「秋冬の不眠」を解決!医師が実践、寝る前のたった1つの習慣

こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。

この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。

秋の夜長と申しますが、不眠体質の方にとっては、秋から冬は不眠が悪化する辛い季節ですね。赤ちゃんの頃からの不眠体質である私が、何十年と自身で探求した結果、眠れる方法は本当にシンプルでした。

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#45】

まず、不眠はなぜ秋冬に悪化する?

秋から冬に、毎年不眠がちになる方がいらっしゃると思います。
「秋の夜長」というように、日が短くなるだけでなく、眠れぬ夜の長いことと言ったらありませんね。
「寝よう寝よう」「寝なければ!」と思えば思うほど、頭が冴えてしまい、ぐるぐると思考が働き眠れなくなってしまうものです。

季節による不眠は、気温によって自律神経が変化する為です。
自律神経は、交感神経が覚醒、副交感神経が睡眠に関連しています。
秋冬は、寒さによって、交感神経が刺激され、眠りを妨げてしまうのです。

身体にとって、体温を守ることは、生命を守るための最優先事項ですから、外気温が寒くなる秋から冬になると、手足の血管を縮めて、なるべく血液が冷えないようにします。
これが、交感神経の働きです。

その逆に、暖かくなる春から夏は、血管を緩めて、外気温の暑さにやられないように、血液を冷やそうとします。
この時には、副交感神経が刺激されますから「春眠暁を覚えず」状態でよく眠れるようになります。

大切なのは「交感神経のスイッチ」をいかにして切るか

不眠の人は、そもそもが、交感神経が活性化して、覚醒モードになったスイッチをオフにすることが苦手です。

身体も脳も興奮モードになり、筋肉は緊張して固まり、脳はフルスロットルで色々な考えが巡りに巡っている状態が夜間も続いてしまうのが問題です。

 

私自身も、パソコン前に座って文章を書くことを日々行っていますから、放置すると、肩も腰もお尻もガチガチで、頭の中に常に文章が巡ってしまい、ああでもないこうでもないと自問自答してしまいます。

ポイントは血流を「上から下に」する意識だけ

睡眠に入るには、脳が少し冷えないと寝付くことができませんが、あれこれと考えて脳が働いてしまうと、脳に血液が上がってしまうため、脳が冷える暇がありません。

その上、頭より下の筋肉が全て緊張して固まっていると、血流はますます下に巡らず上に流れてしまいます。

 

必要なことは、血流を上から下に下ろすことです。

 

この為には、凝り固まった全身の筋肉を緩めることが必要です。

緩めるために必要なのは「究極の緊張」だった!

マッサージなどに定期的に行っても、なかなか肩こりなどは治らないことはよく経験されていると思います。

実は、単に緩めようとするよりも、一旦究極に緊張してから緩める方が効果的です。

ここでおすすめなのが、ヨガなどの導入で使用される「筋弛緩法」です。一瞬で筋肉の緊張が緩み、心身がリラックスできる方法です。

 

一瞬で筋肉を緩める!医師が実践する「筋弛緩法」

この方法は、まずは、全身の筋肉をガチガチになるくらいに究極に緊張させます。
その後、それを一気に解放することで、筋肉の緊張が緩みます。

1)温かい布団で横になる。

2)呼吸は、ゆったりとした腹式呼吸を心がけましょう。
筋肉を緊張させる時に息を吐き、吐き切ったら止め、解放と共に息を吸い、自分のペースで呼吸しましょう。

3)身体の各パーツの筋肉を究極に緊張させて一気に解放します。
パーツを書かれている順に各10秒緊張させ、一気に解放し、10秒間緩めます。

  • 足:足の指を足の裏側にギュッと折り曲げる。曲げたまま、爪先立ちをするように足先を伸ばし、ふくらはぎ、太もも、臀部の筋肉を10秒縮める。一気に解放し10秒緩める。
  • 足2:足の指をできる限り広げ、指を頭側に、踵を足側にぐっと伸ばしながら、足から臀部全体に力を入れ、解放する。
  • 体幹:腹部を凹ませるように緊張させ、解放する。
  • 手:手の指をギュッと握りながら、前腕、上腕に力を入れ、肩をギュッとすくめ、解放する。
  • 手2:手の指をできる限り広げながら、腕を広げ、肩を広げるような姿勢で力を入れ、解放する。
  • 顔:顔のパーツを中心に寄せるようにギュッと縮め、口をタコのようにすぼめて、解放する。
  • 顔2:顔のパーツを全て広げるように、口を可能な限り大きく開け、舌を思いっきり出し、解放する。

4)各パーツを1つ1つ緊張させ、解放させたら、筋肉をよく観察してみましょう。
血流が流れ、温かくなって来ると思います。

身体が暖かくなったらしめたもので、血流が下に流れ始めます。
その上で、色々と頭の中に考えが巡りそうになったら、それに気付いて意図的にストップして、腹式呼吸に集中してみましょう。

この方法で、難治な不眠症の私は、寝落ちできる日が増えています。

深い睡眠に不可欠な栄養素はこれ

栄養不足の可能性もあります。

環境を整え、ライフスタイルを工夫してもちっとも解消しない不眠は、大切なビタミン・ミネラルの不足かも知れません。

今日、深く眠れた?医師が教える「足りないと不眠リスクがあがる」ものとは【チェックリスト】

 

 

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】

文/内科医・認定産業医 桐村里紗

tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、新しい時代のヘルスケアを様々なメディアで発信している。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」他メディア出演多数。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)他。

 

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