「戦く」は「せんく」と読まない!みんなが読み間違えやすい日本語10選
オトナサローネで人気の「漢字記事」。
よく使うけど実は読み間違えやすい!単語10選を、一気にご紹介していきます。
是非参考にしてみてくださいね!
①出生届
「しゅっしょうとどけ」です。
「出生」を「しゅっせい」と読むことが完全に間違っているわけではありません。とはいえ本来は「しゅっしょうとどけ」と読むのが正しい読み方です。
「出生」の意味は、
1 うまれでること。人がうまれること。しゅっせい。
2 ある土地・境遇・家柄の生まれであること。引用元:小学館 デジタル大辞泉
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②目処
「めど」です。
「目指すところ、だいたいの見当」という意味合いがあります。
近い将来に決着、解決がつく見込み。予定。また、その期限
引用元:精選版 日本国語大辞典
という意味で紹介している辞書もあります。
またよく使われる言葉に「目処が付く」「目処が立つ」がありますが、「付く」「立つ」どちらを使っても意味は同じです。どちらも「実現などの見通しがつくこと」「将来への見通しがつくこと」を表します。
ちなみに「目処」と同じ意味合いの言葉に「目途」という漢字があります。これの読み方は分かりますか?「目途」は「もくと」と読みます。ただ、意味としては「目処」と一緒のため、辞書には
1 めあて。目的。
2 めど。引用元:小学館 デジタル大辞泉
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③出来
「しゅったい・しゅつらい」です。
事件が起こる、物事ができあがるなどの意味を示す場合には「しゅったい・しゅつらい」と読むのが正しい読み方です。
ですが、先で述べたように「いい出来」という例文の場合には、「出来」を「でき」と読むこともできます。ただし「でき」と読む場合には以下のような意味で使用します。
1 ものができること。できあがること。また、できあがったもの。
2 できあがった状態。できぐあい。できばえ。
3 みのり。収穫。
4 よくできていること。
5 「出来合い」の略。
6 「出来魚(できうお)」の略。
7 取引所で、売買が成立すること。
8 (接頭語的に用いて)にわかにできあがること、急に成り上がることなどの意を表す。引用元:小学館 デジタル大辞泉
「出来」という漢字を単体で見ると、思わず「でき」と読んでしまう人もいるのではないでしょうか。もちろん「出来」を「でき」と読む場合もありますが、実は他にも読み方があるんです。
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④造作
「ぞうさ」です。
「造作もなく事を運ぶ」などの例文においては、「造作」を「ぞうさ」と読みます。「造作ない」の読み方は「ぞうさない」。「造作ない」とは、手間がかからない、簡単 ・手軽であることを意味します。
しかし!
実は「ぞうさく」と読んでも問題ない場合があります。
「ぞうさく」と読む場合には、
1 つくること。こしらえること。
2 家を建てること。また、その家。
3 建築内部の仕上げ材・取り付け材の総称。鴨居(かもい)・敷居・長押(なげし)・天井・床・建具など。
4 顔の目や鼻のつくり。目鼻立ち。引用元:小学館 デジタル大辞泉
という意味になります。そのため「顔の造作が立派だ」など、「つくり」について「造作」が使われる例文においては「ぞうさく」と読んでも問題ありません。
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⑤戦く
「おののく」です。
「おののく」は平安初期から存在していた言葉です。「身震いする」という意味も持つ「戦」という言葉が中国から日本に伝わり、大和言葉として使われていた「おののく」に「戦」という字が当てられることになりました。
なお、「おののく」と同じような意味に「戦慄く(わななく)」があります。この2つの意味はほとんど一緒ですが、「わななく」の場合には、
1 恐怖・緊張・寒さなどのためにからだがふるえる
2 声や楽器の音などがふるえる
3 ちぢれる。そそける
4 動揺する。ざわざわと動く引用元:小学館 デジタル大辞泉
と恐怖・興奮・緊張・寒さ以外で生じる「ふるえ」も表します。「わななく」のほうが幅広い使い道がありますが、「おののく」のほうが一般的に使われている印象です。
また「恐れおののく」「震えおののく」といった表現もあります。「おののく」と意味はほぼ同じですが、恐怖や震えを強調することができます。
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⑥奇しくも
「くしくも」です。
「奇しくも」はその読み方だけでなく、使い方も間違われやすいです。
「奇しくも」を
- 悔しくも(くやしくも)
- 惜しくも(おしくも)
という意味で使っていることはありませんか?
