年収400万ならいくらの家を買っていい?持ち家には「逆ざやリスク」も?<家を買う前の知識編> 【おこなしさまという生き方Vol.16 】

返済額は手取りにあった「身の丈」で考える

なにより、身の丈に合った予算の物件を選択すること。よくいわれる目安は、その人の年間取得の5~6倍。仮に手取りが400万円なら、2,000万円~2,400万円くらいが妥当ということになります。

頭金は物件価格の2割以上あると金利が優遇されるものもあります。40代以上であれば、できれば3割程度の自己資金は用意したいところ。そうはいっても、貯蓄のすべてを住宅購入に充てることはやめた方が無難です。病気やリストラなど予期せぬ収入減に対して、多少の備えは残しておきましょう。

はじめて物件を購入する際の平均額を調べてみます。国土交通省「住宅市場動向調査」(平成27年度)によると、一次取得者の購入資金平均額はそれぞれ、注文住宅(土地含む)4,034万円、分譲戸建住宅 3,663万円、分譲マンション 3,800万円、中古戸建住宅 2,650万円、中古マンション 2,228万円になっています。 そのうち自己資金(比率)は、注文住宅  1,208万円(29.9%)、分譲戸建住宅 882万円(24.1%)、分譲マンション 1,243万円(32.7%)、中古戸建住宅 917万円(34.6%)、中古マンション 878万円(39.4%)と、大半が3割程度の自己資金を用意してから購入しているようです。

中古物件を選ぶ際の注意点も

Vol.15のなかでも示していますが、近年、価格が手軽な中古マンションを選ぶ単身者が増加しています。中古物件は先に建てられた分、新築物件より好立地な場所に建っていることが多く、交通の便がよいところは価値が安定しやすい傾向にあります。立地条件や住みたい街が決まっているなら、気に入る中古物件が見つかるまで気長に探すのも得策。老後まで長く住み続ける予定なら築浅で、新耐震基準を満たす、1981年以降に建てられたものを選ぶようにしましょう。

ただし、中古住宅は建物の耐久性などの関係で借入期間が短くなることや、借入金の上限が低くなることもあるため注意が必要です。また、住宅ローン減税制度を利用するなら、マンションなど耐火建築物の建物であれば、築25年以内。木造住宅など耐火建築物以外の中古住宅であれば、築20年以内であることが条件になっています。

ライフステージ別・購入の留意点

次に住宅購入時の留意点を、ライフステージが異なる独身・既婚別に触れておきます。

【独身女性の場合】

40代以降の独身女性で物件を購入するなら、頭金は多め、借入金は少なめにすることが基本。働き手が一人なので、20年以上の長期返済が続く限り、自ら働いて収入を得続けなければなりません。働き手が二人の共働き夫婦に比べるとリスクは高くなってしまうため、自己資金を厚めにして、背伸びをせずに予算を抑えた物件を選択するようにしましょう。

【共働き夫婦の場合】

二人分の収入がある共働き世帯は、融資可能な金額が大きくなるため、予定より高い物件に手を出しがち。長い住宅ローン返済の間に、どちらかの収入が減ってしまうことや途絶える可能性も考えられます。限度額いっぱいでローンを組むのは避け、返済は片方の収入をメインに、一方は繰り上げ返済や貯蓄に回すようにすると、ローンに縛られない生活が送れます。

【専業主婦の場合】

住宅ローンを組む際に加入する団体信用生命保険は、債務者が死亡したときや高度障害状態になったときに住宅ローンの残債が相殺されますが、病気・ケガは対象外です。パートナーが働けない状態になっても、毎月の住宅ローンは支払わなければなりません。すべてをローン返済に回さず、予備費をとっておくようにしましょう。夫の扶養範囲内での収入は、子どもがいれば教育費にするところでしょうが、“おこなしさま”は予備費や老後資金として貯めておいた方が賢明です。

「買いたい病」にかかっても、いちど冷静になって判断を

いったんスイッチが入ってしまうと、家が欲しくてたまらない状態になってしまう「おうち買いたい病」。感情が加速して条件を緩めてしまわないよう、少し時間を置いて、気持ちをクールダウンさせることが大切です。持ち家は賃貸と違って、住んでみて気に入らないからと、すぐに引っ越せるものではありません。人生最大の買い物でありながら、舞い上がった状態では誤った判断をしてしまうことがあります。そのためにも物件見学の場数を踏み、見る目を養い、自分が無理なく買える価格と譲れない条件を照らし合わせて判断することです。

なかには、若い世代の子育てファミリーをメインターゲットにしたマンションもあります。落ち着いた暮らしを希望されるなら、購入前に近隣の住生活環境を必ずチェックしておきましょう。また、“おこなしさま”は、持ち家を買っても引き渡す子どもがいません。だからこそ、晩年に手放すことになったとき、少しでも老後費用の足しになるよう、できるだけ資産価値が落ちにくい物件を選ぶこと。そして、物件の価格動向など住宅市場をリサーチしながら、買うタイミングを見極めることが重要です。

 

次回は、すでに家を購入して住宅ローンを払っている人向けの【家を買った後の実践編】です。

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