ストレスを限界まで貯めて折れる前に。医師が教えるシンプルな心のほぐし方
こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。
この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。
最近、ちゃんと泣いていますか?「泣く」を自分に許可することで、心がす〜っと楽になります。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#25】
コロナ生活も1ヶ月。もうみんなのストレスは限界
新型コロナウイルスとの生活が続く中、誰もが知る有名人の訃報や経済的な不況のニュースが連日飛び込んできます。
一人きりになる時間が激減し、家事も仕事も思うように進まず、自分のリズムも乱されがちになると、ストレスもマックスに。
普段は穏やかであった知人が、どうしようもなく蓄積したストレスをSNSの投稿によって発散するようになったり、ストレス度が高まっているように感じます。
そもそも、大人たちは感情が麻痺しているんです
こんな時、子どもならどうするでしょう。
まず、ぐずる。泣く。
単純です。
でも、大人は、簡単に泣けません。
辛くても、我慢することが日常的になると、そのうち、自分が辛いのかどうかも分からなくなり、我慢していることすら感じられなくなってしまいます。
何とな〜くモヤモヤしたり、ストレスがかかっていたりすることはぼんやりと認識ができても、その感情が言語化できず、認識ができないほどに、麻痺してしまいます。
肩こり、頭痛…その不調は感情が身体に現れているのかも
麻痺しているものの、その感情は自分の奥底で生まれています。
喜怒哀楽の感情は全て、アウトプットする、つまり、表現することが健康的な状態です。
怒りや悲しみはもちろん、喜びだって我慢して表現できないと、身体にとってはストレスになります。
自分の奥底に生まれた感情が上手く表現できないと、代わりに筋肉が緊張して、肩こりや頭痛、倦怠感などの体の不調として表現されることもあります。
どうして調子が悪いのか、その原因は、ストレスによって無意識に蓄積した感情かも知れません。
ネガティブな感情をしっかりと表現する
特に、怒りや悲しみ、不安などのネガティブな感情は、出しちゃダメだ!と思い込み、長年表現しない習慣が身につきがちです。
大人なのだから、我慢しなくちゃ、とか。
弱い自分はダメだ、強くいなくちゃ、とか。
本当は、怒ったり泣いたりしなければならないシーンでも、我慢し続けることで、だんだん感じる力が鈍り、表現もできず、体と心のストレスになってしまいます。
ですから、怒りたい時には、しっかり怒る。
泣きたい時には、しっかり泣く。
子どものように表現できる人の方が、自分にとっては健康的です。
もう一度自分に「感情表現を許可」してみて
気づかずに蓄積し続けているネガティブな感情をアウトプットすることは、ストレスリリースにとってとても大切です。
ブロックしている怒りや悲しみをまずは、認めること。
そして、ブロックを外して、怒ったり、泣いたりすることを自分に許可することです。
「怒っても大丈夫」「泣いても大丈夫」
これが、魔法の呪文です。
貯めてしまった感情を「外に出す」には身体も重要
人に怒りをなかなかぶつけられない場合は、一人で大声を出しても構いません。
とにかく、アウトプットが大切です。
涙がなかなか出ない場合は、凝り固まった筋肉をほぐすことが大切です。
筋肉をほぐすことで、脳の感情を保管している領域に刺激が送られて、感情を認識してアウトプットしやすくなります。
私の場合は、肩甲骨裏の凝った筋肉をトントンすると、不思議と涙が出てくることがあります。
緊張と共に責任感や不安感がここに蓄積していることを普段は認識できないのですが、涙を流してようやく気づくことができます。
ただし、例外も。「子どもの前」では気をつけて
お子さんがいらっしゃる場合は、ぜひ、お子さんの前ではやめておきましょう。
ただでさえ社会が不安定な状況で、子どもは不安になりがちです。
母親の怒りや涙は、敏感な子どもを不安にさせますし、子どもは母親が起こっているのは、悲しいのは、自分のせいだと思い込みやすいのです。
巻き込むなら、ご主人を。
運命共同体として、自分の怒りや悲しみも共有してこそ、持続可能な夫婦関係になります。
我慢していては長続きしませんので、これを機に、膿は出し切ることです。
きっと、コロナ危機を経て、新たな夫婦関係にシフトできると思います。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】
文/内科医・認定産業医 桐村里紗
tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。
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