「更年期の不眠やうつって、治るんでしょうか?」更年期の素朴な疑問に専門家がズバリ回答!【更年期ラウンドテーブル#2】

一般的に閉経の前後5年を指す更年期。この時期は、ちょっとした疲れやめまい、生理周期の乱れなどを感じるたびに「更年期?それとも加齢?」と不安になりがち。

オトナサローネはこの10年間をよりよく過ごすための社会啓発「アフタヌーンエイジプロジェクト」をスタートしました。

更年期という言葉を口にしやすい「アフタヌーン」に置き換え、正しい医学的知識をわかりやすく届けます。最終的に「誰でも不調を口にしやすく休みやすい、脱落せず参加し続けられる社会」を実現するのが目的です。

この一環として、専門家と読者が同じ目線でひとつのテーマについて対話する「ラウンドテーブル」を定期的に開催。

「婦人科&漢方の医療専門家」である医師・新見正則先生、薬剤師・笹森有起先生が登場する2回目は、更年期のメンタル症状を中心にトークします。

 

前編『「更年期って薬に頼らないと具合がよくならないんですか?」更年期の素朴な疑問に専門家がズバリ回答!』に続く後編です。

 

女性ホルモンの量と「更年期の抑うつ症状」は関係している!?

井一 前編では『上手にホルモン値ゼロの状態に自分を着地させること』という更年期のゴールを教えていただきました。私の勝手なイメージですが、めまいやホットフラッシュなど、更年期の症状が体に現れる人に比べて、気持ちの落ち込みやヒステリー、うつなど、心に現れる人の方が症状は重い気がします。

 

新見 心の落ち込みがあるときは「きっとダメだろう」「上手くいくわけがない」という思考が働くため、どんどん悪い方向に考えてしまい、なかなか気持ちが上向きにならず、悪循環に陥った結果、回復が遅れてしまいます。

 

井一 私がまさにそうで、若い頃からうつの傾向があるんですね。表向きは明るく話していても、後で「なんであの人はあんな嫌なことを言うんだろう」「あの人、私のこと嫌いなんだな」など、悪い妄想をしてしまって落ち込んじゃうんです。

 

力武 でも、最近の井一さん、とてもそんな風には見えないです。以前に増して晴れやかなオーラが出ていますよ。

 

井一 ほんと!? 実は、自分でもちょっと変わったなと感じていて。ホルモン補充療法を始めてから落ち込むことが減って、考え方も前向きになってきたんです。そういえば若い頃、年上の女性から「落ち込んだりヒステリーになったりするのは女性ホルモンが足りてないからだ」って言われたことを思い出しました。もしかすると、本当に若い頃から女性ホルモンが足りていなくて、ずっとうつっぽかったのかもしれません。

 

笹森 あと、テレビやネットなどで更年期の症状について紹介されると、それまで自分が更年期だと思っていなくても「もしかして更年期?」と思って心配になりますよね。自分の体を観察することは大切ですが、過度に心配せず、まずは症状の度合いに合わせて、生活や考え方で乗り切れるなら乗り切ってみる「レジリエンス能力」も必要だと思いますよ。

 

 

親世代から言われる「更年期は贅沢病」は、腹が立つけれどあながち間違いではない

前川 そういえば、母に更年期の相談をしたとき「そんなのは贅沢病だ」って言われました。

 

新見 それはそうですよ。前川さんのお母さんは戦時中や戦後すぐに生まれた世代ですよね。更年期とか言っている前に、生き抜くことに精一杯だったわけですから、更年期は実際に贅沢病だったでしょう。だって、いつなんどき爆弾が落ちてくるかもしれないのに「更年期で……」なんて言ってられないでしょ?

