家を買うならやっぱり「港区」?高すぎる…それでも “最強”と言われる理由とは。「失敗しにくいエリア」の選び方

「人の新陳代謝」が地価上昇の原動力

「港区は無理でも、失敗しにくいエリアはないか?」その答えになるのが、「人の流れ」というキーワードです。

人の流れの重要性を教えてくれたのが、オラガ総研代表の牧野知弘さんです。牧野さんは第一勧業銀行(現みずほ銀行)で不動産融資を担当したあと、ボストン・コンサルティング・グループを経て三井不動産に入社。その後、J-RリートEIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て、2015年にオラガ総研を設立されました。

その牧野さんがエリア分析の際、真っ先に確認するのが人口の「転入・転出」データ。そこで導き出した黄金律が、「年間で人口の1割以上が入れ替わる地域は、地価が上がる」という法則です。

人口の1割が入れ替わるということは、必ず誰かが出ていき、そこに新しい人が入ってくるということ。牧野さんはこれを「人の新陳代謝」と呼んでいます。この人の新陳代謝が、地価上昇の原動力になるのです。

なぜ人口の総数ではなく、「入れ替わり」が重要なのか。そのメカニズムを紐解くと、街が価値を上げるプロセスが見えてきます。

まず、新しい人が継続的に流入すると、消費ニーズが多様化します。20代の単身者、30代の夫婦、子育て世帯など、さまざまな属性の人が入ってくることで、「こんなお店が欲しい」「こんなサービスが必要だ」という需要が生まれ続けます。

明確な需要があれば新しい店舗が出店しやすくなります。そして、新しい店舗が増えると、街全体の魅力が高まります。既存住民にとっても「最近、駅前に良いレストランができた」「便利な施設が増えた」という変化が満足度を高め、外から見ても「活気のある街」として映ります。

結果として、「ここに住みたい」という需要が高まります。需要が高まれば、不動産の売買が活発になり、賃貸物件の契約も増える。需要が供給を上回れば、価格は上昇。これが、人の新陳代謝が高い街で地価が上がるメカニズムです。

この「人の新陳代謝」を調べるのに、専門的なデータや高額なツールは必要ありません。各自治体のホームページを見れば、人口の転入・転出データは無料で公開されています。つまり、誰でも今すぐ確認できるのです。

 

なぜ「流山」がすごいのか

この「人の流れ」を意図的につくり出し、大成功を収めたのが千葉県流山市、特に「流山おおたかの森」駅周辺です。もともとは、つくばエクスプレスの開業に伴うアクセス改善がきっかけでしたが、流山市の凄さは、そこから「子育て支援」に思い切った投資をしたこと。その結果、小さな子どもを持つファミリー層に絶大な人気を誇っているのです。

では、具体的にどんな子育て支援が人を引き寄せているのか。象徴的なのが、不動産コンサルタントの沖有人さんも絶賛する「送迎保育ステーション」というシステムです。これが、忙しい共働き世代にとって究極のソリューションになっています。

流山市の送迎システムはこうです。親が朝、駅に設置された送迎保育ステーションに子どもを預ける。すると、そこから市内の各保育園まで送迎してくれる。帰りも同様で、保育園が終わった子どもたちは駅のステーションに集められ、親の迎えを待っている。つまり、親は通勤のついでに駅まで送り迎えするだけで済むのです。これは小さい子どもを持つ僕としても、正直うらやましい。くわえて、流山市は「待機児童ゼロ」を実現しています。

こうした環境が、さらに多くのファミリー層を引き寄せていますこの「送迎保育ステーション」を真似しようとする自治体もあるそうですが、簡単には実現できません。流山市は市域がコンパクトだからこそ、効率的な送迎網を構築できました。市域が広いと、保育園の数も膨大になり、送迎に時間がかかりすぎてしまいます。流山市の成功は、地理的条件とサービス設計がうまく噛み合った結果なのです。

 

▶「不動産価値が上がりやすい」エリア“3つの条件”とは

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