私が経験した「がんで親を亡くす」ということ。「亡くなった今のほうが父を身近に感じている」
亡くなった今のほうが父を身近に感じている
その日、明らかに衰弱しながらも意識ははっきりし、会話もできた父。しかし、なぜか母と私は部屋を離れることができず、帰るタイミングを失っていました。
「少し眠るよ」と目を閉じた父に、「また明日来るからね」と言いながら、少し離れた場所で、帰りの交通手段を相談する母と私。「どうしようか。バス? 暑いからタクシー?」などと小声(のつもり)で相談していると、ふいに奥から「今日は暑いから、タクシーで帰ったほうがいいよ」という声が聞こえてきました。
母と私は驚いて再び父の元に行き、「ありがとう。そうするね」と答え、ようやく部屋を出ます。これが亡くなる前日、父と過ごした最期となりました。
あれから1年半ほど経ちますが、不思議と今のほうが父を身近に感じています。毎朝写真に手を合わせて話をするのが日課となり、何か迷いが生じると「父ならどうするかな?」と考える。その存在は、自分の想像をはるかに超えたものになっています。さらに父をよく知る叔母や近所の方と会えば、「昔、こんなことがあってね」と話題が尽きることはありません。
深い悲しみの先には、こんな穏やかな日常が待っていて、そこには今もなお、父がいる。その幸せをかみしめながら、今日も私はもう一つの介護(お義母さん)をマイペースに頑張ろうと思います。
この記事は
ライター
小林真由美
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