「おひとりさまの国内旅」に飛騨が支持される理由って?

温泉あり、美味しいものあり、そして、文化の香りが漂う飛騨地方は、大人の女性の旅のディスティネーションにぴったり。

恋人や友人同士はもちろん、ひとり旅にもおすすめです。「美味しいものを食べて、のんびりしたい〜」と、今回、飛騨地方を訪ねることにしました。

さまざまな楽しみ方ができる飛騨エリアですが、今回は、私が実際に体験してきた、大人の女性におすすめのスポットを紹介します。

 

飛騨地方が4市村の総称って知ってました?

そもそも飛騨地方って、どのあたりを指すかご存知でしょうか。飛騨地方が位置するのは、岐阜県の県北。言わずもがなの飛騨市、隣接する高山市、日本三名泉のひとつを有する下呂(げろ)市、白川村の4市村を合わせて、飛騨地方と言います(と今回、私も初めて知りました)。

 

世界遺産にも指定されている「白川郷」や江戸時代の面影を残す「高山」の町並み、日本3名湯のひとつ「下呂温泉」、日本一高い場所に位置する鍾乳洞「飛騨大鍾乳洞」など観光名所には事欠きません。「飛騨牛」「高山ラーメン」「朴葉味噌」など食の名物もいっぱいです(胃袋がもっと欲しい!)。

 

その飛騨地方で、今ホットな場所といえば、なんといっても飛騨古川。社会的現象にもなった、アニメーション映画「君の名は。」の聖地巡礼の地として人気なんです。そんなわけで、私も飛騨古川に足を運ぶことに。

 

「君の名は。」のロケ地めぐりで、人気沸騰!

なるほど! 飛騨古川駅のホームや図書館、神社、屋根のあるバス停など、映画で見たのと同じ風景が、街のそこかしこに広がっています。これは、映画ファンは夢中になること間違いなしですね(笑)。なかには、「別にあの映画、それほど好きなわけじゃないし」なんて人もいるかと思いますが、実写映画のロケ地めぐりではなく、アニメーションと実物を見比べるのは、「あー、同じだ」「アニメーションってすごーい」といった感じで、なかなか楽しかったりもします。

 

そもそも、飛騨古川という街自体が素敵。川沿いの石造りの道や白壁土蔵街など、それこそ“絵になる”風景ばかり。江戸・明治時代から酒造(「蒲酒造場」「渡辺酒造店」)もあります。最近では、若い世代が手がけるおしゃれなカフェもオープンしていて見どころは盛りだくさんです。今回は時間がなく、数時間滞在しただけでしたが、機会があれば、宿泊してこの街を堪能したいなと後ろ髪をひかれながら街をあとにしました。

 

老舗料理旅館で薬草料理に舌鼓を

そんな飛騨古川で、ぜひとも立ち寄りたいのが、飛騨古川駅より徒歩圏内の料理旅館「蕪水亭」です。こちら、遠藤周作や池波正太郎も投宿した、古民家老舗料理旅館。全3室の客室にステイしてもいいですし、宿泊しなくても、ランチやディナーで、食事だけ楽しむこともできます。

 

「蕪水亭」の売りは、「薬草料理」(要予約)。意外に思われる方も多いかもしれませんが、実は飛騨市は薬草の宝庫。245種類もの薬草が自生しているのだそうです。現在、飛騨市では、この薬草を活用したまちづくりがすすめられていて、「NPO法人薬草で飛騨を元気にする会」も発足。「蕪水亭」の四代目ご主人の北平嗣二さんは会の理事長を務めていて、飛騨の薬草の普及に積極的に取り組んでいます。

今回、私は、「薬草ランチ」(2500円、税別)を利用。なんと、すべての料理に、なんらかのかたちで薬草が使われているんです。薬草料理って食べづらいんじゃないの? というイメージを一新させる食べやすく、それでいて、ちゃんと薬草の存在も感じられる料理に、心がほどけていきます。「メナモミ豆腐」、「鮪のびるかけ」、「春鱒ふきみそ朴葉焼き」など、味わい深く、そしてやさしい味付けのものばかり。

 

一見、薬草とは関係なさそうな「とまと煮」も薬草で出汁をとっていると聞き、驚きました。体にいいことをしてる! と実感しながら、おいしい食事がいただけます。ボリュームもたっぷりですよ~。

