セラミュ初代・大山アンザさんの更年期は?45歳、どん底の気持ちのときはじめて気づいた「自分の偽らざる本心」

1992年講談社『なかよし』で連載が始まった『美少女戦士セーラームーン』。2022年に30周年を迎え、2022~23年にかけてさまざまな周年記念イベントが行われました。一部のイベントには、ミュージカル版で初代セーラームーン(月野うさぎ)役を努めた大山アンザさん(現ANZA)も登場。31年にわたり初代セーラームーンの看板を背負ってきた思いや悩み、そして更年期のことまでお聞きしたところ、包み隠さず話してくださいました。前編記事『セーラームーン30周年/初代月野うさぎ役・大山アンザさんが自分を探し続けた31年を振り返る』に続く後編です。(聞き手・力武亜矢)

 

確かに母は苦しんでいたけれど…まさか、自分が更年期に悩まされるとは思ってもみなかった

 

編集部:前半では30代までの経緯をお伺いしました。40代に入り、それまでと同じようには突っ走ることができなくなったそうですが、何か体調の変化を感じたのですか?

 

ANZAさん:41歳くらいから、自分の意志と違うところで疲労感がでたり、ちょっと睡眠不足になったら肌が目に見えて荒れてきたりするようになり、年齢とともにひどくなりました。雨が降る前日にしんどくなったり、頭痛がしたり、PMS(月経前症候群)で生理の1週間前からすごくうつな状態になったり。責任重大な仕事の前は、ストレスで大きく落ち込むし。気付かないふりをしてやり過ごそうとしても、体は正直で、起き上がれない。仕事がない日は一日中寝ていようとも思うけれど、寝ていてもつらいのは変わらないから、気をそらすためにショッピングへ出かけたり、お気に入りのカフェで過ごしたりするようになりました。

 

それと、カルビなどの脂っこい食べ物をたくさん食べられなくなった!最近はオーガニックのアボカドやフルーツを好むようになりました。

 

こんなふうに、仕事の悩みだけでなく体や食生活の悩みもでてくるなんて、昔は考えもしませんでした。先輩世代の女性から「そろそろきつくなるからね」と言われていましたが、ずっと勢いで突っ走ってきたから、私は大丈夫だと思っていました。でも本当は、自分が更年期になることを受け入れたくなくて、自分と向き合う時間を避けていたのかもしれません。

 

編集部:病院に行きましたか?

 

ANZAさん:45歳のときに意を決して産婦人科へ行ったら、「100%とは言わないけれど、更年期に足を突っ込んでいる」と言われました。

 

実は、母の更年期が酷かったんです。うつ、ほてり、動悸、吐き気、頭痛、幻聴などがあり、入院したこともありました。それを見ていたので、恐怖心が強かったです。自分もそうなってしまうんじゃないかって。

 

でも、私は認めたくなかった。認めちゃったら落ちていくだけみたいな恐怖心があったんです。一方で、見渡せば若いバンドがどんどん出てきて、背中を見せていかなきゃと思って頑張っていても、もう若くてフレッシュな子に勝てるわけない現実もあって。

 

医師には更年期を「完全に認める」必要はないと言われた。「半分だけ受け入れて、半分反抗する」

編集部:芸能のお仕事は輝きを見せる面が強いので、更年期の話は出しにくそうです。

 

ANZAさん:そうですね。昔よりは話しやすい環境になったと思いますが、芸能のお仕事はイメージがありますから、言う覚悟と勇気は必要ですね。

 

よく「ANZAさんは強いよね」「自分のやりたいことを続けて成功して幸せそうだね」って言われるんです。周りには、そう見えているんですね。

 

自分でもそう見せてきた反面、見せてなかった部分や演じてた部分もたくさんあります。その葛藤とバンド活動と舞台の仕事を並行していく中で、正直しんどいなって思うときが、この5年間は何度もありました。若い子たちがうらやましくなったり、自分を見失って自信がなくなってしまった5年間でした。

 

そのたびマネージャーに励ましてもらうんだけど、本当に自分がそう思ってるのか、更年期の弊害なのか分からない。でも、こんな自分をファンには見せられない。誰かに力を与える仕事だから、無理に笑うし無理に歌う。正直、歌ってていいのかな、噓になってないかな、と思う自分もいました。

 

編集部:更年期との折り合い、どうやってつけていますか?

