
およそ10年に1度は訪れる「暴落」。必ずくるその恐怖の瞬間、覚えておくと「冷静になれること」とは
「変化を好まない人」にこそ、少しずつ学んでほしい
ここまで聞いていると、投資をしない選択肢ももちろんアリだと思いますが、私たちが生きる「人生100年時代」を考えると、やっぱり現実的に言えば「少なくとも投資について知っておく必要はある」という感じですね。
「そう思います。『なるべく変化したくない』『今まで通りがいい』というお気持ちはわかりますが、それで資産寿命を全うできるかどうかは、やはり試算してみないとわかりません。何も知らないままお金が足りなくなってからでは手遅れですから。まずは少額からでも運用を始めてみるなど、無理のない一歩を踏み出してみるのがおすすめです」
「欲が出てしまう人」も、ルールを守って運用を
逆に、投資をはじめてある程度調子がいいと「もっと大きなリターンが欲しい」と欲張ってしまう人もいますよね。僕はなんとなくそのタイプな気がしてます(笑)。
「投資をやってみて『儲かる』と思うと、つい大きなリスクを取りたくなる方もいらっしゃいます。ですが、これも車の運転にたとえると、スピードの出しすぎや信号無視は事故の元ですよね。いちばん怖いのは『相場がいいときにリスクを大きく取りすぎて、大暴落時に大損する』パターンです。ルールを決めて運用を続ける、自分なりのペースを守るのが大切ですね」
知らないから怖い。学べば生活インフラになる
今日は、投資への不安をどう克服するか、そして国民年金やGPIFの運用、iDeCoなど身近な事例を通じて「実は投資はギャンブルではない」というお話をうかがいました。最後に、これから投資をはじめたいけど怖いという方へ、千田さんからメッセージをいただけますか?
「やはり『知らないから怖い』という要素は大きいと思います。車の運転も、初めて教習所に行くときはドキドキしましたよね。でも一度免許を取って練習を積めば、自家用車は生活に欠かせないインフラになります。投資も同じで使い方次第で、長い人生を豊かにしてくれる道具になるはずです」
ありがとうございました!私も改めて正しい投資の“運転技術”を学びたいと思います!
「わからないときは、ぜひプロのアドバイスを仰いでください。大暴落のときに一人で悩むよりも、一緒に伴走してくれるパートナーがいると心強いですよ。ゆっくりと、でも一歩ずつ踏み出していきましょう」
おわりに
本記事では、前回までに学んだ「資産寿命を伸ばすための運用&取り崩し」の考え方に加え、「投資の恐怖心を取り払うために必要な知識と心構え」を中心にお伝えしました。知らないからこそ怖い「投資」という世界ですが、国民年金や企業年金でさえ運用されている事実、そして実際に世界中の大学や財団が投資益で資金を維持している現状を知ると、「投資=ギャンブル」ではないことが少しずつイメージできるのではないでしょうか。
次回以降も、千田さんから奥深い投資の世界を教えていただく予定です。どうぞお楽しみに!
*これまでのお話の一覧
お話/千田愛さん
IFA・ファイナンシャルプランナー。製薬会社MR、広告会社営業を経て投資運用会社で運用の基礎を学ぶ。育児による専業主婦時代を経てふたたび金融の世界に戻り、FPとして主に女性のライフプラン設計に寄り添う。IFAの資格取得後は人生トータルでのお金の使い方を主眼に、貯めるだけでなく「お金をよりよく使って生きていく」人生設計に寄り添う。
(取材・文/ライター・鵜飼慎太郎)
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