パンをやめたら夫婦関係まで改善?「グルテンフリー」のすごいメリット|50歳までにやめること

オトナサローネの読者のみなさん、こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。

私は、幼い頃から病気で苦しむ母親の姿をみて、人生を思う存分に謳歌する為には、健康な心身を維持することが不可欠だと痛感し、医師人生を通して日常でできるヘルスケアを啓蒙するようになりました。

この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。

 

さて、「グルテンフリー」というワードが、何となく耳に入ってくる今日この頃。何となく、「ヘルシー」っぽいけど、実際のところはよく分からないというのが本音ではないでしょうか。

でも実は、万人に関係があるので、今回はやや痛い耳を無理やりかっぽじらせて頂きますね。

ついでに、パートナーとのコミュニケーション回復にも!?

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#4】

 

あなたは朝食、ごはん派?パン派?

これについては意見が分かれるところでしょうが、実は、二人以上の世帯では、ミレニアムの始まりである2000年からお米への支出は急降下していき、2010年頃には、パンへの支出ととんとんになり、2014年にはついに、パンがお米を抜いてしまったようです。

 

ご飯を炊くよりも、そのまま食べられるパンはお手軽ですし、家で作らずに外でモーニングするなら、必然的にカフェでパンやサンドイッチとなってしまいますよね。

 

こだわりの高級食パン店の感動的な食パンは、是非とも、あちこち食べ比べてみたいですし、パスタやうどんなどの麺類、粉物と、お米以外の主食のチョイスはたくさんあります。

 

「日本人たるもの、お米でしょ」なんて、今や昔。
何なら、1日のうちに全く米粒を拝まない方もおられるかも知れませんね。

 

無類の小麦粉ラバーには、耳が痛いお話かも知れませんが、小麦粉に含まれるタンパク質「グルテン」
これが、美と健康に悪いのよ!という話から、グルテン含む小麦粉などの麦類を控える食事法が「グルテンフリー」です

「そんなの無理!」との叫び声があちこちから聞こえてきそうですが、もう少し、お聞き下さいましね。

グルテンフリーで夫婦の関係も改善!?

我が家の話で恐縮ですが、うちの夫は無類の小麦粉ラバー。ご飯を食べた後に、クッキーやフィナンシェを爆食いしておりました。
当然におデブ化していきましたし、湿疹や蕁麻疹は慢性的。イライラしたり、ぼーっとしたり、どうも落ち着かない様子だったのです。

ある日、突然決意して、グルテンをやめました。

すると、まず食欲が落ち着いて、体重がスルスル落ちていきました。皮膚の症状も消え、さらには、心が安定し、頭がシャープになり、起きている時間は常にキレッキレ!仕事もはかどり、夫婦の会話も増えたという訳です。

グルテンは脳内で麻薬になる

炭水化物・糖質が、腸内でカンジダ菌を増やして中毒を起こすことをお伝えしました。

それに加えて、グルテンは、麻薬のような陶酔感をもたらして、更なる依存症を引き起こすメカニズムが解明されています。

腸の中で、グルテンから作られる「グリアドモルフィン」という物質。難しい名前を覚える必要は全くありませんが、「〜モルフィン」と名前が付いているだけあって、麻薬の一種「モルヒネ」と同じ構造を持ち、脳内で麻薬作用を発揮します。

これが、小腸から分泌される「DPP4」という酵素によってアミノ酸にまで消化されて吸収されると問題ないのですが、「DPP4」はグリアドモルフィン 自体によって阻害されやすく、消化が不十分になると、そのまま腸から吸収されてしまいます。

腸から吸収されると脳にスルリと入りこみ、モルヒネの作用する受容体をツンツンと刺激します。

小麦粉を食べた後に、強い眠気を感じたり、ぼーっとしたり、イライラ・そわそわしたりするなら、既に脳内は侵されているかも知れません。

もっと食べたい!という渇望感も生まれますので、食べ過ぎを招いてなかなかダイエットもできません。

実は、「発達障害」と疑われてしまうお子さんの中には、実はただ小麦粉製品の与え過ぎで、グルテンが悪さしているだけというケースもあります。
食事を変えるだけで驚くほど落ち着きます。

