私が経験した「がんで親を亡くす」ということ。「亡くなった今のほうが父を身近に感じている」

「周囲に迷惑をかけたくない」最後まで美学を貫いた父

「間に合わない」と力強い声で伝えた主治医の様子から、あまり時間がないことを確信。母からも、父が昨日「これから先の時間は、病院(自宅ではない場所)で過ごしたい」と言っていたことを告げられました。

 

「家族を気遣い、迷惑をかけることを嫌う父らしいな」と感じ、それが父の“美学”であることを知っていた私は、「ホスピスに入居したい」と主治医に話します。すると、かつてお世話になった「緩和ケア認定看護師」(※2)が、探してくれることになりました。

(※2)日本看護協会の認定を受け、緩和ケア分野における熟練した看護技術と知識を持つ看護師。 看護師として5年以上の実務経験と、認定看護分野における3年以上の経験が必要。

 

そしてタイミングよく、私たち家族にとって馴染み深い場所にあるホスピスへ入居できることに! 見学の際、一歩足を踏み入れて感じたのは「家のような温かさがあるな」ということ。さっそく翌日から、父の新しい生活がスタートしました。

 

私たちは、再びかけがえのない「日常」を手にすることになります。それはまさしく、ホスピスの温かい雰囲気、寄り添ってくれた施設長、看護師や介護士の方々の存在、最後までお世話になった訪問診療医と看護師、ホスピスに繋いでくれた総合病院の主治医、緩和ケア認定看護師、ほかにもあらゆる面で力になってくれた親族や友人がいてくれたからこそ。改めて、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

ホスピスは、24時間家族が同室にいることが可能でした。テレビや小さな家具などの持ち込みも自由だったので、「大谷(翔平)くんが観たい」と言う父のリクエストで、さっそくテレビを設置。自宅で使っていたクッションや小物なども運び、少しずつ部屋作りを進めてゆきました。しかしその途中で、父の容態は急変します。

 

▶亡くなった今のほうが父を身近に感じている

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