すい臓がんで亡くなった父にあえて「伝えなかったこと」。半年後に悲しみとともに押し寄せた、たった一つの後悔とは

父に最後まで「ありがとう」が言えなかった、その理由

「沈黙の臓器」と言われている「すい臓」。ゆえに、すい臓がんは初期段階で症状が現れることはほぼないため、父も黄疸が出たタイミングで発覚し、すでにステージ4の状態でした。

 

そのときにがんは広がっていて、主要な血管や神経に浸潤しているため、大きな手術は難しい。年齢的に手術や化学療法は体の負担になることから、「何もしない」という選択肢もある。そんな医師の言葉を聞き、父は「抗がん剤治療はせず、住み慣れた家で、このまま穏やかな時間を過ごす」という道を選びます。

 

その決断をしたとき、私は母と「2人の約束事」を決めました。それは、「父に対しては、なるべく普段どおりに接する」ということ。在宅看護を選んだ父に、できる限りこれまでと同じような日常を届けることがベストだと考えたのです。

 

「これまでありがとう」のようなことを伝えると、父は自分の「死」を意識してしまうかもしれない。そういった改まった話をするのではなく、「何気ない日常会話を大事にし、余計な不安を与えないようにしよう」と。

 

実は一度、ふいに父が私の幼い頃の思い出話をしたことがあり、その流れで感謝の気持ちを言いかけたことがありました。でも、途中で涙があふれそうになり、「このまま話を続けたら、本当に最後のお別れみたいになってしまう」と感じ、話題を変えてしまったのです。でも、ちゃんと「ありがとう」と伝えるべきだった……。

 

父が亡くなって半年が過ぎ、急に訪れた喪失感で、大好きな春が「苦しい春」となっていた2024年。でも、夏を迎える頃には少し変化が訪れて……。この続きは、また次回お話ししたいと思います。

 

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