夜だけでなく日常も支配される。子どもを脅しの材料にされて離婚もできず、徐々に追い込まれた私は
離婚ができない理由
「こんなに辛い思いをするなら、すぐに離婚すればいい」
そう思う方もいるでしょう。
しかしA子さんには、離婚をためらう大きな理由がありました。
それは経済的な問題です。夫は高収入で、家計はすべて夫の稼ぎに依存していました。A子さんは専業主婦で長年社会から離れており、「今から働けるのか」「子どもたちの生活を守れるのか」という強い不安がありました。
夫の収入が生活を支えている現実に加え、子どもたちは小学校から大学まで一貫の私立に通っています。「離婚するならば学費も生活費も払わない」と夫から言われており、その言葉は常に脅しとして重くのしかかっていました。
離婚するなら子どもを父親のもとに残していくしかなくなる、A子さんはそう感じていました。
「子どもと離れるくらいなら、耐えた方がまし」
この思いがA子さんを踏みとどまらせていました。自分の生きがいは子どもの成長を見守ること。たとえ夫との関係がどんなに辛くても、一緒に暮らし、笑顔や成長の瞬間を共有したい。その思いが、彼女を家に縛りつけていたのです。
追い詰められる日々と、心を守る工夫
あまりの苦しさから、A子さんは時折「夫が浮気をして、自分に興味を失ってくれたら」と願うこともありました。本来なら裏切りであるはずの浮気ですら、救いの道に見えてしまうほど、日々の性的DVは彼女を追い詰めていたのです。
それでも子どもたちと一緒に暮らすために「あと数年だけ我慢する」という選択をしました。同時に、少しでも心を守る工夫を欠かさないようにしました。
・生活費からわずかでも貯金をする
・日記に出来事を書き留める
・信頼できる人や専門機関に事実を伝える
こうした小さな行動が、すり減った心を支える支えになっていました。
性的DVは「我慢」で解決できない
ただし、これは決して「我慢すれば解決する問題」ではありません。性的DVは夫婦間であっても暴力であり、明確に犯罪にあたる行為です。モラハラよりも相談しづらい問題ですが、その被害は身体的DVと同じか、それ以上に深刻です。
被害者が「拒めない自分が悪い」「仕方ない」と思い込む必要は一切ありません。大切なのは「性的DV」というものが存在するという事実を知ることです。夫婦間であっても、望まない性の強要は暴力であり、決して「営み」ではありません。
この言葉を知ることが、最初の一歩です。
もし同じように辛い思いをしている方がいたら、どうか一人で抱え込まず、相談する勇気を持ってください。
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