
確定申告期限が4月16日に延期!「医療費控除」すると損する人とは?
コロナで日常生活に様々な影響が出ていますが、よかったと思えるのが確定申告の期限が2020年4月16日(木)に延長されたことです。
せっかく期限が延びたので、ほったらかしにしている医療費控除を確認してみませんか?
「申告会場への交通費」を考えたら損する人も?
「10万円以上医療費がかかったら還付を受けられますよ」。
そう聞いて、期待に胸躍らせて確定申告。10万円超えた分が全額戻ってくる!と誤解している人もいますが、申告して還付を受けてみて「これだけ?」と愕然とする人もいます。
毎年2月に医療費を申告したほうがいいということは知られてきましたが、どのように計算するのか、いくら戻ってくるのかはまだまだ知られていません。また、戻ってくる還付金の額面そのもの以外にも、副次的に出てくる効果があります。
そもそも、「医療費控除」って何?
税金は1年分の収入をもとに毎年算出されます。1月1日から12月31日までの収入から一定額を差し引くのが給与所得控除。決まった計算があります。そこから様々な控除を差し引いた額が税金の対象になる「課税所得」です。
この「課税所得」が低ければ低いほど税金が少なくなるので、低くするネタ=控除はなるべくたくさん使います。生命保険、iDeCo、ふるさと納税などの寄付金がよく知られており、医療費控除はこれら控除項目のひとつです。
医療費の10万円を超えた金額を課税所得から差し引くことができます。(総所得200万円未満の人は総所得金額等×5%)
医療費控除の対象、交通費も入れてOK!
医療費控除の基本は、病院の領収書。集計して10万円超えるかを計算しますが、それ以外に対象になるものとならないものがあります。
●申告を忘れがち、だけど控除対象になるもの
・病院で処方してもらった薬代
・ドラッグストアで買った市販の薬
・病院への公共交通機関の往復交通費 ←忘れがち!注意!
・治療目的の歯科矯正費用
・在宅介護で使うオムツ代など
・骨折などの矯正装具代
●これも控除対象になりそう…でもならないもの
・定期健康診断や人間ドッグ費用 ※病気が見つかったら控除対象になります。
・病院まで自家用車で行った場合のガソリン代・高速料金・駐車料金
・栄養ドリンクやサプリ代
・自分の希望で個室にしてもらった場合の差額ベッド代
・予防接種の費用
間違いやすいものも多く、もれやすいのが交通費です。定期的に通院している場合交通費を通算すると意外と費用がかかっているのでもれなく申告しましょう。
なお、入院・手術に伴い保険金を受け取った場合、その金額はかかった医療費の総額から差し引く必要があります。例えば30万円の医療費を支払った後、保険金を20万円もらった場合、差額は10万円となり、医療費控除の対象額がゼロとなります。
どれくらいお金が戻ってくるの?節税効果も大きい!
課税所得が195万円の事務員A子さんと、
課税所得が300万円の大手企業営業B子さんが、
30万円の医療費対象になるケースで計算してみます。5%、10%の根拠はあとから説明します。(※課税所得は家族構成や他の控除の有無により同じ年収でも異なります)
・課税所得195万円A子さん
(30万円-10万円)×5%=10000円 確定申告して戻ってくる所得税は10000円です。
・課税所得450万円B子さん
(30万円-10万円)×10%=20000円 確定申告して戻ってくる所得税は20000円です。
所得税は累進課税制度といいって、所得が多いほど税率が高くなる仕組みのため、同じ医療費控除額でも戻ってくる所得税は所得税率が高い人ほど多くなります。
たとえば、高給取りで課税所得が1800万円なら、税率40%なので8万円還付となります。
言い換えると、税率5%の人が11万円分の医療費控除対象だった場合、10万円を超えた1万円×5%で500円しか還付されないことになります。遠くの税務署まで提出に行くならば、往復の交通費も考えたほうがいいかもしれません。
しかし、確定申告で戻ってくる所得税の他に、翌年度6月から請求される住民税が、控除される金額の一律10%安くなります。
A子さんもB子さんも20万円×10%=2万円の住民税が軽減されます。
住民税は、給与天引きでなんとなく引かれている人が多いため効果を実際感じないかもしれませんね。
わかりやすく考えるのであれば、下の税率に住民税10%をプラスします。
以下自分の税率をXとして
(医療費総額-10万円)×(X+10%)=控除の効果額となります。
【所得税率】
課税所得195万円以下…5%
課税所得195万円を超、330万円以下…10%
課税所得330万円を超、695万円以下…20%
でも確定申告って難しいんでしょう?
テレビショッピングのようなセリフになりましたが、実際医療費控除の確定申告は難しくありません。自宅でネット入力してプリントアウトし、税務署に書類一式を送るだけです。
用意するものは、2種類のみ。
・源泉徴収票
・医療費領収書です。
●ステップ1
医療費領収書はただ添付するだけではNG。医療費控除用のフォームは「医療費控除明細書 国税庁」と検索すると出てきますがこちらを使わなくても、自宅にあるレポート用紙に必要事項が記載されていればOKです。
・誰が
・どこの医療機関に
・いくら支払ったか
・それに伴い受け取った保険金があればいくらか
交通費も別段に記入して1年分、家族がいれば他の家族の分も合算可能です。配偶者の年収の方が高く税率が高い場合、同じ控除額でも配偶者で医療費控除を受けた方が税金の還付額が多くなることもあるので、夫婦どちらで申告するかしっかり確認しましょう。
●ステップ2
インターネットで確定申告作成コーナーを検索し、自分のしたい申告を選択。指示どおりに源泉徴収票の内容、医療費控除の金額を入力。還付金の振込先やマイナンバー等を入力し印刷指示を出すと確定申告の用紙、控え、自分の住まい管轄の税務署の宛名ラベルも打ち出されます。印刷された必要書類を自宅にある封筒に宛名ラベルを張って郵送すると、不備が泣ければ数カ月後に還付金のお知らせが送付され振り込まれます。
確定申告に行くと税務署担当者さんが丁寧に教えてくださいますが、時節がら人の多いところに外出は避けたいものです。やってみると意外と簡単なので自宅でトライしてみましょう。
■まとめ
年度末仕事も忙しくあまり戻ってこない医療費控除は放置している人も多いようです。住民税の軽減効果も考えるとしておいたほうがいいと感じていただけたでしょうか?
2月17日から確定申告が始まっており、コロナの影響で2019年度の締め切りは2020年4月16日に延長されました。医療費が10万円以上かかっていたら面倒がらずに確定申告しましょう。
稲村優貴子
ファイナンシャルプランナー(CFP🄬)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。
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