運命の真珠店で、この目で選ぶために。伊勢志摩3泊4日の旅

OTONA SALONEの人気連載「40歳からのおしゃれ論」でもおなじみのいいあいさん。♯2「今まで気にならなかった真珠が急に気になる私たち」では、その真珠愛をたっぷり教えてくれました。

真珠好きが高じて、産地の伊勢志摩まで運命の1粒を探しに出かけた。そんないいさんの旅について聞きました。

(聞き手/OTONA SALONE編集部・井一)

 

まず、いいさんが旅に出るまでの話から

私、ホテルの窓から真珠養殖いかだを眺めていると、それだけでテンションが上がるんです(笑)。この海で、あこや真珠が静かに光をたたえながら一巻き一巻き大きくなっているのだと思うと、なんてロマンチックなんだろうって。

 

今から1年前くらいでしょうか、あるとき急に真珠が気になり始めました。真珠がまとっている、あのやさしい光に惹かれるのかな、私も理由はよくわかっていませんが。

 

真珠のトップブランドの1つ、TASAKIのデザイン性の高いモダンなパールジュエリーに衝撃を受けたのも要因の一つです。

 

特に、パールが真一文字にならんだbalanceや、dangerという牙をモチーフイン使ったライン。真珠を再発見した気持ちになりました。

 

私は、何か気になるものができると、たくさん見たいし知りたいので、ネットでとにかく調べます。本も読みます。調べているといろんな商品にも出会うので、乗じて買う。

 

真珠も、ネットで勉強しつつ買い物もし始めますと、産地が気になりだします。日本の真珠産地で代表的なのが、宇和島、長崎、伊勢志摩、奄美大島。

 

この中で、伊勢志摩は真珠養殖発祥の地だけあり、MIKIMOTOの真珠島や本工場もあります。言わずもがなの伊勢神宮や、サミットの開かれた賢島などをも有し、なんだか楽しそうです。

 

真珠養殖の風景をこの目で見てみたいし、ひょっとして現地価格で真珠も買える? と期待も膨らみ、これは一刻も早く現地に行ってみましょうということで、真珠に魅入られてから半年の2016年8月、私は一度目の真珠旅に出かけました。

いいさんのコレクションの一部。

はじめて見る真珠の海、英虞湾

志摩観光ホテルの窓からの絶景。

伊勢志摩の海は……とにかく静かです。波がゼロなんです。

祖父母の家は北海道の日本海側でしたし、私の出身も神奈川県なので、こんなに静かで波のない海にまずびっくり。

波といえば、トコトコ行き交う小舟のおしりにできるV字の白波だけ。写真は、偶然虹がでたところを撮ったものです。

 

私は2回、伊勢志摩旅に出かけています。

 

1回目は「真珠を育ててる海が窓から見えるナイスビューな宿」をネットでひたすら探し、アンテナにピッときた宿2軒に泊まりました。

 

1泊目はカジュアルめの料理旅館、2泊目3泊目はサミットの会場にもなったゴージャスな志摩観光ホテル ザ クラシックです。

 

とにかく、志摩観光ホテル ザ クラシックは最高。何より窓の外の、この風景。チェックインしてラウンジでくつろぎ、窓の外に広がる養殖いかだをつまみに「いかだ眺め酒」を堪能しました。館内には良い絵や彫像も多く、いるだけで良い気分にさせてくれます。

 

2回目の真珠旅では、伊勢市内のレトロな旅館にステイ。伊勢神宮の参拝や、おかげ横丁での買い物を楽しみました。

 

賢島と伊勢市の真珠店ってこんな感じ

近鉄賢島駅から、エスパーニャクルーズや遊覧船の乗船口までの間には、真珠屋が立ち並んでいます。が、基本的にどのお店も、いまどきのおしゃれな店ではありません。

 

昭和初期に「海の軽井沢」を目指して開発されたという賢島。きちんとスーツを着て新婚旅行に来た世代の人たちが、パールを買って帰ったのだろうなあという感じ。きちんとセレクトされた、いまどきな店でジュエリーを見たい人には向かないけれど、私のように掘りたい人にはぴったりと言えます。おかげ横丁の真珠屋さんは賢島よりは現代っぽいですが、おしゃれかと言われると即答できない感じですので、おしゃれを求める場合は、お近くの各大都市でお願いします。

 

■松井眞珠店(賢島)

その昔オリーブ少女だった人なら記事を覚えてる人もいるかも。古さがすてきな真珠店です。真ん中にルビー、周囲に小さい真珠がてんてんてんと並んでいるようなクラシカルなアイテムを扱っています。

http://www.matsui-pearls.com/

 

■かしこ堂真珠店(賢島)

