
人は「トラウマ」を克服できる【回復力】を生まれながら持っている、は本当なのか?
「トラウマ」とは自分の脳や身体を圧倒するような出来事のことをいいます。その瞬間、私たちは茫然自失となってしまいます。
それは、ある種の精神的な「解離」です。
ふだんであれば、自分の身体は自分のものであると実感していますよね。しかし、身体のイメージをはじめ、意識、記憶、思考、感覚、行動などが分断される体験を「解離」といいます。 たとえば、ある場面や時間の記憶が抜け落ちてしまい、その間はいつもの自分らしくない行動をとってしまうなどです。
今、自分に何が起きている事を理解できない状態です。
人間の脳はいくつかの部位に分類されていて、自律神経に関係している大脳辺縁系を「古い脳」とし、知覚や知性に関係する大脳新皮質を「新しい脳」ととらえられています。
我を忘れるような出来事が起きた時、私たちの脳で使われるのは、扁桃体という大昔からの「古い脳」の部分です。
人間や動物の進化の過程で、危機的な状況に陥った時に反応をするための脳の一部です。
「古い脳」は精神的、肉体的に圧倒される瞬間、「闘うか、逃げるか」の原始的な反応のどちらかを選択します。
「今すぐ逃げろ!」と、身体中の神経が叫びます
本能的にすぐに逃げなくてはいけない!と瞬時に感じとれればいいのですが、できなかった時に、脳の扁桃体がぼやけた写真を撮るように、その体験を記憶してしまうことを「トラウマ」と言います。
「古い脳」は危険が去った後でも、この圧倒された経験を記憶に定着させてしまいます。つまり、人生において未解決の問題を脳内に抱えてしまうということになるのです。
しかし近年、「トラウマ」は克服できるということがわかってきました。
本来、私たちはトラウマから回復して学習できる能力を持っているのです。
皆さんも経験したことはありませんか? 大きな問題に直面し、それを乗り越えた時に困難から何かを学んで自信ついたという経験を。問題の大きさは人それぞれでも、何かを克服できたという思い出はあるのではないでしょうか。
トラウマの感覚ってどんなふう?
「トラウマ」を持ったときの感覚はどのようなものでしょうか。自覚できるものなのでしょうか。
一例としては、自分自身が身体から離れてしまっているような感覚になったり、自分の身体の一部がすごく小さく感じたりします。
心と身体が解離する感覚は、私たちを時に不器用にしてしまいます。
身体の一部が自分から離れているような感覚は、「今、私はここに生きている」ということを感じとることができなくなってしまうからです。自分でも「何がわからないかが、わからない」という状態になるので、自覚を持つのが難しく、とても厄介なのです。
さらに自分の解離を見抜くのは、とても困難です。なぜなら、その要因は、脳の古い部分が「感じない」ことを習慣にしていて、身体から距離を取り、知覚を制限してしまうからです。
自分の身体を強く意識してみましょう!
私たちは脳で思考することに頼りながら生きていくのですが、時にはまるで自分の心が体から離れている(前述の解離)ように感じます。
トラウマがある時の肉体状況としては、身体が何かに縛られて空気をうまく吸えない感じがあります。
また、お腹の中に泥が溜まっているような感じ。または喉にボールが詰まっているような感じもします。
何も考えないようにしようと思えば思うほど、思考が頭の中をぐるぐる回転し始め、強迫観念にさらされます。
頭の中が常に忙しく、じっとしていられない。または、いろいろ考えを巡らせているのに動けない。
こういった症状は「古い脳」の仕業で、「闘う、逃げる」という指令を出しているのです。思考はノンストップになり、パニック状態に陥ります。それが頂点に達すると、激昂というかたちをとります。
まれに経営者のなかには、このノンストップ状態で生き続けて、成功を収める人もいますが、心身が消耗していることに気付けず、後にとんでもない不安を抱えてしまう人も多いのです。
「震え」は身体の安全機能が働いている証
そして「トラウマ」を抱えている人は、身体や指先が震えていることがあります。
トラウマを抱えていない人でも、ショックな経験をしたり極度に緊張したりすると、手や足が震えたことはないでしょうか。この場合も震えることによって、余分なエネルギーを放出しているのです。
身体の震えは、起こるままにしておきましょう。身体の安全機能がきちんと働いている証拠です。
震えは抑えようとせずにいることが大切です。震えは自分を圧倒する恐怖を解消するための余分なエネルギーを放出し、感情的爆発から私たちを解放してくれるのです。
どうしたら、トラウマを克服することができる?
まず人間が生きていくなかで、戦争や自然災害、愛する人の喪失など、恐ろしく悲しい出来事が起こるということを理解しておきましょう。歴史を顧みてみれば、それらを回避することは難しいとご理解いただけると思います。
私たちのほとんどは、ひどく逆境的な立場に陥っても回復できるように脳が配線されています。
「トラウマ」を癒すということは、自分自身の身体と出会うことです(詳しく知りたい方は、メルロ=ポンティの身体論に関する著作を読んでもいいかもしれません)。
トラウマは、脳の古い部分(扁桃体)が、身体の働きを変えてしまうことです。
それでは、どうすればいいのでしょうか?
自分の身体感覚に意識を向け、自己調整力を身につけることで、脳をリスタートさせることができます。
【前編】では、トラウマを抱えるようになるメカニズムや脳の機能についてお伺いしました。
▶【後編】では、幼少期の記憶にはない経験とトラウマの関係、克服することはできるものなのか?についてお伺いしました。__▶▶▶▶▶
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