小池百合子、破れなかった天井とは【新・オンナの生きざま#1】
そもそも政治家に必要な要素とは…
ユリコの処世術に嫌悪を覚える人もいるでしょうが、私は致し方ないことだと思っています。列国議会同盟が発表した2016年の「議会における女性議員の割合の国別順位」によると、日本は163位で、主要7か国中、最下位です。その少ない女性議員の中には、世襲の議員も含まれます。つまり、ユリコはマイノリティー中のマイノリティーです。
政治には地盤(支持母体)、看板(知名度)、カバン(資金力)が必要とされています。血統書のないユリコは、田中真紀子や小渕優子のように、ネームバリューとイメージで良いポストが転がりこんでくる能性はほぼありません。
総務大臣の野田聖子は「週刊現代」(講談社)でユリコと対談し、「今もほとんどの女性政治家は、自分で地位やパワーを勝ち取ることができていません」「お酌が上手じゃないと、大臣になれない」と発言しています。
世襲である野田が苦労するくらいですから、ユリコの苦労は並大抵のものではなかったはずです。ユリコは防衛大臣や環境大臣を歴任しますが、マイノリティー中のマイノリティーが重要なポストを得たことで、「男にも、世襲のお嬢さん議員にも負けない実力派」というイメージを獲得するのに成功したのではないでしょうか。
そのユリコが、都知事選に勝利したことで、男に遠慮せず、自らの能力を存分に発揮できる場所を得ました。しかし、情報公開を掲げていたわりには、築地移転問題で財源や運営費を検討した記録を残していなかったり、自らが任命した特別秘書の給与に関する書類を黒く塗りつぶすなど、現行不一致の印象を受けます。気に入らない記者に対する態度も高圧的で、大人気ない。
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