
わが子を「学校の人質」にしたくない!でも、教師から「モンスターペアレント」扱いもされたくない…。家庭と教育現場、「いい関係」を築くためには?
「モンスターペアレント」か否かの境目は、「教師を否定する意図」があるかどうか。「知りたい・分かり合いたい」なら安心して相談して大丈夫
©戸井理恵/コアミックス
――「学校にどうアプローチすればいいか」「歓迎されるのか、過剰なのか」で迷いがちな親にとって、「まず学校の実情を知る」という視点は、とても大きなヒントになりそうですね。一方で、「モンスターペアレント」(以下 モンペ)という言葉をよく耳にする昨今、「私のこの行動はモンペ認定されるのでは!?」という心配も付きまといます。
恐らく、その点を配慮なさっている時点でモンペではないケースが大半だと思います(笑)。いわゆるモンペと感じざるを得ないのは、たとえば本作の1巻で登場したような保護者です。
©戸井理恵/コアミックス
連日、長時間にわたってヒステリックに話をまくしたて、職員を恫喝する。「嘘でしょう?」と思うかもしれませんが、こういった保護者は実在します。
あるいは、保護者が「その道の経験者」で、教師の指導方法に介入してくるケースもあります。「ベテラン教師」である保護者が学級経営に物申してきたり、「野球経験者」の保護者が野球部の活動に意見してきたり、といった具合ですね。もちろん、ありがたい場合もあります。一方で、「そのやり方はないでしょう」という否定が前提となると、やはり教師はやりにくいですし、心も削られます。
いずれにも共通するのは、その先に化学変化や相互理解を求めない姿勢です。本来は「子どもにとっての最善手」を模索すべき対話が、「保護者自身の意見の正当性を証明する」「教員に勝利する・マウントを取る」という方向に傾くかどうか――それがモンペか否かの境目ではないでしょうか。
私が勤務していた「中学校」に関して言えば、親子が一定の距離感を保ち始める時期ですし、親を介さずとも生徒自らが教師と対話できるような年齢でもありますよね。ですから、保護者から教師へのコミュニケーションの多くは、日頃から密に……というわけではなく、相談事や用事でたまに電話がかかってくるケースが大半でした。電話を受けた瞬間は「どんな用件だろう?」と緊張感が走るのは正直なところですが(笑)、子どもを思って分かり合う姿勢がある保護者との対話なら、教師は「負担」「手間」と感じてはいないと思います。両者の間には、互いに「この子にとってより良い環境・方法は、何か」という共通の目的がありますから。そこはぜひ、教師を信頼していただきたいですね。
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『アテナの卒業式』監修者であり、元公立中学校教師でもある、のぶ氏に保護者である私たちが今できること、これからの教育現場への期待などをお聞きしました。
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のぶ
元公立中学校教師。
高校時代に校則がない学校で過ごした経験から、見た目をしばる校則に対して疑問をもち、改善するために行動してきた。8年間生徒会の担当として、いじめのない学校づくりを目指す取り組みを続ける。いじめ加害者の別室指導や出席停止も経験した。妻の妊娠、出産をきっかけに、自分の働き方を大きく改革。学級担任、部活動顧問、生徒会担当、生徒指導担を掛け持ちしながら、「学校で一番早く帰る」をモットーに行動。独身時代は残業時間150時間を軽く超えていたが、月30時間程度に縮小させた。退職後、本格的に始めたツイッターでは、学校のモヤモヤ代弁者として、理不尽な指導や文化を中心に発信中。現在のフォロワー数は4万人を超える。DMには学校のいじめ指導に悩む保護者から、数多くの質問が寄せられている。地方ラジオ出演、テレビの取材やインタビュー出演、ニュース記事の取材など、メディアにも数多く取り上げられた。現在はIT企業に転職して、学校のDX化を提案している。二児の父。
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『アテナの卒業式』は第2巻まで発売中、第3巻は6/20発売予定。
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