40代は初体験ラッシュ。最近どんな初体験してますか?【宣伝課長・長友の”アモーレ!”な一冊】

2016.08.16 LIFE

今回紹介するのは、酒井順子さんの『泡沫日記』。「人生後半の初体験」に満ちた日々を記した日記風エッセイです。書店で文庫版の帯の「嗚呼、ミドルエイジ!中年になってもまだまだ知らないことばかり。」を見たときに、なぜだかにんまりしてしまい、レジへ直行した本です。

本当に「初体験」は減っている……?

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子どものころはもちろん、学生や新入社員のころの40代女性のイメージって、立派なオトナで、おばさんで、「知らないことを知っている人」。確かに、社会人になって30を過ぎたあたりから、経験が増えるにつれ、ふりかかる出来事はデジャブな気がしたり、過去の経験からのアレンジで対応できたりと「こなせる」ことが多くなって、まったくの「初体験」って少なくなってきます。しかも、だんだん「知らない」ってことを大きな声で言いづらくなるのですよね。

 

 

大人にしかできない初体験がまっている

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しかし、酒井さんによると、中年期は“初体験ラッシュの第2ステージ”なんだとか。例えば老化現象。身体のあちこちに生じる変化を発見して、「ショックというよりは『へーえ、こんな風になるの!』という新鮮な驚きが続く」と言います。また、「気がつけば最年長」という機会が増え、年長者として重責を負ったり、人を率いる立場になったり、「上の人」についていけばよかった時代には無かった初体験が待っている、とも。

同世代の友人の死とその葬儀での弔辞を依頼される、祖母の介護を体験する、母親が亡くなってからの初の母の日を迎える、といった老いと死に関すること。誕生日プレゼントに初めてガードルをプレゼントされる、久しぶりに初めての国「ラオス」に行く、これまで興味のなかったアーティストのコンサートに行ってみる、などの未知の世界を広げてくれること。この本には、酒井さんが40代を過ぎて出会ったり、時には自ら飛び込んでみたりした初体験の出来事と、それに、戸惑いつつも対応し、順応していく姿が描かれています。

 

アラフォーからアラフィフへ 大人の階段をのぼる

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読んで、私はすごく安心と共感を得ました。若さをひきずってはいるけれど、将来に対して漠然とした不安を感じがちな年ごろではありますが、知らないことがまだまだある、というのは素晴らしいな、と。当然「知りたくない」ツラいこともあるでしょうが、残りの人生、今までの焼き直しなんてつまらないではないですか。その昔、憧れてた先輩も、こんな風に乗り切ってきたんだ、と思うと柄にもなく「頑張ろう」と思えてくるのです。「最近、ちょっと停滞気味だな・・・」と感じている方にぜひ読んでもらえたら!

 

 

肉体上の変化も「大人の階段」

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文庫版のあとがきによると、アラフィフになった酒井さん世代の目下の話題は、やはり「更年期にまつわるあれこれ」。年を経るごとに、「手をかえ品をかえ」という感じで肉体上の変化が訪れるけれども、それに驚きつつも「新たな変化を受け止める」ということには慣れてくると言います。また、酒井さんにかかれば初めての遠近両用眼鏡を作ることも、「大人の階段を一歩上がること」なのだとか。こんな風に思えるまで、ジタバタするのでしょうが、次のアラフィフまでにいろいろな「初体験」しておきたいなと、思うのです。

 

それにしても、誕生日プレゼントにガードルをもらう(しかも男性の先輩から)、という話は面白い。長年付き合っている仲間うちからなら、こんなプレゼントもウェルカムですよね(たぶん)。私は、ガードルはだいぶ前に初体験済み。ならば、というわけではないですが、補正下着の世界をそのうちこじ開けたいなと思っております。必要にかられて……ということもありましょうが、それこそ「大人の世界」という気がしています。

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書名:泡沫日記(集英社文庫)
著者:酒井順子
ISBN:978-4-08-745460-4
出版年月日:2016/6/23
定価:本体480円+税
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