なぜ、女性管理職は増えない? 【キャリア女性の本音】を聞いてみた

2020.08.24 WORK

「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする」。政府が女性活躍推進のひとつとして掲げていたこの数値目標を断念し、達成期限を先送りすることがわかりました。

なぜ、17年間もかけて取り組んできたのに、日本において女性管理職は増えないのでしょうか? OTONA SALONE編集部は「女性リーダ、女性管理職」について、働く女性たちの本音トーク・ディスカッションを実施しました。

 

政府が断念!「202030」目標

内閣府の男女共同参画推進本部は2003年、「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標を掲げました。

指導的地位とは、このように定義されています。
①議会議員
②法人・団体等における課長相当職以上の者
③専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者

この目標は、1990年に国連経済社会理事会で女性の地位向上のために採択された「ナイロビ将来戦略勧告」において提示された30%の目標数値や諸外国の状況を踏まえて設定されました。

この目標は「202030(2020年30%)」と略され、女性活躍推進のキーワードとなっていました。

 

管理職に占める女性の割合は12.9%と低水準

※労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2019」より作成

しかし、実際の数値は目標の30%からはほど遠く、日本では、依然として管理職に占める女性の割合は低い水準が続いています。
「国際労働比較2019」によれば、日本の就業者全体に占める女性の割合は44.2%と、欧米諸国にくらべてそれほど低いわけではありません。

それに対し、管理職の女性の割合はたった14.9%。
アメリカ40.7%、オーストラリア38.7%、スウェーデン38.6%、イギリス36.3%、フランス34.5%などの欧米諸国のほか、フィリピン52.7%、シンガポール36.4%、マレーシア20.3%などのアジア諸国と比べても低い水準にとどまっているのです。

 

女性リーダーが少ないことが順位に影響

世界経済フォーラムが2019年12月に発表した、世界各国の「男女間格差」を比較した「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数(GGGI)」で、日本は153カ国中121位と、過去最低の順位を記録しました。

報告書によると、日本は「他の先進国よりもはるかに男女間格差が大きく、もっとも深刻で、この1年間でさらに拡大した」と評価されました。

「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの項目があり、日本は国会議員や閣僚、企業の管理職など重要な役職に就いている女性の比率が低いことが、順位に影響したとされています。

 

なぜ女性管理職が増えないの?

女性管理職が増えない要因はどんなものがあるのでしょうか? OTONA SALONE編集部は、働く女性たちの本音トーク・ディスカッションを実施しました。現在、管理職の女性と、将来の管理職をめざす30~40代の女性たちにBaluko Laundry Place代々木上原へ集まっていただきました。

その中で、寄せられた声をご紹介します(※最後にアンケートがありますので、みなさんの声をお聞かせください)

 

1 管理職=ネガティブイメージが強い

「管理職をめざそうと思っている女性がそもそも少ない。管理職になると忙しく、長時間労働というイメージが強いので、なりたがらないのでは」(サービス業)

 

「中間管理職は、長時間労働・責任が重い・上司と部下との板挟みなど複雑な人間関係など、肉体的にも精神的にもつらいと思われている」(金融)

 

「管理職になることのよい側面が、あまりクローズアップされていないと思う。せいぜい収入アップすることくらい? 実際には、自身で意思決定できる、裁量で働くことができる、社会に対するやりがいなどいろいろあるのに」(メーカー)

 

2 女性側のメンタリティ

「既婚でダブルインカムの家庭だったりすると、経済的に困っていないこともあると思う」(メーカー)

 

「女性活躍推進というと、子育てとキャリアの両立ばかりクローズアップされるけれども、それだけじゃない。趣味や友人と過ごす時間などプライベートを充実させたい人は、“残業したくないからキャリアはそこそこでいい”と思っています」(商社)

 

「身近なロールモデルとなる女性管理職が少ないので、自分が管理職になったときの展望が描けなくて不安なのかも。だったら“管理職にならなくていいや”と思ってしまうのでは」(通信)

 

3 いまだに「男性社会」の日本の企業体質

「男性が良かれと思って女性に“これはやらなくていいですよ”のように守っている姿勢をみせることが、女性を同じ立場にエントリーさせていない気がする。優しいようで、実は女性のキャリア育成を放棄していることにもなる」(行政)

 

「そもそも管理職を選ぶ経営層や人事などが男性中心だったりすることも、女性管理職が増えない原因のひとつかも。そのメンバーが自分と仲のいい人を起用することも多いので、結局、よく飲みニケーションしている男性が選ばれたりしています」(広告)

 

「キャリアアップを考えている女性であっても、社内外で起こるセクハラに耐えかねて退職してしまう人がいます。特に取引先からのセクハラには訴えることもできず、上司に相談してもなんとかかわすように言われて助けてもらえなかったり」(音楽)

 

「“女性を管理職にさせたけれど、数字が苦手で経営目線が足りない”などと知人の男性経営者が言っていた。男性でも数字が苦手な人もいる。数字が苦手なこと=管理職に不向きというわけでもない。女性を管理職に起用したほんの数例だけで、女性は管理職に向いていないと決めつける男性がいることを感じました」(マスコミ)

 

4 社会全体の問題

家事、育児の負担はいまだに女性の負担が大きい。男性個人の変革も必要だけれど、雇用する組織や社会全体にも、それをカバーする機能が乏しい」(サービス業)

 

男女の賃金格差が是正されないこと。女性はキャリアアップして収入をあげていくより、結婚したほうが男性の収入もあって経済的に豊かになるまでが早い……と無意識下で考えてしまうのかも」(メーカー)

 

「日本人の根深いメンタリティが組織を硬直させている面もある。前例がないことを回避したり、ピラミッド型の組織構造を崩せないなど。家庭や社交でも旧来的な性役割から脱却できていないこともあると思う」(行政)

 

日本の女性リーダー問題について

※トークディスカッションは2020年2月21日に、Baluko Laundry Place代々木上原で実施しました。

女性管理職がなかなか増えない理由は、管理職のネガティブイメージ、女性のメンタリティ、日本企業の体質、社会全体の問題──。これらが複雑にからみあっているといった声が集まりました。

ジェンダー平等は、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標・SDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」17の目標のひとつでもあります。「5 ジェンダーを平等にしよう」です。

日本において「202030(2020年30%)」の達成は非常に難しい状況になりましたが、SDGsを達成する2030年までには約10年あります。ジェンダー平等の社会をめざして、OTONA SALONEは女性管理職、女性リーダーの問題について、これからみなさんと一緒に考えていきたいと思っています。

※最後にアンケートがありますので、みなさんの声をお聞かせください。

 

協力/Baluko Laundry Place代々木上原
〒 151-0064 東京都渋谷区上原 3-29-2   TEL 03-6407-8415
営業時間:セルフランドリー 24時間営業
カフェ・ランドリーアウト・クリーニング 9:00~21:00
https://baluko.jp/

 

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