 

ANZAさん:もうね、考えてもしょうがない。だから私は、半分受け入れて、半分は反抗して受け入れないことにしました。担当医も「完全に認める必要はない」って言ってくれたし。受け入れないとつらくなるけれど、ぜんぶ受け入れたらロックじゃないからね。大山アンザとしては受け入れるけど、ANZAは受け入れないよ!って。

 

その上で、歌や芝居の世界と離れた場所に別の居場所を見つけようと思って、スキューバダイビングを始めてライセンスも取得しました。

 

 

海の底で自分の本音と向き合えた。消えてしまいたい気持ちなのに、「私は必死に生きようとしている」

 

ANZAさん:スキューバを始める前までは、自分が嫌になって、生きているのもつらくて、自分の価値がわからなくなって、このまま自分の人生がみじめになっていくだけなら終わってしまいたいと思うくらい落ち込んでいました。でも、海に潜った私は、必死で酸素を吸って息をしていました。このとき「私はまだ生きたいんだ」って実感して、海の中で号泣してしまいました。海から上がったあと、インストラクターさんから「実は、究極に悩んだ人が潜りにくること、多いんです」と聞きました。

 

編集部:新しい居場所を見つけて更年期と向き合い過ぎないようにするのは、いい方法かも!

 

ANZAさん:本当にそうなの!スキューバに出合わなかったら、いまの自分がいるかはわからないくらい。いまも日によって感情の起伏はあって、更年期ケアの市販薬やサプリメントのお世話にはなっているけれど、本当につらくなったらスキューバをやればリセットできるんです。

 

更年期と向き合い過ぎるとネガティブに考えることが多くなるし、私はもうだめだって思いがち。だから、そう思う時間を作らないようにするのが大事かな。この先を少しでも楽しく過ごすために向き合うのはいいと思うけれど。悩みの渦の中にいる自分に気付けるかどうかがカギ。気付かないと、抜け出そうとしないから。一人で抱え込まないで誰かに話す。いろんな人がくれるアドバイスの中から、自分がいいと思うアドバイスだけを取り入れていけばいい、そう思います。

 

辛くて苦しかったコロナ禍。でも、そのおかげで自分を見つめ直せた部分だってあった

 

編集部:特にコロナ禍では、人と会えなかったり、考える時間が増えたりしました。心を整えるのが大変だったのでは?

 

ANZAさん:ライブができなくなってつらかったですが、コロナがなかったら、ずっとずっと突っ走ってしまって、自分のつらさに気付かなかったと思います。コロナ禍で自分を見つめ直す時間を得て、スキューバという本当にSOSのとき行ける場所、趣味、リセットできるものを見つけられたのは大きいです。

 

また、自分が更年期になったことで、これからは女性の力になる歌をうたいたいと思うようになりました。ロック歌手として、そしていち女性のANZAとしての音楽を届ける夢が生まれました。

 

生理や出産、更年期などに体調や気分が左右されやすい女性のための、癒しのときを作りたい。心と子宮があたたまる音楽を届けたい。これは、更年期が始まって、コロナ禍を経験して、自分のスイッチを押せる場所を見つけたからこそ、明確になったことです。本当に、無駄なことって何一つないです。経験したからこそ見つけられることが、世の中にはたくさんあると再確認しました。これからもバンドや体の悩みはきっと続くけれど、必ず手を差し伸べてくれる友達がいるし、そんなときこそ視野を広げてみるチャンスだなって。

