たい たい たい尽くしの世の中を金なし、親なし、家もなしの蔦重が駆け抜ける!彼の始動のきっかけはひとりの女郎の死
*TOP画像/重三郎(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」1話(1月5日放送)より(C)NHK
吉原で生まれ育ち、江戸のメディア王に成り上がった蔦重の人生を描いた、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第1話が1月5日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
<<この記事の前編「 “生粋の吉原っ子” 蔦屋重三郎ってどんな人?いつの時代も男たちは女遊びが好きだし、かわゆい女子の絵写真を手元に置いておきたい」燃え盛る吉原を颯爽と駆け抜ける蔦重。重三郎の生き方は令和の視聴者に何を語りかけるのか
今年度の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が幕を開けました。はげしい炎と舞い上がる火の粉の中を駆け抜ける蔦重こと、蔦屋重三郎(横浜流星)の吉原における冒頭シーンは迫力満点でしたね。このダイナミックなはじまりにこれから始まる本作への期待が高まった視聴者は多いのではないでしょうか。
吉原を燃やした明和の大火(めいわのたいか)といわれるこの火事はある無宿坊主が盗みを企て、目黒の寺に火を放ったのが原因でした。自分の利益のために多くの人の犠牲を省みない非情な事件です。この無宿坊主のように欲にまみれ、義理人情に欠ける人は江戸には少なくありません。
本作のナレーションにあるように、江戸時代は戦の火が燃え盛ることはないものの、偉くなりたい、楽したい、一旗揚げたい、儲けたいといった欲の業火が激しく燃えていました。その傍らで、重三郎はたい たい「たい」尽くしの世の中を誰かの幸せのために駆け抜けていきます。
重三郎は恵まれた生まれとはいいがたく、金なし、親なし、家もなしの男です。しかし、彼は社会をうらむことも、境遇を嘆くこともせず、自分が生まれ育った地でハツラツと懸命に生きています。
令和に生きる私たちの口癖も“~たい”かもしれませんね。彼の存在は現代人に欠けている粋な人情や勤勉さを思い出させてくれそうです。
いつの時代も、誰もが生き抜くのに必死 次ページ
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