なお、「蕪水亭」では、飛騨産の薬草を使った「薬草茶作り」「葛の花玉づくり」などのワークショップも実施しています。こちらでさらに薬草の知識を深めるのもおすすめです。

蕪水亭
岐阜県飛騨市古川町向町3-8-1
tel. 0577-73-2531

 

名湯に身を委ねながら槍ヶ岳をのぞむ

宿泊は温泉旅館にしよう! ということで、宿泊先に選んだのは、奥飛騨温泉郷の「槍見舘」。清流・蒲田川沿いに佇む古民家造りの一軒宿です。名前のとおり、晴れた日には、“日本のマッターホルン”とも呼ばれる、槍ヶ岳がよく見えます。

 

客室は全15室。純和風の部屋だけではなく、ベッドを使用した、和モダンなお部屋も。好みやTPOにあわせて選択できるのがうれしいです。

 

肝心の温泉は、男女別内湯(各1)、混混浴露天2、貸切露天4、女性専用露天、足湯と、バリエーション豊か。槍ヶ岳をのぞむ、開放感抜群の「槍見の湯」は混浴ですが、湯浴みも用意されていますし、朝、女性専用となる時間帯もありますよ。温泉はすべて源泉かけ流しです。

 

お料理は「地産地消」がテーマ。季節ごとの地の食材を活かした料理を、炉端風の食事処でいただきます。

ハイライトとなるのは、飛騨牛を使った料理や奥飛騨の水で育った岩魚の炭火焼き。朝食時の自家製の朴葉味噌もご飯が止まらなくなる美味しさです。そうそう、そのご飯がまた美味しいんです。お米は数々のコンクールで賞を受賞している「奥飛騨新鮮村・和仁農園」のコシヒカリを使用。つい食べ過ぎてしまいそうですが、美味しいんだもの、仕方ない(笑)。

築200年の庄屋屋敷を移築した母屋では、毎朝、餅つきイベントを実施。私が伺った際も、外国人の方が楽しそうに参加していました。

 

槍見舘
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂
TEL.0578-89-2808

 

ロープーウェイに乗って、標高2156メートルの展望台へ

「槍見舘」は、「新穂高ロープウェイ」にも近いんです。雄大な自然をご所望なら、ぜひこちらにも立ち寄ってみましょう。「新穂高ロープウェイ」は、国内唯一の2階建てゴンドラ。第1ロープウェイ(約4分間)から、第2ロープウェイ(約7分間)に乗り継げば、あっという間に、標高2156メートルの展望台へ。

 

笠ヶ岳や穂高連峰、槍ヶ岳、焼岳、遠くには白山連峰など、北アルプス(飛騨山脈)のパノラマが堪能できます。山にそれほど興味がない私もこれは圧巻。勇壮な山の景観は本当に美しく、槍ヶ岳を目指す人の気持ちが少しわかるような!?  自然が織りなす勇壮な風景は見飽きることがありません。

 

冬には雪景色が、これからのシーズンは、山野草や高山植物の可憐な花々が出迎えてくれるはずです。紅葉も見事なはず。季節によって、多彩に雲上散歩が楽しめますよ。

 

新穂高ロープウェイ

 

さまざまな魅力を有する飛騨地方。東京からは少し距離がありますが、時間をかけていく価値あり、その不便さが旅情をかきたてるという意味合いもなきにしもあらず(笑)。今度は季節を変えて訪れたいと、早くも再訪を考えています。

個人的に気になっているのは、岐阜県飛騨市神岡町の「道の駅スカイドーム・神岡」併設の「ひだ宇宙科学館カミオカラボ」。

神岡町は、2002年に小柴昌俊博士、2015年に梶田隆章博士がノーベル物理学賞を受賞するに至ったニュートリノ研究のための地下実験施設がある街。それにあやかり、今年3月に、スーパーカミオカンデなどの世界先端の宇宙物理学研究を紹介する展示施設としてオープンしたのだとか。宇宙や素粒子について、楽しく学べる施設に立ち寄れば、旅がアカデミックに演出されることでしょう(笑)。

 

ひだ宇宙科学館カミオカラボ

写真:丹羽尚彦

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