
更年期の治療って何ができるの?「更年期をそんなに恐れることはないんです」更年期♯1
青年期、壮年期などと同じような時期の呼び方として、女性の閉経の前後5年を更年期と呼びます。
日本人の閉経の平均は50歳のため、45~55歳は更年期にあたる人が多数。この時期に女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、更年期障害と呼ばれる状態に至る人もいます。
乳がんのセカンドオピニオンを中心に診察する医師の新見正則先生に、更年期とその治療について伺います。1回目の今回は「更年期全般を通して起きること」について。
【更年期とホルモン補充療法♯1】
更年期、辛いかもしれないけど、怖くはないんです
はじめまして、新見です。ぼくは20代を外科医、30代を免疫学者、40代を漢方医として過ごしてきた、日本では珍しいトリプルメジャー医です。50歳を過ぎてからトライアスロンを始めたため、スポーツ医学の心得もあります。
長く帝京大学医学部で指導にあたってきたほか、現在は2020年に開いたクリニック*1での乳がんのセカンドオピニオンと治療をメインに、不妊治療専門クリニック*2で外来も担当しています。
このシリーズでは5回にわたり、ちょっと他にない診察をするぼくの立場から、みなさんに「更年期は怖くないよ」「こんなことが起きるよ」「こういう治療ができるよ」というお話をしたいと思います。
*1東京・飯田橋/新見正則医院(自由診療) *2千葉・浦安/さくらウイメンズクリニック(新見先生は保険診療)
更年期障害は医療が介入しなくても10年たてば終わるんです
さくらウイメンズクリニックには自由診療の不妊治療部門のほか、保険診療の婦人科部門もあるため、更年期障害が主訴の患者さんもお見えになります。ぼくは保険での漢方治療を担当しています。
更年期障害ってちょっと不遇なんです。医者からすれば更年期障害では直接は死なないうえ、医療が介入しなくても長くても10年たてば誰でも終わります。なのに治療の方法があまりに多岐に渡るため道のりが長く、しかも完全には治らないので感謝もされない。だから、あんまり医者も親身になりきれないことが多いんですよ。
治し方も、たとえばヨガや運動で治る人もいるし、ぼくと雑談したら楽になる人だってかなりの数います。もともとぼくはとっても雑談が上手いのですが、雑談でよくなることがあるという点に更年期障害の難しさが現れていると思います。
更年期障害はホルモンのアンバランスで起きている「状態」にすぎない
更年期障害は、障害という言葉が使われているものの、ホルモンのアンバランスで起きている「状態」に過ぎません。ごく軽いものから動けなくなるものまで幅が広いのですが、まず大前提として更年期障害では死なないから大丈夫です。安心してください。
そもそも、60歳をすぎたらエストロゲンの分泌は間違いなくゼロに近くなります。ゼロが悪いのであれば60歳を過ぎたら全員更年期障害ですが、そうはなりません。つまり、アンバランスな状態から着地するまでがしんどいだけで、身体がそのアンバランスに慣れれば治るんです。
あまりにアンバランスな状態がつらい人は、ある程度女性ホルモンを補えばラクになります。それがホルモン補充療法(HRT)です。
ホルモン補充療法(HRT)は扱いやすいパッチがメイン
ただし、HRTは血栓や乳がん、子宮がんなどのリスクを抱えるため、慎重を要する治療です。最初は扱いやすいパッチやジェルで始め、症状がひどければ内服や注射を検討します。パッチがメインですね。口から飲み薬を飲んで肝臓で代謝を受けるよりも、週2回張ればいいパッチでの経皮吸収のほうが合理的だからです。
女性ホルモンの1つ、卵胞ホルモン「エストロゲン」は初潮から増え始め、閉経に向かって減ります。そんな大きな波が女性の一生には訪れます。また毎月の生理周期でもエストロゲンは増減します。
そんなエストロゲンの大小の波の変化に耐えられない状態が、思春期の不調、月経前症候群(PMS)、そして更年期障害と表現されます。エストロゲンの波の変化に耐える力には個人差があり、また、耐える力を鍛えることもできます。次回はそのお話をしましょう。
18日11時配信 次の話>>>意外…更年期障害での受診は「若い」40代半ばまでの人が多い理由って?
お話/新見正則医院 院長 新見正則先生
1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。乳がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する漢方、フアイアの普及も行う。
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