吉田沙保里、引退理由を「女性としての幸せのため」にねじ曲げたの誰だ?

2019.01.18 LIFE

女性アスリートはオンナ芸人より、いじりやすい?

SNSの炎上からCMが放映中止に追い込まれたり、今やテレビ局やそこで仕事をする人は、炎上を恐れていると言っていいでしょう。燃えるのは、ほとんどが女性に対するセクハラです。女性の容姿を貶めたり、独身であることを笑ったりすると、SNSはあっという間に燃えさかります。テレビに出ている人はおバカさんではないので、空気を読みます。その結果、オトコ芸人がオンナ芸人を「ブス」とか「結婚できない」と笑うことを見かけることはほとんどなくなりました。

 

しかし、現在のバラエティーの作り方では「いじられる」という名の「いじめられ役」がいなくては成立しないのも事実なのです。その「いじられ役」の椅子に座ってくれて、かつ視聴者にハラスメントの印象を与えないのが、オリンピックの女性メダリストなのです。

 

女性メダリストたちが恋愛未経験なことはよくありますが、彼女たちは子どもの頃から厳しい練習に身をささげていますから、恋愛をする時間はなくて、当たり前。したがって、恋愛をしたことがないのは環境の問題であって、ハラスメントに当たらないと視聴者は見てくれます。吉田サンはサービス精神旺盛なのかどうか、モテない、結婚できないなどの笑われ役を買って出ている。共演者も「吉田さんになら、何を言ってもハラスメントにならない」と勝手に決めつけているような気がします。

 

吉田サンは「女の幸せ」とは何か、明言していません。しかしながら、テレビはなぜか結婚と出産だと決めつけて報道しています。仮に結婚と出産だと仮定した場合、吉田サンのアスリートとしての輝かしい業績の数々は何の幸せなんでしょうか。

 

吉田サンが何を「女の幸せ」と定義しようが、それは吉田サンの意見ですから、他人がとやかく言うことではない。しかし、吉田サンがタレント業、特にバラエティーにも興味があると発言している以上、この発言はリスクがあることを頭の片隅においておいたほうがいいでしょう。自虐やぶっちゃけは簡単ですが、飽きられるのも早いでしょう。「女性としての幸せを手に入れられなくて、不幸だ」というように、「女性の幸せ」を定義づける発言をすると、吉田サン自身がハラスメントをする側に加担したことになり、炎上してしまうかもしれないのです。

 

テレビの思う「女性らしさ」は、変わっていない

吉田サンの引退会見のダイジェスト版では「女性の幸せをつかみたい」という部分が繰り返し、使われています。なぜ、ここなのか。レスリングという「女らしくない」競技をする人が「結婚や出産を急がないと間に合わない年齢」に「女らしい幸せ」を求めることを、ちょっとバカにしていませんか?

 

「女らしさ」と言えば、昨年放送された「人生が変わる1分間の深イイ話」(日本テレビ系)で、こんなことがありました。芸人・渡辺直美が中国の紅白歌合戦とも言える国民的歌謡番組に、日本人で初めて出演することになりました。同番組はそんなナオミ・ワタナベに密着をします。ステージで大成功を収めたあと、ナオミは上半身裸、うつぶせで現地の人からオイルマッサージを受けます。デビュー当時は55キロ、現在は105キロに成長したナオミの脇の肉は大きく盛り上がっていた。ナオミは「太りたいとは思っていない、痩せられるなら痩せたいけど、今の自分がこうだから、この体型も好き」と自分を肯定する発言をしていました。

 

しかし、番組のナレーションは「女性らしさとは真逆の存在であるのに、女性に好かれる存在」とナオミを説明するのです。

 

え?もしかして、日テレさん、太っている人は女性らしくないと思ってます?

 

吉田サンへのコメンテーターたちのでっかいお世話発言はテレビ朝日、ナオミへのナレーションは日本テレビですが、テレビの思う「女性らしさ」とは、

・細い(太っている人は、女らしくない)

・結婚、出産が女の幸せだと思っている

・なので、たとえオリンピック三連覇のゴールドメダリストであっても、結婚、出産のために引退する

・30代後半で婚活や妊娠なんて言い出さない

 

なのではないでしょうか。体型も生き方も答えが一つしかないのです。

 

90年代に、30歳を目前に仕事や恋に悩む三人の男女を描いた「29歳のクリスマス」(フジテレビ系)が大ヒットしましたが、ここで時が止まってませんか? 90年代だったら、仕事と恋(結婚)の両立は難しかったかもしれませんが、今は稼ごうとしない女性が嫌われる時代、ましてや吉田サンなんて有名人ブランドを持っているわけですから、メリットありありで結婚なんて簡単です。

 

好感度抜群の吉田サンだからこそ、いろいろいじったのでしょうが、テレビの持つ古さが、また一つ浮き彫りになったように感じられたのでした。

 

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