夫はもはや放置したい方もおられるかも知れませんが、こちらは見過ごせませんね。

アメリカのグレートプレインズ研究所ウィリアム・ショー博士は、この分野の権威で、発達障害の子どもに対して、尿中のグリアドモルフィンを測定する検査を行っています。
日本でも、「バイオロジカル検査」を扱うクリニックでは、この検査を受けることができます。
残念ながら、日本の一般医学ではここまでのメカニズムは知られていない為に、保険診療のみを扱う病院では受けることはできません。

参考:
※Autism and Schizophrenia: Intestinal Disorders. Nutr Neurosci. 2000;3(1):57-72.
※Intestinal pathophysiology in autism.Exp Biol Med (Maywood).228(6),p639-649(2003)
※Immune response to dietary proteins, gliadin and cerebellar peptides in children with autism.
Nutr Neurosci 7(3),p151-161(2004)
※Can the pathophysiology of autism be explained by the nature of the discovered urine peptides?
Nutr Neurosci 6(1),p19-28(2003)

腸を傷つけて老化や不調の原因に

さらに、グルテンは、美と健康にとって重要と名高い腸を傷つけます

腸が傷ついて炎症を起こすと、下痢やお腹の張りなどの消化器症状を起こしたり、全身では、体のサビつきを促進して老化の原因になります。

全身のアレルギー症状や体のダルさや重さ、頭痛、関節の痛みなど「原因不明」とされる不調を引き起こす可能性があります。

万人に症状が出るわけではなく、消化力や腸内環境によっても個人差が生まれる可能性があります。
最近では、腸内フローラのうちビフィズス菌ロンガム種やビフィズス菌ビフィダム種がグリアドモルフィン の消化を助けることも報告されています。

参考
※Degradation of food-derived opioid peptides by bifidobacteria. Benef Microbes. 2018 Jun 15;9(4):675-682.

品種改良で高グルテンに消化する裏技は

「小麦なんて、古代から食べているし、主食であるアメリカ、ヨーロッパではどうなんだ!?」
という声も聞こえてきそうです。

実は、古代小麦であるスペルト小麦は、グルテン<0.1%。
弾性と粘性を追求した品種改良の結果として、現在の小麦は、グルテン~25%。
つまり、品種改良の結果として、近年になって高グルテンになったという訳です。

最近では、スペルト小麦を使ったパンやパスタも販売されています。

また、裏技として、本国アメリカでは、グリアドモルフィン を消化する酵素「DPP4」もスーパーで一般販売されています。
輸入販売もされていますし、バイオロジカル検査を行う一部のクリニックでは、販売していますので、日本でも入手は可能。
アミノ酸にまで消化してしまえば、何の害もありませんので、美味しすぎる小麦を健康的に食べる対応策として消化酵素を補うのも一考です。

試しにグルテンオフのすゝめ

小麦粉製品を食べても健康な方に、あえて実践せよ、とは申しません。
パンもうどんも粉物も、立派な文化としての食事や人生の楽しみという意味もありますので、ストイックにゼロにというのも酷です。

ただし、もし何かしら不調を感じているならば、試しにグルテンを控えてみては如何でしょうか。
もちろん、しっかりと検査をした上で実践なさりたい方は、「バイオロジカル検査」で検索の上、検査可能なクリニックにご相談下さい。
最新の栄養学に精通した医師が、しっかりと納得する形で検査を踏まえた指導をして下さるでしょう。

揚げ物の衣や食品のつなぎなどにも使われているので、完全にゼロは難しいものですが、まずは、主食をお米にするだけでも、ゆるっとグルテンオフできます。

最近では、米粉やトウモロコシ粉などを使ったグルテンフリーのパンやパスタ、中華麺などの乾麺、お菓子なども、少々こだわったスーパーや自然食品店に並んでいます。

以前は、小麦粉製品との味の格差は甚大でしたが、最近では、これらの代替食品のレベルも上がり、健康よりも味重視な男性も騙されてくれるレベルになっていますから。

案外、ノンストレスで実践できることと思いますよ。

 

■編集部より/11月10日 より正確に内容が伝わるように、詳しい参考文献を追記致します。

 

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】

文/内科医・認定産業医 桐村里紗

tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。

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