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テトリスを3分プレイすると「食べたい衝動」が弱まる!?

「まさか、信じられない」と疑う声も聞こえてきそうですが、これは研究で確かめられていることです。食欲だけでなく、タバコやアルコールへの欲求も同じように弱まります。

 

脳の中で食べ物の映像が浮かぶことも食欲を招く原因

「あのお菓子が食べたくて仕方ない」。そんな「食べたい!」という頭の中のささやきが、たった3分のゲームで静まるかもしれません。

これは根性論でも気合いでもなく、脳の仕組みを利用した合理的なアプローチです。

夜中に冷蔵庫を開けてしまう。コンビニの前を通ったら、スイーツが頭から離れなくなる。そうした「食べたい!」という頭の中のささやきは、いったいどこから来るのでしょうか。

意志力が弱いからではありません。あれは脳の中で「映像」が再生されているせいなのです。

プリマス大学のスコルカ=ブラウンらは、心理学を専攻する学部生31名を対象に、1週間にわたって日常生活の中の欲求とテトリスの関係を追う実地研究を行いました。

参加者はiPodを携帯し、1日7回届くメッセージのたびに、そのとき感じている欲求の対象と強さを100点満点で報告します。

テトリスとはご存じの方も多いでしょうが、ブロックを回転させて落とし、横一列にそろったら崩れるという落ちものパズルゲームです。

 

テトリスが、脳が食べ物を思い浮かべるのを阻害してくれる

参加者はランダムに、報告のあとテトリスを3分間プレイする群15名と、報告だけを行う群16名に分けられました。

テトリスをプレイした群では、欲求の強さの推定平均が70.6点から57.6点へと、およそ13ポイント低下しました。効果量は中程度と評価されています。

この低下は、アルコールやニコチン、カフェインといった物質への欲求でも、飲食物への欲求でも、運動やゲームなどの活動への欲求でも同じように見られ、1週間を通じて弱まることはありませんでした。

ただし、欲求が消えてなくなるわけではありません。

低下したあとも欲求は中程度の水準で残りますし、実際にその欲求に手を出した割合は、テトリス群58%、報告のみの群56%で、統計的な差はありませんでした。

衝動が消えるというより、衝動の勢いを一時的にそぐ、と受け止めるのが正確です。

この背景にある考え方が「精緻化侵入理論」。食べたいという衝動は、頭の中に「食べているときの感覚的なイメージ」が浮かぶことで強化されていきます。

チョコレートの甘い香り、とろける食感、口に入れたときの満足感。そうした映像が脳内で繰り返されるほど、衝動はどんどん膨らんでいくのです。

ここでテトリスが登場します。テトリスのようなゲームは、頭の中で形や空間を操作するための作業スペースを使います。この作業台の広さには限りがあります。

ブロックを回転させたり積み上げる場所を判断したりするだけで、この作業台はあっという間にいっぱいになります。すると、食べ物の映像を再生する余裕がなくなるというわけです。

なお、その後の研究では、言葉を使う課題でも同じくらい欲求が弱まるという報告があり、形や空間を扱う作業スペースだけが鍵とは限らない可能性も指摘されています。

衝動を強化する「頭の中の映像」そのものが作られにくくなる、ということでもあります。食べたい衝動に「負けた」のではなく、「脳の構造のうえで、映像を止めるものがなかっただけ」。

対策は意志力を鍛えるのではなく、脳の作業台をテトリスなど別のもので埋めてしまえばいいのです。

 

【今日の1アクション】
食べたい衝動が来たら、テトリス系のアプリを3分間プレイしてみましょう。アプリがホーム画面にあれば、衝動が来たらすぐ使えます。

 

ここまでの記事では、1週間で30種類の植物性食品を摂るコツと、食べたい衝動を和らげる方法についてご紹介しました。とはいえ、続けることの難しさは誰にでもあります。つづく関連記事では、減量に成功して長く維持している人たちに共通する行動と、睡眠を延ばすだけで1日270kcalが自然に減るという研究についてお伝えします。
つづき>>1日270kcalが「自然に減る」⁉ 運動なしで「ジョギング30分」相当を消費する方法【明治大学教授×専門医が解説】

 

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■著者:堀田秀吾(ほった・しゅうご)
明治大学教授。言語学者(法言語学、心理言語学)。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了。2000年、立命館大学法学部助教授。2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年、同博士課程単位取得退学。2010年、明治大学法学部教授。司法分野におけるコミュニケーションについて、社会言語学、心理言語学、脳科学など多岐にわたる学術分野を駆使した研究を行う。研究以外の活動にも領域を広げており、企業の顧問や芸能事務所の監修、テレビやラジオでワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。著書に『科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)、『考えてはいけないことリスト』(フォレスト出版)、『疲れ切った人のための勉強法』(東洋経済新報社)などがあり、著書累計発行部数は177万部を突破している(2026年8月時点)。

■著者:木島豪(きじま・ごう)
1975年2月21日生まれ。医師(循環器内科専門)。東京都出身。東京医科大学病院での臨床研修を経て、高知・近森会近森病院、東京都健康長寿医療センター、東京医科大学病院八王子医療センターなどで研鑚を積む。東京都練馬区に「東京メディカルクリニック 平和台駅前院」を開設し、内科・循環器内科・皮膚科・小児科・美容医療を提供。「口から入るものが人を健康にする」という信念のもと、食・栄養・予防医療の力で医者いらずの世界を作ることを目指す医師兼ヘルスクリエイター。堀田秀吾氏との共著に『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。フジテレビ『ホンマでっか!?TV』をはじめ情報番組への出演、健康・美容・栄養分野における記事監修など、メディアでの発信活動も本格化。Instagram『ドクターGOの診療所』(@go7237)では、エビデンスに基づいた健康情報や予防医療を発信。無添加大豆プロテインやサプリメントの開発・販売も行う。公式LINE『ドクターGOラボ』では、美容・健康に関する有益情報を定期発信するほか、ドクターGO自身が開発・厳選した「本当に体にいいもの」を紹介。

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