年齢とともに大きくなったほくろ。癌の可能性がないのでしょうか? 【皮膚科医に聞く♯1】
ニキビに悩んだ10代から始まり、年々深刻になっていくお肌の悩み。40代を越えるとシミ、シワなどのお悩みに加えて「これは病気なの?」と心配になるような肌トラブルも…。そこで美容皮膚科医の友利新先生にお悩みを直撃。原因から対処法まで教えてもらいました。今回のお悩みは『40代になって大きくなるほくろについて』。
【質問】ふくらんできたほくろ、このまま放置しても大丈夫?
42歳ごろ、ある日気が付いたら腹部と首のほくろが大きくなっていました。「ふくらむほくろはよくない」という話も聞くので、取ってもらったほうが? でも、こんなことで受診していいの?と迷います。(43歳 会社員 女性)
ほくろも腫瘍のひとつ。でも基本的には良性なのでそのままでも大丈夫
一般的にほくろと呼ばれるものも『腫瘍』のひとつです。と言うと、癌なの!?と不安になる人が多いと思いますが、腫瘍には良性と悪性の2つがあり、ほくろは圧倒的に良性の場合が多いです。40代になったからといってほくろが突然大きくなることはありません。ほくろは少しずつ大きくなっていく傾向があるので、ある日ふと見たときに「あれ、大きくなってる」と気付くことが多いです。ですので、更年期や女性ホルモンとも関係がありません。
出血や痛みがあったり、変形したほくろには要注意
とは言え、ほくろにも平坦なものから腫れているものまで色々。心配なのは刺激が加わることで大きくなったり、出血したりするホクロがある場合です。例えば、お腹にあるほくろもただそこにあるだけなら心配はいりませんが、それが服にひっかかって出血したり、痛みを感じるのであればそこから癌化する可能性があるので、早めに取ることをおすすめします。「足の裏のほくろは要注意」と聞いたことはありませんか? これも同じことで、足の裏にあるほくろは刺激を受けやすく、そこから癌化する可能性が高いということです。ほくろからの発症率が高いのが悪性黒色腫、メラノーマと呼ばれる皮膚癌のひとつ。悪性になることは少ないのですが、もしなってしまった場合致死率が高いこわい癌ですので、少しでもほくろがおかしいと感じたらすぐに皮膚科を診断しましょう。
少しでも気になったら医師に相談。まずは近所の医院へ
首のほくろがとくに出血や変形もしておらず、ただ目立つだけという場合は美容目的の処置になるので保険は効きませんが、もし癌化の可能性があるホクロの場合は保険適用に。処置の仕方は大きさや状態によって変わりますが、首にあるようなものは電気メス、平たいほくろはレーザー治療を施すことが多いです。どちらにせよ、切除方法も含めてまずは医師に相談することが大切です。よく「この程度で受診してもいいのかな」と悩む患者様がいらっしゃいますが、「これは問題ありません」と言うのも私たちの仕事です。ほくろの場合「これはほくろじゃなくてシミですね」ということも多いです。それくらいシミとほくろは見分けがつきにくい。診断に来てくれればそこで「今は大丈夫だけど、1年後に再度様子を見ましょう」といったようなアドバイスをすることもできるので、大きな病気に繋がる小さな芽を発見することもできます。もし「これくらいで来るな」と言う医師がいるのであれば、そんな病院はすぐに変えればいいんです。とは言え、いきなり大学病院に相談に行くのは間違い。大学病院は高度な医療をするための場所なので、まず町のお医者さんに大学病院へ行くべきか、行かなくても大丈夫かの判断をしてもらいましょう。そこで
ほくろに効く外用薬はなし。自己流ケアなんてもってのほか
ほくろができやすい人、できやすい人の違いには遺伝的要素と体質がありますが、食生活や生活環境で変わることはありません。ただ、紫外線を浴びることによってほくろが大きく、濃くなることはあるので紫外線ケアは忘れずに。そして覚えておいて欲しいのは、ほくろの治療には医療的な切除しかないので、必ず医師の診断が必要になるということ。ほくろに効く外用薬はありませんし、自分でつぶしたり、薬品を塗ったりするなんて絶対してはダメ。ネットなどで流れてる情報を鵜呑みにして、自分で何かをした場合、運良く悪くならないことはあっても、絶対に良くなることはありまえせん。むしろそれが刺激となり,癌化するという最悪な結末を迎える可能性の方が高いので、絶対に自分ではいじってはいけません。
「気になったらまずは皮膚科医の指示を仰ぎに来ればいい。相談もできない先生なら病院を変えるだけ」と言う友利先生の言葉がとても頼もしく、安心した今回のお話。たかがほくろと思っていても癌化する可能性もあるので、心配になった方はぜひ受診を。オトナサローネでは今後も友利先生に皮膚トラブルについてもお悩みを相談していきます。
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お話・友利新先生
皮膚科医・内科医
日本内科学会会員、日本糖尿病学会会員、日本皮膚化学会会員、抗加齢学会会員
沖縄県宮古島出身。東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。現在、都内2か所のクリニックに勤務の傍ら、医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きる為の啓蒙活動を雑誌・TV などで展開中。2004年第36回準ミス日本という経歴をもつ、美貌の新進医師。美と健康に関する著書も多数あり、近著に『0歳からのスキンケア』(イースト・プレス)がある。
(取材・文/根本聡子)
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