 

 

私が心を開けば相手も入ってきてくれる。悩み、苦しんだからこそ、シンプルな事実にたどり着けた

 

編集部:そして、初代セーラームーンのANZAさんは現在47歳になられました。31年にわたり初代セーラームーンの看板を背負ってきたからこその悩みもあったと思います。

 

ANZAさん:昔の自分なら、「セーラームーンの自分は認められてそれ以外は認めてくれない」と、卑屈になっていました。でも、元気な自分もネガティブな自分も同じようにさらけ出し始めたら、セーラームーンの大山アンザを好きな人もHPPのANZAファンの人も同じ会場に来てくれるようになりました。

 

舞台『COLORS』には、セーラームーンのファンもたくさん来てくれてうれしかったです。自分が心を閉ざせば周りも閉ざすし、オープンにすれば相手も入ってきてくれる、そういうことなんですよね。

 

編集部:たしかに、相手に何かを求めるなら、まずは自分がオープンにならないといけませんね。ありがとうございます。最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします!

 

ANZAさん:女性ってなぜか、年齢とともに枯れていくイメージをつけられますよね。でも、実際は年齢に関係なくかっこいい女性はたくさんいますし、年齢とともに魅力的になっていく人は多いです。たくさんの人生経験をして、しわが増えて、それが生きた証。年齢をとることを恐怖だと思わないでほしいです。

 

私だって悩みはたくさんあるけれど、悩みはあればあるほど、人は美しく磨かれていくと思います。生きるとは悩むこと。もうだめだと思っても、なんとかなります。

 

人に合わせて自分を見失って苦しむときもあるけれど、世界に自分は自分しかいないから、自分を好きになって、自分を大切にして、自分を見つけてほしい。それが私の願いであり、自分の舞台制作を始めた理由です。

 

前編記事>>>『セーラームーン30周年/初代月野うさぎ役・大山アンザさんが自分を探し続けた31年を振り返る

 

ANZA

ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」の主役を5年間好演し、「レ・ミゼラブ
ル」エポニーヌ役に抜擢され3年間活躍、「ミス・サイゴン」「GIFT」「AIDA」「シェルブー
ルの雨傘」等多数好演。音楽活動ではアニメ「カードキャプターさくら」主題歌「扉を
あけて」や故加藤和彦氏/小原礼氏/土屋昌巳氏/屋敷豪太氏らと「Vitamin-Qfeaturing ANZA」で活躍。また「LOUD PARK 」「OZZFEST JAPAN」などにも出演。日本を代表するラウド
系のバンドHEAD PHONES PRESIDENT(ヘッドフォン プレジデント)のヴォーカ
ルとして国内外で活躍中

 

ANZA イベント出演スケジュール

■HEAD PHONES PRESIDENT ワンマンLive

【The Beginning and the End】

2023年9月15日(金)
会場 : 初台 DOORS
開場:19:00 / 開演: 19:30

チケット代 : 前売5,000円 / 当日5,500円 (+1ドリンク代別)
出演 : HEAD PHONES PRESIDENT

 

 

■HEAD PHONES PRESIDENT 仙台公演

【WILD FRONTIER Presents SOUND OF DEATH vol.100 anniversary Special Day1】
2023年9月30日(土)

会場:仙台MACANA

開場: 15:30

開演:16:00

チケット代:前売り 4,000円 / 当日 4,500円

出演:HEAD PHONES PRESIDENT/Mardelas/ARESZ/MURDER HEAD/WILD FRONTIER

 

 

■ANZA∞小坂明子 【未来が過去になる日】(チケットSOLD OUT 配信あり)

2023年9月24日(日)

会場:目黒 Blues Alley Japan

出演 :小坂明子 / ANZA
ゲスト: 木村早苗 / 斉藤レイ / 朝見優香 / 高木ナオ(2部のみ)
ミュージシャン 森藤晶司(KB / マニュピレーター)

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