この指輪は2万円くらい。昭和のデッドストックと思われます。金地金の価格もずいぶん上がっているのに、古い値札に書かれた昔のままのお値段で、おじいちゃんが「いつまでお店できるかな、私も年だからね」と言っているんです。真珠や掘り出すことに興味のある友人には、あそこ行って買ったほうがいいよとすすめています。

(HPなし)

■イワジン真珠店(賢島)

あこやと南洋けしのロングネックレスです。価格は家賃越えました。とはいえ都内のデパートで買うよりはお手頃価格と思われます。旅行前から、一生ものの良いパールに現地で出会いたいと思っていたので、運命と受け入れ購入。お手入れクロスも泣かせるかわいさ!

http://iwajin-pearls.com/

 

■船着き場前のおみやげ物屋さん(賢島)

このふたごパールはこんなに入っていて1,200円くらいだったかな。船着き場の前にある、漬物とかお饅頭なんか売っている普通のおみやげ物屋さんでほこりをかぶっていました。去年買ったとき3袋あって、今年もあれがほしいと思って行ってみたら1袋残ってました。誰かが1年の間に1袋買ったんですね。アクセサリーを手作りしたりもするので、その材料用に購入しました。これは掘り出した感ありです。

■やまきち真珠(伊勢市)

2回目の真珠旅で、おかげ横丁で見つけた真珠屋さん。大正15年創業とあります。このお店でオンリーワンの1粒と出会ったので、詳しくお話ししますね。

http://www.yamakichi-pearl.com/

 

運命の1粒の探し方って?

真珠が気になる友人たちによく聞かれるのが、お店を見つけるコツ。やまきち真珠で出会ったバロックパールは、傷があるのでお安かったんです。6,000円くらい。でも、「これは1粒ネックレスに仕立てて傷を裏に回せば見えないから大丈夫よ」「これは英虞湾で去年あがったあこやよ」というようなことも、産地で買えば教えてもらえるんです。

おかげ横丁って真珠のお店もたくさんあるんですけど、あんまりピンとくるお店はないんです。そんな中、嗅覚を働かせていいなと思ったお店がここ。お店の方がその場でジュエリーを作っていらしたので「これは真珠を選べるんですか?」と聞いてみたら、いいですよって。真珠を選んで、ピアスにしたい、リングにしたいと頼めばかなえてくれるお店だったんです。

私は鉱物好きでもあるので、石選びには慣れているのですが、バロックパールはカットされた石とは違います。バロックパールは自然の作り出した造形なので、特に見ているときりがない。そこに色の好みが加わると、これは青みが強い、こっちはピンクが強い、この形きれい、あっちもきれい……と深みにはまっていきます。まん丸の真珠もエレガントで好きですが、バロックには自然の自由さがあって楽しいです。カジュアルにもつけやすいのでおすすめです。

加工前の真珠はガラスケースに並べてあるわけではなく、お店の人に聞くと出してもらえるもの。気になる店があったら「真珠の珠を選べますか?」と聞いてみるといいです。やまきち真珠の場合、穴を開ける機械があって、その場で金具を付けてくれました。こうしたお店は、ブランド店ではなく、もっと地元っぽい「創業何年」「直売」なんて書いているところです。

真珠の入札といえば神戸が有名なのですが「このあこやはこの辺りで採れて地元で入札されたものよ」と教えてくれました。はるばる出かけた旅先で、地元産のものを地元の人から買うのって、なんだかうれしいですよね。しかも自分でじっくり選んで。みょうに贅沢なことに思えます。デパートでさくっと買うのとは、奥行きが違います。旅の途中で、自分だけの一粒と巡り会えたらハッピーですね。きっと楽しいので、ぜひ挑戦してみてください。

 

 

1回目の真珠旅のプランは

2016年の8月、一人旅で、途中友人と合流した3泊4日の旅です。

■1日め

朝、新幹線で東京をでて名古屋から近鉄の特急で鳥羽へ。ミキモト真珠島へ立ち寄りました。真珠養殖のすべてと真珠の魅力、創始者の御木本幸吉さんの剛胆ぶりなどを堪能。あこや真珠への核入れ作業や海女さんの実演ショーもあり。その後、赤福で赤福氷を食べて休憩し鵜方へ電車移動。駅から送迎車で料理旅館「いかだ荘」へチェックイン、窓からの海を堪能しました。ここは牡蠣が評判の宿。大きな岩牡蠣に舌鼓を打つ。

 

■2日め

 

朝、賢島に電車移動し志摩観光ホテル ザ クラシックにチェックイン。くつろいだ後、「女神号」に乗船し、賢島の周辺をクルーズ。真珠にも海にも詳しい船頭さんのアドリブトークが面白い。興味のない人は本当に興味がないと思うけれど、真珠養殖いかだや、作業中の業者さんを間近に見ることができて興奮。MIKIMOTOの本工場や御木本さんの住まわれた真珠御殿、一泊最低15万円のアマネムなども海から眺めます。青い空と、静かな海が本当に気持ちいい! 船を降り、町に立ち並ぶ真珠屋さんの品揃えをチェック。

