すい臓がんで亡くなった父にあえて「伝えなかったこと」。半年後に悲しみとともに押し寄せた、たった一つの後悔とは
きっかけは1年前のレシートと領収書。「春の匂い」も父との記憶を呼び戻し……
ところが本格的な寒さがやって来た2月、父が余命宣告を受けた1年後辺りから、それまで以上に父のことを考える時間が多くなりました。さらに、急に悲しみに襲われ、胸がギュッと押しつぶされるような感覚も。
それは、父が亡くなってから初めてのことで、自分自身が戸惑うほどでした。その変化に気づいたのは、確定申告のために書類を整理していたときのこと。目にした1年前のレシートや領収書には「父との想い出」がたくさん詰まっており……。
在宅看護が始まり、「少しでも心地よく過ごしてほしい」と購入した下着やパジャマ、寝具などのレシート。ホスピスへの入居が決まった際、私と夫でプレゼントしたテレビの領収書。これらを見た途端、当時のことが一気に蘇り、これまでになく深い悲しみを感じたのです。
さらに数日後、年に1回携わる仕事の打ち合わせで、ある駅に降り立ったときのこと。その駅からショッピングモールまでの景色を見た瞬間、「確か去年ここに来たときは、がんにはり患していたけれど、まだ普通に食事ができていて『何かお土産買っていくよ』って電話したんだよな」などと思い出し、すぐ傍で父の声が聞こえるような感覚に。その声があまりにもリアルだったので、「実は父はまだ生きていて、近くにいるのかも」とさえ思ったほどでした。
そこから数週間が過ぎて春の訪れを感じ始めると、今度は「春の匂い」が1年前の記憶を呼び戻し、深い悲しみに囚われました。ちょうどその時期は父が抗がん剤治療をしないと決め、食事の量も格段に減った頃。日に日に痩せ細ってゆく父の姿が目に浮かび、喪失感に襲われると同時に「もっと、父に感謝の気持ちを伝えたかった」と強く後悔したのです。
▶「ありがとう」はあえて言わなかった
この記事は
ライター
小林真由美
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