乾燥する冬場の「部屋のベストな湿度」は?医師が教える感染症対策の正解

こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。

「そろそろお肌が乾燥してきたな」と感じたら、感染予防に重要な鼻や喉の粘膜も乾燥しています。
とにかく乾燥を防ぎたい今年の冬ですが、とは言え、湿度が高過ぎるのも身体には悪いのです。

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#49】

 

湿度は12月に入るとどんどん下がっていきます

湿度は、気温の低下と共に下がってきますから、これから1月、2月を最低としてどんどん下がってきます。
汗をかかないために体から水分が奪われていることに気づきにくいのが難点です。
気温が下がると、空気中に含むことができる水分量が低下するため、皮膚や粘膜から気づかずに水分が蒸発していきます。

 

じつは、感染防御に大切な最初の関門は「鼻と喉の粘膜」

美容の問題もさることながら、感染防御力が弱ることが痛い!

上気道に感染するウイルスの侵入をまず最初に防ぐのは、鼻や喉の粘膜です。

鼻の粘膜や喉の粘膜は、感染防御に必須の免疫物質を含む粘液で覆われていますが、これが乾くと防御ができません。
粘膜の細胞にウイルスの侵入を許すと、感染が起こってしまいます。

空気の乾燥で鼻や喉の粘膜が乾燥するのを防ぐためには、湿度を保つことが必要です。

 

室内で保つべき「最適な湿度」は50~60%

ウイルス感染を防ぐのに最適な湿度は50~60%とされています。

新型コロナウイルスについては、最近では空気感染も起こるであろうと、米疾病対策センター(CDC)が発表しています。ウイルスが飛散しても、空気中に水分が含まれていれば、水分にキャッチされて落下しやすくなりますが、乾燥していると長期間浮遊しやすくなります。

湿度が40%未満では、ウイルスの生存率も上がり拡散しやすくなることがわかっています。50%を超えると生存率が下がってきます。

 

ですが、湿度70%以上はカビ毒に注意

かといって、湿度が70%を超えると、今度はカビが発生しやすくなります。

カビは、マイコトキシンという猛毒を発生させ、物忘れや情緒不安定、頭痛、発疹などの不調から発がんまで引き起こすことがわかっていますが、あまり知られていません。

冬場にも、加湿器の水タンクやエアコン、浴室周り、窓際の結露が発生する場所など、カビが発生しやすい場所に注意です。

盲点になるのは、加湿器の水タンク。
水を注ぎ足し続けているうちにカビ臭くなっていたら、必ず掃除しましょう。
水は、毎日新しく取り替えること。

実は、最近流行の高気密・高断熱住宅では結露が発生しやすいため、乾燥よりも高湿度に注意した方が良いと思います。

 

乾燥しづらい暖房器具って?選べるならこっちを

乾燥しやすい暖房器具の代表は、もちろん、エアコンです。
エアコンを使うのであれば、必ず同時に加湿が必要です。

一方で、石油やガスを使うファンヒーターは、乾燥しづらい暖房器具です。これらが燃焼する際に水分が発生するために同時に加湿も行われます。

パネルヒーターは、これらの中間と考えたら良いと思います。

 

手元に加湿器がない人!この方法で加湿できる

加湿器は必ず欲しいところですが、手っ取り早く加湿器がなくても加湿する方法があります。

高齢者施設や病院などでも看護師さんや介護士さんがよく使っている裏技です。

  1. 洗濯物や濡れタオルを室内に干す
  2. 壁に霧吹きをする

全自動洗濯機で洗濯物を乾燥させてしまう人も多いかも知れませんが、冬場はちょっぴりもったいないかも知れません。
寒い冬にベランダ干しするのは辛いですが、物干しをリビングに持ち込んで室内干しをすると、洗濯物は乾くし加湿にもなるため、一石二鳥です。

寝室に濡れタオルを1枚干して寝るだけでも加湿になります。

洗濯物を干すスペースはないし、面倒臭い!という方は、壁に霧吹きをしてみましょう。
水滴が滴り落ちない程度に、うっすらと霧吹きをします。
乾いたらまた追加でスプレーしましょう。

 

この冬は「温湿度計」が欲しい!

体感ではイマイチ最適な湿度がわからないと思います。
加湿器や暖房器具に湿度計がついたタイプであれば、こちらで確認できますね。
それがなければ、ぜひ、これを機に湿度計つき温度計を1台買っておくことをおすすめしますよ。

 

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