「私、いま不倫してるの」秘密の打ち明け話だったのに…友人らにバラされた38歳女性の末路

2022.09.14 LOVE

コロナ禍で激変したと言われる「不倫」のありかた。

ひとが恋する気持ちは変わらないけれど、出会い方、過ごし方、そして別れ方ははまるで違うといいます。

長年に渡って女性たちの悩みを聞き、書き続ける、恋愛相談家のひろたかおりさんがレポートします。

【不倫の精算#60】前編

私だって不倫したかったわけではない。この不倫は「夫のせい」で起きた

38歳のQさんは結婚して10年の夫とお子さんがおり、共働きで「趣味を作りたくても時間がない」とよく話していた。

 

夫は仕事を理由に家事と育児から逃げるためワンオペ状態、ゆっくり過ごせる機会はほとんどない生活なのは、聞いているとよくわかった。

 

プライベートな時間は作れない、と言う彼女がなぜ不倫できているのか。それは相手が同じ職場の同僚で残業や休日出勤を利用してこっそりと逢瀬を重ねられるからだった。

 

「不倫なんて、私だってイヤよ。

でも、こんなになったのは家のことを何もしない夫のせいでしょ?

夫がちゃんとしてくれたら、不倫なんてやめるわよ」

 

最初は重苦しい声でそう語っていたQさんだったが、不倫関係が半年になった頃から「私が不倫するのは夫のせいよ」と堂々と口にするようになり、“ダメな夫“をこき下ろす場面が増えた。

 

毎日遅い時間に帰ってくるから食事の支度が大変で、子どもの宿題や明日の準備を見ながら洗濯物を取り込んだりお風呂の用意をしたり、休日も昼まで寝る夫の代わりに掃除や買い物をこなす役目は全部Qさんであり、

 

「夫は本当に役に立たない」

 

と嘲笑する彼女の姿はいつしか見慣れたものになっていた。

 

そんなQさんがいま悩んでいるのは、不倫を打ち明けた友人の「仕打ち」についてだった。

 

そんなある日、不倫を打ち明けた友人から意外にも非難の言葉が。腹が立つ、でも…

「ねえ、私これからどうすればいいのかな?」

 

と落ち込んだ声で連絡をもらい、とりあえず話を聞かせてと待ち合わせたカフェの入り口で、Qさんはぼんやりと佇んでいた。

 

声をかけるとはっと顔を上げ、急な展開を詫びながらも「本当に腹が立つのよね……」と小さな声でつぶやくのが聞こえた。

 

人がいないテラス席に落ち着いて、注文が終わるとすぐに話を始めたQさんだったが、せわしなく指を動かしながらこちらの相槌も待たずに言葉を続ける様子には、強い焦りと怒りが見えた。

 

聞いてみると、昔から仲良くしているA子さんに不倫していることを話したら「今すぐやめたほうがいい」と強い口調で言われ、しかも「夫がちゃんとしてくれないから」と口にするQさんに対して

 

「そんなの、何の言い訳にもならないわよ。

あなた、○○くんのことは考えているの?

親が不倫とか、子どもに恥ずかしと思わないの?」

 

とたいそうな剣幕で詰め寄ったそうだ。

 

「私の気持ちなんて全然聞いてくれないのよ、ひたすら不倫はダメばかりで、そんなの私だってわかってるわよ」

 

怒りで歪んだ声色でそう続けながら、Qさんは

 

「自分が不倫されたからって、他人のことまで口を出すのは違うんじゃない?」

 

とせせら笑うように言った。

 

A子さんは以前に夫の不倫が原因で離婚寸前まで苦しんだそうで、そんな過去があれば身近な友人が不倫を楽しむ姿などとうてい受け入れられないことは、容易に想像がついた。

 

A子さんにも子どもがおり、子を連れて別居までした経緯を聞いて、親の不倫に振り回されて一番つらい思いをするのは子どもなのだと言いたいことも、伝わった。

 

ところが…思いがけない友人の行動に事態は急変していく

「……」

 

こちらの様子にまったく関心を向けずひたすら話を続けるQさんは、自分の不倫を正面から否定された不満でいっぱいになっていた。

 

「家庭を全然大事にしない夫のことは何も言わないのよ。

夫が自分のことしか考えずに、家のことを全部やらないといけない私の気持ちはどうなるのよ?」

 

声が大きくなりそうなのを必死に抑える様子は、「好きで不倫に走ったんじゃない」「夫さえちゃんとしれば」という弁解を通したい気持ちがよく伝わった。

 

「それでね」

 

やっと一息つき、アイスコーヒーのストローに勢いよく口をつけてから、Qさんが続けた。

 

「信じられないんだけど、A子、私が不倫していることをほかの友達にも話していたの。

Bちゃんっていう仲良しの子から電話でそれを聞いて、もう腹が立って仕方なくて。

人のプライバシーを勝手に言いふらすとか、ありえないでしょ?」

 

「あ、それはまずい、うん」

 

間髪を入れずに返事はできたが、「A子さんがなぜそんなことをするのか」と考えると、これもまたQさんの「常識」から外れるだろうな、とちらりと思った。

 

「何かね、A子が私の不倫をやめさせてほしいってBちゃんにお願いしたんだって。

私の子どもがかわいそうだって。

そんなの急に言われても、Bちゃんだってびっくりするしどうすればいいかわからないじゃない?

だから私に連絡をくれたってわけ」

 

「信じられない」と続けて、Qさんは忌々しそうに深いため息をついた。

 

友人の不倫を知り別の友人にそれを話す人の気持ちは、他人の秘密をネタにして盛り上がりたいか義憤に駆られて何とかしたいかのどちらかが多い。

 

後者のほうが厄介で現実がどんどん悪化していくケースを見ているので、「これはまずいな」と嫌な予感が胸をよぎった。

 

 

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