「新型コロナ」医師が勧める正しい対策とは?
オトナサローネの読者のみなさん、こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。
この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。
終息の気配を見せない新型コロナウイルスの猛威。巷の噂に惑わされず、怖がり過ぎずに正しく対策するには?
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#15】
クルーズ船での感染拡大の理由は?
世界的な拡がりをみせる新型コロナウイルス。
死者が1000人、感染者が4万人を超えるものの、日本ではまだ「パンデミック」と呼ばれるほどの拡大はない状況です。
一方で、クルーズ船での集団感染の報道は、少しセンセーショナルに伝えられています。
「そんなにうつりやすいの!?」と怖くなるかも知れません。
でも、実は、新型コロナウイルスは、標準的な感染対策をとれば十分に防ぐことができるとされています。
それにも関わらず、なぜ拡大したのでしょう。
クルーズ船では、ウイルスを保持しながらも症状が出ない潜伏期間中の人が、船という密室で、不特定多数の人と食事を共にするなど濃厚接触したことで拡大したと考察されています。
症状がなくても、感染対策は必要という教訓と考え、むやみに怖がらずに対策をすることです。
情報も氾濫し、一体何が正しいの!?と混乱している人も多いと思いますので、ちょっと整理してみましょう。
手作りマスクで感染は防げる?
感染防御の基本の1つ目は、マスクですが、世界的なマスク不足から、マスクを買えない人が続出。
中国の様子を伝える報道では、顔にペットボトルを被っている人までいるようで、奇想天外な発想に驚きます。
国内では、ガーゼを使って手縫いするものから、キッチンペーパーを使うものまで、手作りマスクを紹介する記事が拡散されていますね。
まず、ウイルスを防ぐ効果は、ある程度あります。
新型コロナウイルスは、感染者から飛んでくる唾液などの液体に包まれた状態で飛散する「飛沫感染」か、手などに付着したものを口に運ぶ「接触感染」と考えられています。
そのため、マスクに使われる布や紙などをウイルスが単体で通過することは難しいと考えられます。
ただし、使い捨てが原則です。
一度使ったマスクには、表面にウイルスが付着している可能性があるので、使い回しはNGと考えて下さい。
手洗いのタイミングはいつ?
感染防御の基本、手洗いについてです。
マスクをしていても感染する例があったように、手に付着したウイルスを口に運んでしまったら意味がありません。
手は、いつ洗うべきなのか。
公共の場で、人が触る可能性があるところに触れた場合は必須です。
ドアノブ、エレベーターのボタン、手すり、つり革、デスク、コピー機、自販機のボタンなどすべてです。
そして、その手を使って、スマホやパソコンを操作すれば、そこにも付着します。
新型コロナウイルスは、付着してから、48時間程度は感染力を持ち続けるとされています。
その手で口を触れば、それでウイルスが口に入ることになります。
その防御のためにも、マスク。
そして、食事の前、おやつの前には必ず手洗いをすることです。
日常よりも入念に、手洗いの方法は?
日常的な手洗いでは、手に付着している菌やウイルスを十分に落とすことができません。
特にちゃちゃっと水で手を濡らす程度では、効果がないばかりか、むしろ手全体に菌やウイルスを拡大する場合もあります。
厚生労働省が勧める方法は、以下。
- 流水で手を濡らし、石鹸をつける
- 手のひらをよくこすり合せる
- 手の甲を伸ばすようにこする
- 指先、爪の間を念入りにこする
- 指の間を洗う
- 親指と手の平をねじり洗いする
- 手首も忘れずに洗う
これが終わったら、清潔なタオルやペーパータオルで拭き、よく乾かすこと。
タオルの使い回しは、ウイルスを媒介する可能性があるのでNGです。
アルコール消毒剤を使う場合も、同じ要領で使います。
長いネイルは不潔になりやすい
ウイルスが一番付着しやすいのは、爪と指の間です。
爪が長い方が、当然ここに見えない汚れもたまりやすく、ウイルスが付着しやすくなります。
長い爪にウイルスが付着した状態で、おにぎりを握ったり、生野菜を調理したりすることがないように、ネイルを控えてみるのも安全策の一つです。
手は常にしっとりさせる
一方で、手洗いのし過ぎは、手を病原菌やウイルスから守る働きがある角質や常在菌の働きを弱めてしまう側面もあります。
普段は、むしろあまり熱心に洗い過ぎない方を推奨したいのですが、感染症が拡大している時期は感染予防の方が優先度が高くなります。
手が乾燥して角質が剥がれた状態だと、ウイルスが付着しやすくなりますので、手洗いの後はハンドクリームを必ず塗って、肌の潤いを保つことが重要です。
潤いを保つことで、皮膚の常在菌のバランスも整います。
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文/内科医・認定産業医 桐村里紗
tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。
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