「妻は子どもを虐待していた」裁判で平然と嘘を並べる夫…それでも妻が前を向けた理由
裁判での、夫の驚きの陳述書
裁判になってから、夫が提出してきた陳述書を読んだとき、Tさんは呆然としました。そこには、事実とはまったく異なる“Tさん像”が書かれていたのです。『夫をないがしろにし、家庭を顧みず、遊び歩き、子育ても放棄していた』どこから、どう否定すればいいのかわからない。読み進めるうちに、頭の中が真っ白になっていったといいます。
なぜモラハラ夫は、裁判でも平然と嘘をつくのでしょうか。それは、自分が「悪者になること」への強い恐怖と、最後まで相手をコントロールしたいという執着があるからです。事実を捏造することへの罪悪感が薄いのです。モラハラ夫にとって、裁判もまた“支配の場”なのです。
その陳述書を読んでいるうちに、Tさんの中には、同居していた頃の感覚がじわじわと戻ってきました。「どうせ何を言っても無駄だ」そんな、諦めの感覚です。この“どうせ無駄だ”と思ってしまう状態を、心理学では「学習性無力感」と呼びます。これは、モラハラ被害者に非常に多く見られる状態です。
① 繰り返される支配の中で、「何をしても無駄だ」という感覚が、少しずつ心に刻み込まれていく。
② 抵抗しても、泣いても、正論を伝えても、結果は変わらない。その経験が積み重なることで、「変えようとすること」自体を諦めるようになる。
③ そして最後には、「悲しい」「つらい」という感情さえ、自分でわからなくなっていく。
自分が何を感じているのかさえ、見えなくなってしまうのです。Tさんも、長いあいだ、そうでした。夫と暮らしていた頃は、誰かに相談することすら思いつかなかったといいます。ましてや、弁護士に相談するなど考えもしませんでした。「どうせ私が悪いと言われる」「どうせ信じてもらえない」「どうせ何も変わらない」そんな諦めしか、心の中にはなかったのです。
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