 

■3日め

友人と合流。前日にチェックして一晩考えた、家賃越えのネックレスをイワジン真珠店にてそっと購入。イワジン真珠店に併設の喫茶店でランチ。イワジンの息子さんがモナコで修行してきたというパスタとティラミスが思った以上においしく、友人と感激。ホテルに戻り、ラウンジでいかだ眺め酒。この日も志摩観光ホテル ザ クラシックに宿泊。

 

■4日め

チェックアウト後、真珠が見たりずもう一度、町へ。かしこ堂真珠店にて2万円くらいのリングを購入。ちなみに賢島はこちらから言わずとも、少々まけてくれます。このあたりもデパートやブランド店とは違うところ。誰もいない小山の上に、養殖の課程で犠牲になった真珠貝の供養塔を発見。お参りさせていただき、帰宅の途へつく。

 

 

2回目の真珠旅のプランは

2017年9月の旅。一人旅で、途中友人と合流した2泊3日の旅です。

■1日め

「おく文」という料理旅館へチェックイン。もともとはうなぎ料理屋さんだったそう。お風呂は共用の、昔ながらの旅館です。すごく古いけれど丁寧に手入れされており大変清潔。ビジネスホテルより断然すてき。

 

■2日め

早朝、朝ご飯前にに外宮にお参り。その後、伊勢の巫女が過去生の友人と合流し伊勢内宮へ。友人が教えてくれた「正式参拝」に挑みます。あのひらひらの中へ入り、参拝ができるのですね。この参拝は普段着ではできず、入学式のおかあさんみたいなフォーマル度が必要です。ワンピースだけではNGになることも多いようで、ジャケット着用が吉。パールのネックレスはここでも大活躍! 男性はスーツに白ネクタイ着用です。事前の申し込みは不要で、当日初穂料(お気持ちですが、私たちは相談の上5,000円に)をお渡しします。お参りの後は、おかげ横町をぶらぶら。やまきち真珠でオンリーワンのあこやバロックを一粒購入。その場でペンダントトップに仕立ててもらいました。

■3日め

早朝、おく文から歩いて10分ほどの月夜見宮へ参拝。外宮と月夜見さんの間は「神通路」という道。この道の真ん中は歩いてはいけないんです。月夜見宮の神様が夜になると境内の石をとーんとたたくと、それが白い神馬になる。神様を乗せたその馬は外宮へと通じる神通路の真ん中を通るので、住民達は端っこを歩く。なんだかすてきな言い伝えです。またこの通りにはジュエリーグレードの双子真珠を扱う専門店もありましたが、残念、開いていませんでした。また今度。近鉄特急で賢島へ向かい、1回めの真珠旅と同じ船頭さんのトークが面白い女神号で賢島周辺をクルーズして潮風を満喫。

 

■交通と宿泊■

【交通】

新幹線の名古屋から、近鉄名古屋線の特急賢島行きで約2時間10分。

近鉄名古屋駅 →  近鉄伊勢市駅(伊勢神宮エリア)約1時間20分 → 近鉄賢島 約45分

賢島の真珠店は賢島駅の前。伊勢志摩の宿や観光スポットは大抵駅から徒歩圏か、送迎バスが出ているので、私のように車を運転しない人でも大丈夫です。

 

【宿泊】

■いかだ荘

的矢牡蠣で知られる旅館です。旅館の周囲には歓楽街もありませんから、ただ窓からの眺めを堪能して、宿の料理を堪能する贅沢なひとときです。

http://ikadasou.jp/

 

■志摩観光ホテル

志摩観光ホテル 1泊2食 47,600円~(1名1室時、税金・サービス料込み)

私が泊まったのはザ クラシック、その名の通りのクラシックホテルです。落ち着いたインテリアと抜群のビューです。もう1棟のザ ベイスイートはオールスイートで、モダンな中に奇抜さも。館内には真珠の手すりやカーテンもありました。ちなみに、産地だけあって志摩観光ホテルの中にもMIKIMOTOのショップがあります。銀座よりはかなりカジュアルな雰囲気ですから、ガンガン試着できます。

https://www.miyakohotels.ne.jp/shima/

 

■おく文 1泊朝食7,500円(以下すべて税別)。1室1名から宿泊可。素泊まり6,500円、1泊2食10,000円・12,000円・15,000円。

正直、伊勢市内はあまりピンとくる宿がない中、ビジネスホテルも味気がないなとひたすら探して見つけた旅館です。伊勢市駅からは徒歩約15分。ぶらぶら散歩しながらすぐ着きます。

http://okubun.jp/

 

何度行ってもまた行きたいのが伊勢志摩。みなさんも、運命の1粒にぜひ出会ってくださいね!

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