【岩井志麻子】ホレるには肩書きは重要? 事件から考える「男と女の本音」の話

2020.02.18 LOVE

去年の夏、うちの近所で結構な事件が起きた。ガールズバー勤めの女性が、指名しているホストを明確な殺意を持って刺してしまったのだ。
好きすぎて刺した、という動機もさることながら、事件現場の凄惨な画像が拡散されたり、幸いにも助かったホストがすぐ職場に復帰したり、刺激的な続報もいろいろと出た。

 

ホストになる前に、出会っていたら?

このホストはちょっと前まで、栃木の鉄筋工だったそうだ。あ~、彼女もそんとき出会っていればね、と一瞬思ってしまった。だって普通に交際したい、いずれ結婚もしたいなら、歌舞伎町のホストより栃木の鉄筋工の方が確実よね。お金もかからないし。

だけど彼女は、汗水たらして妻や子のために働く実直な栃木の鉄筋工は嫌なのだ。萌えないのだ。疑似恋愛を商売にし、多くの女性に愛想と色気を振りまき、歌舞伎町の夜の街で妖しく輝く危険な匂いのするホストが好きで萌え萌えだったのだ。

だから、栃木の鉄筋工という肩書の彼に出会って優しくしてもらい、誠実にプロポーズされていたとしても、彼女の心は動かなかっただろうね。

 

ブサでも嘘でも「アイドル」

世間一般的には、肩書好き、肩書重視っていうと、先生とか社長とか博士とか、そういうのをむやみにありがたがる一派となっているが、彼女みたいなのもいる。

美人の女子大生やOLと、ややブサだけど地下アイドルやってる子がいれば、後者を選ぶ男も少なくないんだわ。美人でも普通の人より、ブサでも嘘でもアイドル!って。

ただの無職ヒモを養ってる健気な女達にも、彼はバンドマンだの役者だのいってるのがいっぱいいる。それ肩書き詐称じゃないか、と部外者は思うんだけど。彼女らも、彼らに堂々と肩書はヒモといわれるのは嫌っていうか、追い出すよね、それだと。

 

もし、肩書きがなくなったら

そういや私も、物好きなファンやマニアがついてくださっているんだけど、「作家、タレントの肩書がなくなって、ただの岡山のオバサンになったら誰も来ない」みたいないい方をされるときもある。ただの岡山のオバサンて肩書きでも、モテる素敵な女性は岡山にいっぱいいるけど。まぁ、その意見も正しいよ。

だけどこの私が仕事やめて本当にただのオバサンになっても、絶対にただのオパサンではいられないでしょ。ただのオパサンを名乗る、ただのオバサンではない人になるよ。

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この記事は
作家 岩井志麻子

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