ねえ、どうしてその男に貢ぐのがやめられないの?【不倫の精算 10】

2018.01.20 LOVE

貢いでも手にできない希望

 

「あ、LINEしなきゃ」

カップを戻しながら、思い出したようにJ子さんがつぶやいた。

サークルにはいつも彼と一緒に向かう。その連絡がまだだった、とバッグからスマホを取り出すが、タップする指が遅い。

最初、嬉しそうにシューズを見せてくれたときとは違う様子に、いつも感じる違和感が蘇った。

「もうプレゼントなんてやめればいいのに」

貢ぐことの言い訳は、彼女自身に向けられたものだった。自分に似合うものくらい自分で選んで買うのが大人だが、その理屈を曲げてまで彼に向ける愛情に、中身はない。贈れば喜んでもらえる幸せは一過性のものであり、J子さんを満たす瞬間はこの先も訪れない。

彼のためではなく、自分のため。愛して欲しいのではなく、自分の行いに自分が満足したいだけ。

本当に彼を愛しているのなら、約束の連絡を忘れることはない。友人と会うことをまず選ぶ優先度の低さは、彼女にとって彼も夫も実は等しく遠い存在なのだと思わざるをえない。

目をそらし、無言でスマホの操作に戻るJ子さんからは、これから愛する人に会うという喜びが感じられなかった。

カップの縁にべったりと付いた赤い跡を見ながら、J子さんが手にできないのは愛ではなく希望なんじゃないか、とぼんやり考えていた。

 

 

本当に誰かを愛するとき、一方通行では満たされないのが普通だ。

貢ぐのは物を介して相手に愛情を与えることだが、見返りのない行為を繰り返すJ子さんには決して相手に対する深い思いがあるわけではない。

希望のない一方的な関わりがどんな結末を迎えるのか、それはJ子さんにしかわからない。

 

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