感染してわかった、5類化以降の「新型コロナ」強い味方は漢方!ストックしておきたい漢方と罹患の心得は

こんにちは、オトナサローネ編集部井一です。突然ですが、感染症法上の5類への変更ギリギリのタイミングとなる4月末、滑り込みのような時期に新型コロナウイルスに罹患しました。

 

この3年間、私は結構な数のコロナワクチン接種体験記やコロナ罹患体験記、コロナ対策記事を手掛けてきました。その締めくくりのように、最後の最後に罹患することとなったのも何かのご縁かなと感じます。GW明けにはもう5類となるこの感染症に「最後に罹患してわかったこと」をお伝えします。

 

前編『最後の最後でコロナに感染してみてわかった「本当に用意しておくべきだったもの」とは【医師・薬剤師にも聞いた】』に続く後編です。

 

オンライン漢方クリニックに相談してみたところ、処方されたのは!

上から「柴胡桂枝湯」「清肺湯」「五苓散」。

3日め、発熱はヤマを越えましたが、咳は引き続き強く、のどの痛みも強いままで、せき込み続けるあまりに腹筋が痛くなりました。ここで、後遺症を防ぐご相談もしたいなと、新見先生にご紹介いただき、以前から更年期症状で診察していただいている「出雲漢方クリニック」を予約し受診しました。

 

同クリニックはその名の通り島根県出雲市に位置し、島根大学医学部漢方医学臨床教授でもある宮本信宏先生が全国対象のオンラインも含めて患者さんの診察に当たっています。保険診療で、別途システム使用料が初診1000円再診500円、漢方薬を送っていただく場合は送料が500円かかります。ですが、ヨレヨレのパジャマ姿のままで自宅から診察を受けられることがこれほどありがたいと実感したことはありませんでした。

 

宮本先生の解説では、新型コロナのごく初期はやはり『麻黄湯』のセレクトでした。そのあとの急性期、たんが絡んだ湿った咳が出ている時期は『小青竜湯』、そこを過ぎて強い咳が出ているならば『麻杏甘石湯』などに薬を細かく変更していくそうです。

 

やがて亜急性期に入り、舌に苔が出ていて、まだ止められない咳が続く状態であれば『柴胡桂枝湯』を選びます。私はさらに、まだ湿った粘り気の強い痰のからむせきが出ているため、これを切るために『清肺湯』というチョイスに。

 

ちなみにまで、もともと呼吸器がご専門である宮本先生のリーフレットによれば、咳は痰があれば「湿性」なければ「乾性」に分け、痰のない乾いた咳は『麦門冬湯』で気道過敏性の亢進を抑制、痰のある湿った咳は咳の原因となっている痰を『清肺湯』で排出促進という判断です。

 

「葛根湯は守備範囲が広いかわり、パンチが少々弱いので、私は『麻黄湯』に続いては湿った咳の対策として『小青竜湯』のほうが使い勝手がいいと感じます。もうひとつ、備えておくといいのは『五苓散』。炎症は常に浮腫を伴うので、その体内に滞った余分な水を外へ出すための漢方です。何とでも併用して飲めるため、風邪のときには最初から合わせておくといいでしょう。頭痛の対策になりますので、風邪をひいたら『五苓散』です」(宮本先生)

 

ここまで3人の専門家のご意見を伺いましたが、とはいえ一般家庭でストックしておけるのはせいぜい3つまで。いったいどれを選べばいいのか……?

 

まず、『麻黄湯』はマスト。そこからの飲み継ぎとして、のどが弱く咳が重症化しやすい人なら『銀翹散』もよさそう。ワイドレンジかつ入手しやすい『葛根湯』のほか、もうひとつ、『柴胡桂枝湯』『麻杏甘石湯』『小青竜湯』などから体質に合うものを1つ2つ探してストックしておいたほうがと感じました。

 

宮本先生の教えとして、漢方は自分に必要なものを飲んだときに「必要な処方ならば飲んだとき味に違和感がない、場合によっては甘く感じる」そうなのですが、これは今回なるほどと実感しました。結果的に、私は本稿執筆時点でもまだ続く咳の対策として『柴胡桂枝湯』『清肺湯』を飲んでいます。

 

