だるい・疲れやすい。更年期の倦怠感が知らせる、3つの危険な病気
Q.なぜ更年期になると倦怠感があらわれるのでしょうか?
【 A 】
更年期における倦怠感は、女性ホルモンであるエストロゲンの量と関係があります。
更年期に入ると、エストロゲンの分泌量は大きく増減を繰り返しながら、10年ほどかけて徐々に減っていきます。
エストロゲンにはさまざま役割がありますが、なかでも重要な役割のひとつが、自律神経の調節です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、その2つがうまくバランスを取りながら心身の健康を保っています。
そのため、エストロゲンの分泌量が乱れて自律神経の調節がうまくできなくなると、心身が不調に陥りやすくなってしまうのです。
たとえば、通常であれば夜間に働く副交感神経がうまく働かず、「眠れない」「途中で起きてしまう」など不眠の症状が出る場合も。こうした日が続くと、日中に倦怠感や疲労感を感じやすくなってしまいます。
Q.更年期以外の病気が原因になっている可能性はありますか?
【 A 】
じつは、だるさや疲れやすさは、更年期以外の病気が原因の可能性もあります。
更年期だろうと早合点せず、ほかの病気ではないかどうかチェックしてみてください。
ここでは、倦怠感や疲労感の症状があらわれる場合のある疾患を3つご紹介します。
糖尿病
糖尿病は、血糖値の上昇を抑える機能がうまく働かなくなる疾患です。
高血糖状態が続くことで、だるさや疲れやすさがあらわれることがあります。
糖尿病の場合は、そのほかにも、喉が渇きやすい、尿量が多いなどの症状もみられます。糖尿病の鑑別診断には血液検査が必要となるため、気になる場合は内科や糖尿病内科に相談してみましょう。
甲状腺の病気
甲状腺ホルモンが不足する疾患も、倦怠感や疲労感があらわれることがあります。
この場合には、便秘気味、脱毛、肌のかさつきなどの症状もみられます。こうした不調が見られるときは、内分泌科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
うつ病
うつ病は、倦怠感や疲労感があらわれることがあります。
更年期とうつ病はとくに症状が似ているため、判別が難しい場合も。
やる気が出ずに寝込んでばかりなど、心の不調が続いているときは、精神科や心療内科を受診してみましょう。
だるさや疲れやすさは、更年期においてよくある症状です。しかし、重大な疾患のサインである可能性も捨てきれません。
背景に重大な疾患が隠れている可能性を考え、自身の体調に不安を感じた場合は、医療機関を受診しましょう。
早期の診断と治療が、健康を守る鍵となります。
▶【後編】の記事はこちら
更年期の倦怠感におすすめの漢方薬やホルモン補充療法(HRT)について解説していただきます。
<この記事を書いた人>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学) 神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/
●Medical Health CH:https://www.youtube.com/channel/UC7XLi90xVGs_NnKhowC0G2w
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