45歳手取り21万円、不倫歴10年の航空会社スタッフ。コロナ禍で見た地獄とは

「不倫でもいい、彼が本当に心落ち着くのは私と一緒にいる時だけだから」

 

長い期間同じ人と不倫を続けている女性はこう自分に言い聞かせているのかもしれません。でも、そのカレ、妻と別れるから一緒になろうとは決して言い出しませんよ。

 

家庭を壊すつもりはないが、お前も好きで離したくない。そんな勝手な男性が多いのです。

 

不倫が長く続く場合、女性サイドは口が堅い傾向があります。慎重に秘密を守ってきたため、友人すらその関係を知らないことも多いのです。男性側も細心の注意を払い、家族サービスを怠りません。なので、妻に浮気の疑念を抱かれたことすらないのです。

 

45歳、出産が難しい年齢になり、これからの人生を自分と向き合って考えようとFP相談に来られたシオリさん。友達にすら言ったことのない彼との関係を淡々と話してくださいました。

 

■35歳、同窓会で運命のように再開した男。関係は急速に…

中学の時ほのかに恋心を抱いていてたサトシ。きっとお互い両想いでしたが、彼は卒業と同時に遠い場所に引っ越してしまいました。その後は音信不通に。

 

短大卒業後、シオリさんは地元である地方の県庁所在地で、念願の航空業界の地上職、昔でいうとグランドホステスになりました。そこそこモテたので彼氏はいたものの、結婚までは至りませんでした。

 

35歳の時、中学卒業20周年記念に同窓会が開かれ、そこシオリさんはサトシと再会します。目が合うとどちらからともなく近づき、「元気だった?卒業式以来だね」。お互いの学生生活、仕事の話がはずみました。酔いも回り、会がお開きになるころ、サトシは「卒業式の時言いそびれたことがあったんだ」とシオリさんに告げます。「好きっていえばよかったな」シオリさんのドキドキはますます高まりました。

 

お互いそう遠くない場所に住んでいることがわかり、たまに食事をするようになりました。両想いだったサオリさんとサトシが男女の関係になるまでにそう時間はかかりません。サトシには5歳年下の妻と4歳、2歳の女の子がおり関係は良好、それはシオリさんにも伝えていました。それでも自分しか知らない小中学校の思い出を楽しそうに話すサトシを癒したい、自分もそれで幸せとサオリさんは思っていたのです。

 

月に数回サオリさんの自宅で夕食を食べて一緒にお風呂に入り軽く眠り夜中に帰るサトシ。年に1回は出張先にシオリさんが出かけ、一日長く出張ということにして旅行も楽しみました。たまに見せてもらう家族写真にはないサトシの屈託のない笑顔。でも、私に向ける笑顔は私だけのもの、それでシオリさんはよいと思っていました。

 

ところが、そんなシオリさんをコロナ禍が襲います。2020年3月以降、世界は予想もできなかった状況に陥り、航空業界は自宅待機が続きました。幸いにしてお給料は出たものの、自宅でずっと一人。誰もいない。これからのことを、あらためて考えてみて不安になりました。

 

このまま不倫関係を続けていっても何も変わらない。サトシはいつか娘さんが結婚してバージンロードを歩き、娘を彼氏に託した後、教会の一番前の席で奥さんを微笑みあうことでしょう。夫婦二人になっても仲良く添い遂げるでしょう。自分のところに来る頻度も減り、いつかフェードアウト。最後に一人になることは容易に想像できました。

 

今まで一度も出ないことはなかったボーナスは、昨年からゼロに。今後もボーナスをあてにできない状況で貯金もできない。これからずっとおひとりさまだとしても将来大丈夫と思えるようにするにはどうしたらよいか?

 

迷いに迷って、シオリさんは相談に来られたのです。

 

■シオリさんの家計

 

月収は残業がないため減。ボーナスも2019年までは夏・冬30万円ずつ出ていたものがゼロに。

いっぽう、家賃は勤務先借り上げのため低額です。特に貯金はしてきませんでしたが、月に3万円ずつ余る見込みだと思っています。ボーナスはもらっても半額しか使わないというマイルールを決めていました。

 

■FPからの大切なアドバイス/もう失っていい時間はない

シオリさんがヒアリングでお話くださったとおり、サトシさんはこれだけ長く関係を続けていても奥さんを別れるつもりはないでしょう。シオリさんの想像通りの結果になりそうな気がします。10年という長い年月一緒に過ごし情があると思いますが、最後に辛い思いをするのはシオリさんだけです。

 

せっかく気が付いた今、サトシさんとの関係を整理しておきましょう。少しの間さびしくても連絡はNG。別れると決めたらここでLINEも消去してしまいましょう。

 

連絡先はすべて消します。彼のSNSをチェックしても楽しいことはひとつもありません。それもしないでおきましょう。

これからの人生でどんなことがしたいか、これからの夢や希望を具体的にイメージして逆算してどうすれば叶うか考えていきましょう。

 

■老後もらえる年金は12万円程度

現在45歳のシオリさん。年金を受け取るまであと20年です。65歳まで働くことが当たり前の時代になっているので、リタイアまでの20年であると見込んでいいでしょう。この時間で年金だけでは足りない金額を準備していきます。

 

シオリさんのもらえる年金はざっくり12万円。今の生活費は18万円ですが住居費がかなり安く済んでいます。英会話やレジャー費と減らすことにして月17万円の生活費で暮らすと仮定すると

 

17万円(希望生活費)-12万円(もらえる年金)= 5万円(不足額)

 

毎月5万円不足となります。

 

65歳から90歳までの25年間毎月5万円不足するのであれば

 

5万円×12ヶ月×25年間= 1500万円不足です。

 

退職金は300万円ほど出る見込み、今の貯金が300万円あるので差し引きすると900万円準備が必要です。

900万円÷20年(今から退職までの年数)= 45万円

毎年45万円ペースで貯金しなくてはいけません。ボーナスがあればその時ある程度まとめて貯められますがしばらく業種的に出るまで時間がかかりそうなので毎月貯めるとすると

 

45万円÷⒓か月= 3.75万円 ずつ貯金していけばよいことになります。

 

■あとわずかのやりくりができれば、老後は安心

記載どおりのやりくりができているのであれば、あと7500円捻出できれば毎月3.75万円貯まります。英会話をオンラインに変更すると1.5万円ほど、スマホ料金の見直しをすると5000円で2万円支出を減らすことができます。

 

今まで月3万円とボーナスで年間30万円貯めていたことになるので、計算上年間66万円、このペースで貯められたのがここ15年間と控えめに計算しても

 

66万円×15年間=990万円 貯まっていることになりますが、現実の貯金残高は300万円なので、実際には貯められていないようです。

 

これからは、3万7500円貯めると決めたあら、必ず貯まる引き落とし方式に変更。2万3000円はiDeCo、1万4500円はつみたてNISAやオート定期預金などにします。普段の生活やレジャー費で取り崩さない仕組みを作っておきましょう。

 

■その後の彼女は…一歩踏み出せました

シオリさんは、数回のマネーセッションの後サトシさんに別れを告げました。

 

数回やり直したいと連絡があったようですが奥さんと別れるならと条件を突きつけるとピタリと連絡が来なくなったそう。それだけの関係だったんですねと明るく笑っていらっしゃいました。

 

サトシさんからプレゼントしてもらった指輪を結婚もしていないのに左手の薬指にしていたシオリさん。10年間のありがとうを込めて中学校の庭に埋めてきたそうです。

 

指輪をしていないと空港カウンターで今度連絡をと名刺を渡されることも増えてきたとか。ハッピーな連絡が来るのを心待ちにしています。

 

男女の関係はいろいろなカタチがあるので、何が正しい悪いとは言いにくいですが、相手のせいにせず自分を軸にして考えて「幸せ」と思える生き方をしていきたいものです。

 

 

稲村優貴子
ファイナンシャルプランナー(CFP🄬)、心理カウンセラー、野菜ソムリエ、ヨガインストラクター(RYT200)
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー。

【編集部より】 「昔に比べてまつ毛が減った」「もうまつエクは重くて無理」 そんな人に耳よりのアイテムを見つけました! ▶▶こちらから  

スポンサーリンク