「奇しくも」が表すのは、
- 偶然起こった出来事を不思議に思う様子
- 普通では考えられないことが起こり、それを不思議に思うさま
です。
一方で、「悔しくも」は
納得がいかないながらも他に選択肢がなく、そうするしかないさま
引用元:Weblio類語辞書
「惜しくも」は
惜しいことに
引用元:三省堂 大辞林 第三版
と全く違う意味となります。
中には、「奇しくも」を「皮肉にも」といった意味合いで使っている人もいるようです。
「皮肉にも」という言葉は、
物事が思っていたのとは違って悪い結果になるさま
引用元:Weblio類語辞書
を表し、これまた「奇しくも」とは全く違う意味の言葉になります。
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⑦徐に
「おもむろに」です。
「おもむろに」と聞いたとき、“落ち着いて、ゆっくりと行動するさま”という意味がピンと来なかった人もいるのではないでしょうか。「徐に立ち上がる」「徐に口を開く」と聞いて、「不意に立ち上がる」「不意に口を開く」という動作を想像した人も少なくないでしょう。
平成26年度に文化庁が発表した「国語に関する世論調査」によると、「おもむろに」の本来の意味ではない「不意に」という意味で使う人が40.8%に及んでいます。一方、「ゆっくりと」という本来の意味で使う人は44.5%です。
「徐に立ち上がる」「徐に口を開く」という表現があったら、「ゆっくりと立ち上がる」「ゆっくりと口を開く」動作を想像しましょう。
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⑧八百万
「やおよろず」です。
「八百万神(やおよろずのかみ)」という言葉を聞いたことはありませんか?このときの「八百万」という数は「はっぴゃくまん」という数値ではなく、「数多くの」という意味を表します。この言葉がはじめて登場したのは、日本に現存する最古の歴史書『古事記』と言われています。
また類似した言葉に、
- 八十神(やそがみ)
- 八十万神(やそよろずのかみ)
- 千万神(ちよろずのかみ)
があります。
これら「八十」「八十万」「千万」が示すものも数値ではありません。これらも同じ「数多くの」という意味合いで使われます。
「八十」「八十万」「八百万」など、「八」という数字が「数多く」を示す理由は諸説ありますが、古代の日本において「八」という数字は「聖数」、象徴的な意味や神聖な意味をもつ数字として扱われていたという説があります。数が大きいことを漠然と示すのに使われていた数字のようです。
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⑨一段落
「いちだんらく」です。
とはいえ、話し言葉では「ひとだんらく」という読み方をよく耳にするのも事実です。辞書によっては「一段落」の項目に以下のような解説が記されていることも。
「ひとだんらく」と読むのは誤りだが、話し言葉では使われることも多い。
引用元:小学館 デジタル大辞泉
正式ではないものの一般に広く普及した読み方のことを「慣用読み」といいます。「一段落」も「慣用読み」される代表的な漢字のひとつ。なお「いち」ではなく「ひと」という読み方が普及した理由は「一」を「ひと」と読む漢字が多数あり、類義語の「一区切り」が「ひとくぎり」と読まれるため、混同したのではないかという説があります。
なお「正式読み」も「慣用読み」も、読み方として間違いではありません。「一段落」を「いちだんらく」と読んでも「ひとだんらく」と読んでも間違いではないのです。
- ひとだんらく=慣用読み
- いちだんらく=正式読み
を覚えておけば、漢字に関する知識が広がりますよ。
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⑩早急
「さっきゅう」です。
ただ、正式には「さっきゅう」と読むことになっているとはいえ、「そうきゅう」と読む人が増えたことで、「そうきゅう」が掲載されている辞書も増えてきました。
なおマイナビが実施したアンケート(期間は2013年〜2014年、男女300名)によると、「早急」を「さっきゅう」と読む人と「そうきゅう」と読む人の割合は以下のようになりました。
- 「さっきゅう」 27.7%
- 「そうきゅう」 72.3%
「そうきゅう」は代表的な「慣用読み」のひとつです。「慣用読み」とは、
慣用音(日本で広く使われている漢字音)を用いた読み方。
引用元:小学館 デジタル大辞泉
のこと。最初は誤読とされていた読み方でも、時代の変化とともに浸透していくと「慣用読み」として定着することがあるようです。
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いかがでしたか?
これからの漢字記事もお楽しみに!
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