過去との最大の違いは「抗原検査キットが存在する」こと。常に6本はストックし続けたい

さて、4日め以降はロキソニンの奏功もあり、如実に症状が軽くなっていきますが、まだまだ咳は続き、体内からウイルスが排出されている実感があります。

 

ここで非常にありがたいなと感じたのは、新型コロナは抗原検査キットが存在していることでした。私は手元に検査キットPanbio(大正製薬)のストックを家族3人×2回分の6本ストックしていたのですが、この検査キットのカジュアルさは本当に素晴らしいしありがたい。5類化以降もストックを続けようと思います。

 

現在はインフルエンザも同様に家庭用キットで判定できるようになりましたが、1日目にすぐコロナと判定できて、結果的に家族にも感染させずに済んだのは、ひとえに検査キットのストックがあったからです。「私まだ排菌してるから部屋のドア開けちゃダメだわ」というのが目視できると、自分の行動がより一層慎重になり、また「何日目まで自粛すべきか」人それぞれであろう「終わり」もクリアに見えます。

 

また、0日目の段階で「なんだか心配だから、念のため在宅勤務にします」と自ら隔離を選べた職場環境もありがたかった。この選択ができたからこそ、今回仮に海外から持ち込んでしまったウイルスであったとしても、国内で広げずに済みました。

 

5類化されたあとは在宅勤務の選択が難しくなる職場も増えることでしょうが、そもそも日本人は「病気をしても、震災が起きても頑張って出勤してしまう」恐るべき出勤民族です。ぜひこの「勤務選択の多様性」を保ったまま、コロナ後の日本に軟着陸していけるといいなと感じました。

 

 

医師の視点では、対策ももちろん重要ながら、「罹患より手前、免疫力の強化に尽きる」

この点、免疫の専門家の視点から、たびたび新型コロナに関する取材に応じ、昨年8月には世に先駆けて「コロナ後遺症対策」を打ち出した新見先生にうかがってみると、案の定と言うべきでしょうか、もう一歩先に進んだご意見でした。

 

「ぼくは、もう今後は抗原検査もPCR検査も不要だと思っています。インフルエンザでも新型コロナウイルス感染でも対応は同じです。外出自粛も5日間ですが、それも推奨なので、新型コロナウイルスに感染していても働いて問題ありません」

 

えっ、インフルエンザ罹患時は外出しちゃいけないですよね?

 

「いえいえ、身体が辛いときに無理をして働かない社会であるべきというのは、そもそも法の定めなどではなく、人としての常識です。その常識が成された前提でのことです。それとは別に、感染症はある程度は人に移る、移されるものなので、僕はオミクロン株となり重症化率が低減した現在、本人の判断でよいと思っています。身体が辛いときは休み、辛くないなら逆に無理に休まない。重症感があるときは、病院に行って検査を受ければいいんです」

 

これらも8月の時点で新見先生がおっしゃっていたことでしたね。

 

はい。そして、引き続き大切なことは、感染しても発症しない免疫力をつけることです。5類化以降はより一層、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動などを心がけてください」

 

 

【記事監修者】

新見正則先生

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2002年より帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。最新刊『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』はAmazonでベストセラーに。

 

笹森有起先生

pluskampo株式会社代表薬剤師。青森県出身。東北医科薬科大学を卒業し薬剤師免許を取得。調剤薬局での勤務を6年経験。薬剤師として働く中で漢方薬に出会い、自身の自然治癒力を最大限に引き出し、結果として症状が緩和する漢方薬の効果や考え方、哲学に感銘を受け、フリーランス薬剤師を経て起業。新見先生が普及する生薬フアイアと注目のエクオールを組み合わせた画期的なサプリメント「エクオールバランスビューティ」を開発。

 

宮本信宏先生

出雲漢方クリニック院長。1994年高知医科大学卒業、京都大学呼吸器外科入局。研修医から10年間は胸部外科医として心臓や肺の手術に従事、米国メイヨークリニックにて5年間の留学を経て、帰国後10年間は島根大学附属病院呼吸器外科で内視鏡手術を中心とした肺がん治療を手掛ける。島根大学で下手公一先生に師事し和漢診療学を学び、外科手術における東西融合治療を行い、2017年に島根大学医学部附属病院で外科漢方外来を立ち上げる。現在はコロナ後遺症の治療も積極的に手掛ける。

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