場合、相談すべき問題は痛みよりも性交そのもの、夫婦関係のお話になります。

 

マキさんの夫婦関係については相談に書かれていませんが、いまだに妻の心と身体を気遣うマインドを持たず、DV同然に扱う夫が少なからず存在します。そのため、これらは婦人科でも答えに慎重を期する問題です。ちなみに、レスを市役所に相談した人いわく、レスはDVだからとDV課に回されたそうです。こうした認識は男女ともに持っていたほうがいいと思います。

 

先日とある大学病院の先生とズームで対談した際にも、レスに悩む人は結構多いんですと言われました。70歳でも性的にアクティブな人もいますし、妻はネガティブでも男子だけがアクティブなこともあります。婦人科って、性と生を扱うがために、医師と患者の間に礼儀正しい距離感が生まれている診療科だなと思います。そのせいでしょうか、本当はこうした問題こそ積極的に聞いてあげたほうがいいのですが、カウンセリングが得意なぼくでもまだうまく聞けません。本当はどうなんですか。理由が知りたいです。

 

▶新見先生に更年期相談をしたい方、こちらからお寄せください

 

お話/新見正則医院 院長 新見正則先生

1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する生薬、フアイアの普及も行う。

https://niimimasanori.com/

続きを読む

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク