待てない 。続かない 。ときどきやめられない

じっとしているのが苦手、集中が続かない、衝動的に行動してしまう…ADHDと診断されていなくても、このような特性をかかえることで「生きにくさ」を感じている人は多くいます。今回は、臨床心理士による著作「ADHD脳で困っている私がしあわせになる方法」から、「ツライ」を「楽」に変えるヒントをお送りします。【ADHD女子#12】

多いごほうびよりも早 いごほうび。のんびり待ってはいられない!

「報酬遅延の障害」 これもわかりにくい言葉ですね。

英語だと 「delay aversion」。 遅らせることへの嫌悪感という

意味です。 つまり「ごほうびが遅いのはがまんできない!」という

障害なのです。 え? ますますわからない?

たとえばこんな実験があります。

宇宙船を撃ち落とすコンピューターゲーム

をADHDの子とそうでない子にやってもらいます。

宇宙船の落とし方は2パターン。

①2秒待つと1回で1隻の宇宙船を撃てる。 ポイントは1。

②30秒待つと1回で2隻の宇宙船を撃てる。 ポイントは2。

時間制限はなく、 宇宙船を撃つチャンスは15回まで。

合計得点に応じてごほうびが1個か2個もらえるルールですが、

何点なら2個もらえるかは伝えていません。

より高い点数をとったほうがもらえる確率が上がるのは確かなので、 ②のほうが確実です。

でも15回撃ち終えるには7分半もかかります。

ADHDの子はどちらを選ぶかというと……

はい、 予想どおりです。 ①のパターンで早く撃ち落として早くごほうびをもらう子が続出したのです。

多いごほうびよりも、早いごほうび。

それが 「待てない、 続かない、ときどきやめられない」 原因なのです。

 

アリとキリギリスなら絶 対 にキリギリス。遠い先のごほうび は目に見えない

「報酬遅延の障害」、 つまり「ごほうびが待てない障害」 の人は

日常生活で2つの壁にぶち当たってしまいます。

一つは、 長期間続けないと結果が出ないものに対してがんばり続けることができない、ということです。

アサガオの観察日記、 キライだったでしょ?

日記も交換ノートも、 最初はワクワクするのに三日坊主。

仕事もそうですよね。 新しいプロジェクトにワクワクするのは最初だけで、 徐々に飽きてきてしまいます。

もう一つは、「がまんできない」ということです。

ADHDにはありがちな、

「質問が終わる前に話し始めてしまう」

「相手の話をさえぎって自分の話をする」

というのも、 ごほうびが待てない性質からきているのです。

 

その一方で、 報酬遅延の障害は

「やめたいのに、やめられない!」

という衝動にもつながっています。

「注意欠如」 といわれるADHDの傾向とは一見正反対のようですが、

実際には 「過集中」、 つまりのめり込みすぎてしまう傾向もあるのです。

その代表がゲームやギャンブル。

ゲームもギャンブルもすぐに結果が出ますし、 成功した喜び(ごほうび) も大きいもの。

また次のごほうびがほしくて、 やめることができなくなってしまうのです。

1週間待てばもらえる1万円より、 きょうすぐもらえる1000円を優先させてしまう。

1週間待てばセール価格で買えるのに、 いますぐほしくて定価で買ってしまう。

コツコツ実績を積んで周囲の信頼を勝ちとるよりも、 どでかいヒットをねらいたい。

その潔さも魅力ではあるけれど、 アリとキリギリスの物語ではキリギリスは冬に凍えて死んでしまうのです。

>>次へ(5/1 22:30更新)

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