 

一同 それはそうですね。

 

新見 戦争を知る人たちが「更年期は贅沢病」と言うのは、ある意味その通りなんです。生きていくのが大変で、ちょっとのめまいや発汗くらいで体を休めたりできなかったんです。だから、この時代の人たちは強く、長生きする人が多いんだと思いますよ。

 

鈴木 更年期かも?と心配できるくらい、私たちは平和な暮らしをしているということですね。

 

新見 そうですね。更年期の心配ができるくらい生活に余裕があるのだと思います。不調なときは辛いと思いますが、多少は頑張ってみる強さも、生きる上では必要です。先ほど笹森先生が言った「レジリエンス能力」ですね。

 

力武 自分の人生で考えてみても、便利な現代よりも、不便なことが多かった昔のほうが、自力でなんとかしようとする思考や知恵は働いていた気がします。

 

新見 登校拒否の対策に例えると分かりやすいでしょう。学校へ行かなきゃと思いながら休み始めると、ずっと行けなくなります。一方で、学校へ行くこと自体をないことにすれば、登校拒否からは解放されます。ですが、人生には我慢する強さが必要です。それをすべて避けてしまったら、生きていくのが大変です。耐えられる程度なら、行ってみる勇気を持つことも必要です。

 

笹森 その一歩動く手助けを漢方薬やホルモン補充の薬がしているイメージです。更年期は加齢の一部ですので、薬は辛さを和らげ、助けるためのもので、治すものではない。

 

新見 運動や生活の見直しなど、自力で症状を軽くできるなら、薬に頼らず頑張ってみたほうがいい。でも、どうしても我慢できないときは、ホルモン補充療法などを利用すればいいと思います。

 

井一 更年期の対策はたった1つの正解があるものではなく、自分の状況と環境に応じてできることをいくつもするということですね。

 

鈴木 だとすると、自分にあうケア方法、あるいはサプリメントや漢方やお薬はどう探せばいいのでしょう?

 

新見 お金がそれほどかからないことならなんでもまず自分で試してみること。無料から、月3000円くらいが目安です。運動なんかはタダですから、いくらでもやればいい。それ以上にお金がかかるものは何であれエビデンスを重視してください。ちなみに、ぼくが普及している生薬フアイアはランダム化試験を勝ち抜くという確かなエビデンスを持っていますのでご安心ください(笑)

 

井一 ちなみに笹森先生は、注目の成分「エクオール」と「フアイア」両方を配合した画期的なサプリメント「エクオールバランスビューティ」をリリースしたんですよね。エクオールも医師に摂取推奨されることが多い成分ですが、なぜこの2つをキー成分に選んだのか、開発経緯もそのうち聞かせてください。

 

▶【前編】「更年期って薬に頼らないと具合がよくならないんですか?」更年期の素朴な疑問に専門家がズバリ回答!

■参加者のご紹介

新見正則先生

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する生薬、フアイアの普及も行う。最新刊は「フローチャートコロナ後遺症漢方薬」で、Amazonでベストセラーに。

笹森有起先生

pluskampo株式会社代表薬剤師。青森県出身。東北医科薬科大学を卒業し薬剤師免許を取得。調剤薬局での勤務を6年経験。薬剤師として働く中で漢方薬に出会い、自身の自然治癒力を最大限に引き出し、結果として症状が緩和する漢方薬の効果や考え方、哲学に感銘を受け、フリーランス薬剤師を経て起業。新見先生が普及する生薬フアイアと注目のエクオールを組み合わせた画期的なサプリメント「エクオールバランスビューティ」を開発。

 

 

鈴木里砂さん(52歳)夫、息子(高2)と都内在住。東京都からの受託事業運営とZIPARTISTのパラレルキャリア。趣味はおひとりさま活動、アクセサリー作り、美味しいお酒を飲むこと、車いすラグビーボランティア、神社巡り、ダイエット。

 

前川祐美子さん(55歳) 夫、長男(23歳)、ミニチュアダックスと都内在住。フリーランスのWEB編集者。趣味はクラシックバレエ、ヨガ。

(左)オトナサローネ編集部・井一美穂(51歳)(右)ライター・力武亜矢(51歳)
井一は45歳ごろから抑うつ、不眠など精神神経症状に相当深く長く苦しめられたものの、煎じの漢方で更年期前半を何とか乗り切った。51歳からHRTをスタートしたところ驚くほどに著効、人生が変わる勢い。同じ年齢の力武は性格の前向きさもあってかほぼ自覚症状がないままここまで過ごしてきた。

 

 

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