「すい臓がんで余命3ヶ月」と宣告された父との別れは、突然だった。遺族に、悲しみより先に押し寄せた「意外な感情」とは
「今週はお風呂に入れそうだよ」と言った父。でも、その別れは予想以上に早かった。
「すい臓がんで余命3ヶ月」その言葉を医師から聞いた約5ヶ月後、父はこの世を去りました。2023年7月のある朝、私の元に入った1本の電話。相手は2週間ほど前に入居したホスピス(※1)の看護師さんで、「意識レベルが低下しているので、すぐに来てほしい」という内容でした。
(※1)人生の最期を穏やかに過ごすために、さまざまな苦痛を和らげるための治療・ケアを行う施設。
数日前に医師から「お別れの日は、そう遠くないでしょう」と言われていたこともあり、ある程度の覚悟はできていた(はずだった)。でも、前日まで多少衰弱しながらも意識ははっきりし、テレビを観たり会話もできていた父。その前の週は体調がすぐれずにお風呂をキャンセルしたけれど、「今週は入れそうだよ」と言った父。そんなふうに、まだしっかりと「生」を感じていた私は、目の前の事態をすぐに受け入れることができませんでした。
ところが母や夫とホスピスに到着すると、私の感情に少しずつ変化が訪れます。残念ながら父はすでに息を引き取っていましたが、その表情はとても優しく穏やかで、私の知っている父そのもの。その様子から、おそらく最期まで痛みはなく、苦しまずに亡くなったことが理解できました。
さらに看護師さんから伝えられたのは、父が数時間前に自らナースコールを押し、トイレのサポートと水分補給を求めたこと。それを聞いたとき、「最期まで自分の意志で動けたなんて、すごい……」と誇らしくも感じたのです。
▶悲しみより先に押し寄せた「意外な感情」
この記事は
ライター
小林真由美
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